錘をぶら下げる

錘をぶら下げる

最近の記事

さんがつ

なんだか恋しい3月 富士吉田で仮暮らし 雪がまだ降ってた3月 金継ぎがブームの3月 倉庫からもらった臭いソファ ベランダで一緒に日向ぼっこした インターンも終盤で頑張ってた 生まれて初めてレコードの針を落とした あの時は在ったけど今はもうないアメリカヤ 早朝チャリでまちを駆け回って 観光客の真似して富士山を撮った3月 美味しいワインでほろ酔いの2人が 夜中の森を抜けて河口湖駅まで爆チャリした そんな3月

    • 愛するコペンハーゲンへ

      (2023 10月の日記より) 私たちが去った 甘いシナモンの香りが漂う街は今頃 秋をこえようとするところ きっともう冬の気配をまとっているだろう 去年のこの時期 コペンハーゲンは 真冬のような寒さだった 月曜日は太陽が昇る前に寮を出て学校にいく 暗闇の中を歩いてバス停へ急ぐ 眠い目をこすって遠くの空に目をやれば まだ姿を見せぬ太陽の その光が うっすらと雲の底を照らしている キリッと冷たく澄んだ空気を 肺いっぱいに吸い込んでは はぁーっと白い息を吐く 暖かそうな服装の人

      • 往復書簡はむずかしい

        大阪からお手紙をありがとうございます あなたが大阪に帰って早くも1週間 こちらで忙しくしていた日々に比べたら こころとからだを休められているのかな 電話越しに穏やかな声を聞けば いつも安心します この4日間あなたの部屋でひとり過ごしました いつもあなたが熱々で浴びるシャワーの温度が 私好みの38度にしてあったり 置いていってくれたお菓子の2袋目に手を伸ばしたら まるで見張っていたかのように 食べ過ぎ注意って書かれてたり 嬉しいと同時にいないはずのあなたがいるようで不思議

        • 無いものをなぞる

          ゼミでの対話やエッセイの執筆をしていく過程で自分の頭の中を通ってきたことに、「自分と他人の境界」という共通項がある、と思った。 去年の私は、言葉によって人が通じ合うことの困難に打ちのめされたことがきっかけで、人は完全に孤独であるということを言い切った。 そのことが、自分と他人の境界線について考えていく、 スタートラインだったかもしれない。 今年に入って、卒論のために何か問いを引っ張り出そうとしたら、 なんだかやる気にならなくて一旦置いとく、を繰り返していた。 人生とか、言

        さんがつ

          I で My

          曖昧さを許すことができたらどんな問題が解決できる? 中途半端、どっちつかず。 完璧主義。完璧がわからないのに完璧主義。 人生という問いにこたえなくては いけないのだろうか。 答えなくても いいのかな。 問うことと、曖昧さを愛すること。 曖昧–答えがない状態。 決めないで良いと思っている状態? どちらも答えといえる状態 答えを求めることを放棄する状態 印象や感情、feel, X 人生と曖昧さ 存在のあいまいさ 白黒つけたい はっきりさせたい グレーゾーンが許せない

          とうめい

          東名高速の窓の外はつめたい雨と風 ひんやりとした夜の気配が 太ももあたりから胴を伝い 言葉になる わたしはだいすきなあなたに会うために はじめての夜行バスに のっている 暗やみの車内で あなたが発つ前に残した 6時間にもわたるプレイリスト 聴いている タイトルはたった一字 わたしの名 いつも暖かい私の手を もっと暖かい両手で包むあなたに 「アップルミュージック派なんだよね」と 照れ隠しした 離れているあいだ 「夢にも出てきてね」って あなたはよく言う そんなこと

          とうめい

          恋人

          2月16日の詩 ついに手綱から放たれた尊い生きもの 今すぐにでも本当は逃げ出したいよ 彼は私を好きだといった 泣きたくなるほど静かな 海の底まで轟くような その声 雲を貫くひとすじの光の 真っ直ぐな眼差しを 私の瞳にそっと落とした 彼は、自然からのことづてを、 ひとり胸に秘めていたのを、 私にもわかる言葉で教えてくれた 風船のように膨らんだり伸びたりしない わたしのからだとこころは硬くて小さい わたしであなたをどうやって愛することができる 結局わたしはわたしが憎

