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つぶやきたち、瞬き


生ぬるい温度の飲みものが苦手だ。口に含んだ途端、自分の体温とおんなじくらいで混乱する。
自分が生きているのか死んでいるのかわからなくなる。だから、生ぬるい幸せも苦手だ。ひどくつらかったり、何も起こらなかったりする方が生きていると実感できる。


愛を纏うあなたは、私の心の中にいる方が美しい
恋を纏うあなたは、私の目の前に現れてこそ美しい


本当のこと
私は誰かのふりをすることを生きることだと勘違いしている
私が私らしくいられるのは、私の私しかいない世界だけだから


手を繋いでいたいと思いながら、もっと遠くに行ってしまいたいと思う そんなずるさが生きていく上での必要な図々しさなのだとしたら そんなことを考えながらいつも、あなたの淹れてくれたコーヒーを啜っている


私が幸せになったとしても、それを幸せだときっと知覚できないだろうから、私じゃない誰かが幸せになってほしい


あの空を見たことがあるか。あの子が絶望の淵から見上げた空。
私はきつく結んでしまった、自分の靴紐を。
もうこの歩き方しかできないのかもしれない。
どうせなら死ぬ時は海をみながらがいい。


葉桜となった頃、月が昇る。照らしている、私たちの淡い期待を。
どうにかなれるって、なんだかんだどこかに辿り着けるって、そんな期待を。
もう少しだけ散ってしまえば、それはもう過去の希望で
みんな無かったことになるのに、それなのに私たちはまた見上げている。
もう二度と甘い紅茶は飲まない。もう二度とギンガムチェックのワンピースを着ない。
早くそれを手に取って逃げたい。底に。底に。



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