          0227を巡る

          バイト先の人は昨日誕生日だった 私の祖母はちょうど2年前の昨日死んだ 心臓の内壁に沿って 涙を上手に流すための 細い管が張り巡らされている として そのうちのひとつを塞いでいる これが 祖母のいのちの破片である どんなに激しく鼓動を打っても ビクとも動かない むしろ そこに在るのだというその気配が 確固とした気配が 咽頭あたりまで侵食してくる

          0227を巡る

          0228

          自分だけの言葉も 自分だけのからだ みたいに 触ればそれと分かる 分かるならいいのに 今吐き出したのに 近くで見るとなぜだか あの子の指紋がいくつか

          0130

          すごく好きになれた人だから すごく嫌いになれる すごく嫌いな人でも すごく好きになれる?

          0103

          空には今日も返り血が飛び散り 街灯まで頭を垂れて疲弊している 一緒に不幸になってくれそうなあの人を想う これこそ恋だと歌う チカチカ消えかかる蛍光灯の光を眺めては あれこそが希望だと 今日もただ好きな歌だけ歌ってたら 突然世界には私一人しか居ないように思えて 不安のあまり立ち止まる 数歩歩けば全部忘れて ぽかんと再び歌い出す そうして何も知らないままで 最後の瞬間を迎える日 全ての謎は謎でなくなって 誰かが答えだけを そっと、教えてくれるらしい あの時仲良くしたかった

          霜が降りる朝

          12月30日霜が降りる朝 寝ぼけた姉夫婦を部屋に残して 1人ベランダに出る 2人のあっけらかんとした態度や 幸せな空気感のちょっとした切れ目に わたしを心配するような視線を感じる 元気なほうが都合が良い それはそうだろう あの人が貸してくれた本の ページを一枚めくるごとに 冷たい空気が指先に滲んで染みて それがなぜだか心地いい ふとベランダの外に目をやると ほうきを持った近所のおじいちゃんが 掃除する訳でもなく 歩道の端に立って坂の向こうを見つめている そのすがたを見

          霜が降りる朝

          疲弊しきったので

          憎悪、嫌悪、サディズム、劣等感 汚いものも綺麗に拭けば 意外と上手に飲み込めるんだってね 人を裏切り傷つけた時 ちゃんとあなたは痛いですか 胸が痛い、 そんなロマンチックな話じゃない ちゃんと血を流していますか 痛覚はあるあるならばどこだ 今この時も徐々に鈍って 最後はなくなるのだ

          疲弊しきったので

          客家定食の夜

          例えれば昨日の早朝に見たひこうき雲 途切れながらも真っ直ぐに走る美しい線 私の目にはあなたの暮らしが そんな風に映っています あなたの人生のこと まだまだ分からないことばかり 少しずつ教えてくれますか あなたのことを知るなかで 私のことを知りました 今夜のように笑ってお話する時 ずっと続けばいいと言いながら こんな夜は二度と訪れないでほしいと 思いました 私が彼の線に触れる時 それは私が真っ直ぐじゃない時 私の震えて歪んだ線 こんなの違うといつでも嘆いている や

          客家定食の夜

          また散文

          例えばオアシスだけ好きな女の子 オアシス以外の全てを知らないけれど オアシスの全てが彼女の全て 一方でオアシスも一応好きな私 ちゃんとブラーも聴いている レディヘやスウェード、パルプも少しだけ オアシス以外も知ってるけれど 彼らが私の全てという訳でもない 私もオアシスの全てを知っている そんなつもりでおしゃべりしてみたい めちゃくちゃ適当でもいい 嘘でもなんでもいいから 小さなたくさんのことより 大きなひとつの事を知っている あの子みたいになりたい

          また散文

          cuz I'm

          昼までベッドの中 眠るわけでもなくただ ぼーっとしていた 友人からのメッセージに 寝ぼけた風で返信する ベランダに出る 荒れきった手先とたばこ 変な方向に枯れ葉が舞っている 穏やかに晴れたこんな日も 風は複雑なんだな 音楽に合わせて コーヒーの入った ホーローのマグを 指の腹で叩いたら カン、と意外な音が鳴った 昨夜指輪外してなかったっけ こんなときに あなたがいたらなあ とおもう 突然ぶわっと風に煽られる 部屋に入ろう 誰も居ない部屋 私さえも居ない部屋