見出し画像

延期につぐ延期の中でも、学校の肝試し大会を実現した10人の母ちゃん達の話<後編>

こんにちは、蒸し暑い日が続いていますね。再び登場、スタッフバービーです。前回の後編をね、さっさと書かないと・・・間延びしちゃいますね(笑)

さて、コロナ禍が始まって、全国的に学校が休校となる前代未聞の事態。オリンピックすら延期になりました。緊急事態宣言の発出に戦々恐々とする毎日。当時の医療関係者の人たちの苦労を考えると頭が下がります。
その時に私たちに出来る事と言えば、「感染を広げないこと」でした。今まで送っていた日常。これは、すべて当たり前ではなかったのだということを痛感させられたのです。

仕方ないとはいえ、小学校最後の年のさまざまな経験が「ストップ」させられた息子たちの学年。せめて何か出来ることを、と、母ちゃんたちが考えたことは「学校を使ったガチの肝試し」でした。

1.予想はしていたけど、やっぱり出来なかった2月


中学受験や卒業式などの行事を考えあわせ2月に設定した開催日。
ただでさえ、感染症が流行る季節に無謀な・・・と思っていましたが、いろんな事情を考えるとここしかなかったのです。
案の定、緊急事態宣言が再度出てしまい開催は叶いませんでした。
3月には卒業です。

さて、どうする?

もともと、PTA組織の「学級委員会」という枠の中で活動していたことです。卒業してしまえば、当然その枠は関係なくなります。近隣の公立中に通うお子さんの保護者はまだしも、全く異なる学区の私立中に通うお子さんもいるのです。延期して、まだ引っ張るのか・・・悩みました。
だって、PTAの任期は卒業すれば終わるのです。ただでさえ、忙しいのに、もう終わりにしていいPTA活動をそのまま延期する?

とはいえ、こんな気持ちもありました。
「ここまで準備したのに・・・惜しい」

運営人数が少ないため、映像やBGMを効果的に使い、掲示物や装飾に工夫を凝らし、そこに人が張り付いていなくても、脅かすことができる仕掛け・・・たくさん準備しました。
また、スタート前から恐怖感を煽るために創作した「学校の怖い噂話」(全くの作り話です)等・・・
10人の母ちゃんたちの叡智?!が集結していたのです。
これを、全部なかったことにするのか・・・

運営メンバーに希望を聞いて、やりたいという人だけで運営を継続。延期して開催するか。
でも、もし運営側の人数がどっと減ってしまったら?ただでさえ、10人というギリギリの人数で開催しようとしているのに、ここから抜ける人が出てしまったら・・・でも、それを表に出してしまうと、抜けたくても抜けられない、『同調圧力』を掛けることになる・・・

2.杞憂だった。メンバーのモチベーションは変わらない!

メンバー全員が入っているLINEグループに意見を投げかけてしまうと、私はもうやめたい・・・と言いにくいだろうと思ったので、個別に意見を聞いてみることにしました。
「いつになるかわからないけど、コロナの感染状況が落ち着いたところでリベンジということで、延期して開催・・・してみたい?」と。

驚いたことに、10人中誰ひとりして「もう、いいんじゃない」という人はいませんでした。
「せっかくここまで準備したんだから、やろうよ!卒業しても、子どもたちにとってはちょっとした同窓会ぽくなって、いいんじゃない?」
と。

ひとりかふたりは抜けることを覚悟していました。
でも、みんな「やりたい」と言ってくれました。
賛否が巻き起こるPTA活動ですが、人は「自分がやりたい」と思うことなら出来るのです。楽しい、やりたい、と思えばそれがなんであろうとやり遂げる・・・文句や不平や不満が生まれるのは「やりたくないことをやらされているから」

PTA活動が悪いわけじゃない。
やっている内容が問題なのだ、と、感じたのはこの時の経験からです。

3.果たして、開催できるのは・・・いつ?

2月開催を見送って、次に開催する日を7月と決めました。
なぜかというと、7月には「卒業アルバムの配布」があるからです。
え?卒業アルバムって、卒業式の日にもらうものじゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。実は私もびっくりしました。

でも、これは「卒業式の写真」まで掲載するからという事情がありました。
当然のことですが、卒業式の写真は卒業式当日に撮影されます。その写真まで掲載するなら、アルバムの完成は当然のことながら卒業式よりも後になります。息子の小学校は、例年「7月」に卒業アルバムが配布されることになっていて、その日がちょっとしたプチ同窓会になっていたのです。

いろんな意味で「ちょうどいいタイミング」だったのです。

ところが。

7月になると、コロナの感染者数は増加してきたため、結局7月も開催は見送ることとなりました。(アルバムは配布されましたが、子どもたちが一同に介することは禁じられ、各クラスごとに少人数での配布となりました)
こうなると、いくら前向きなおばちゃん集団でも、心が折れ気味に。

卒業して半年以上たってしまったら、中学1年生になった子どもたちがそもそも肝試し・・・楽しみにしてくれるのだろうか?
そこに疑問も沸きはじめました・・・中学生ともなれば部活も忙しくなっているだろうし・・・
もともと「子どもたちのため」に企画した肝試しです。
当事者である子どもたちが望んでいないなら、、、大人がどんなに盛り上がっても意味はない。

「もう、中止にしちゃおうかー・・・」そんな思いが頭をかすめました。
大体、子どもたちが楽しみにしてるかどうか、わからないし。

そんな時、ある保護者の方からこんな言葉をもらったのです。
「肝試し企画、ありがとうございます。こんな時期だから大変だと思うんですけど・・・うちの子、中学校のクラスでも他校出身の子たちに自慢してるみたいなんですよ。うちらの学年は、お母さんたちが肝試しの企画してくれてるんだよ、って」
「え?楽しみにしてるんですか?」
「すっごく楽しみにしてるみたいですよ。うちの子も、お友達も」

この言葉に、力をもらって、再度、開催日を決めることになりました。
それは・・・10月!!
まさに3度目の正直。でした。

4.3度目の正直でついに開催!!

延期につぐ延期。
子どもたちの環境もどんどん変わってくし、大人になっていきます。
そんな中で、企画してから開催するまで実に1年以上。モチベーションを保ちながら準備を続けるのは、意外と大変でした。
それでも、その年の10月。
ついに「学校の肝試し大会」を決行。

100人の子ども達に対して、参加者は60名。
6割の参加があったら、それは成功と言っていいでしょう(笑)
だって、「この肝試しのためだけに」子どもたちが卒業した母校に集まってきてくれたのですから。
6年生時代の担任の先生たちもお化けの衣装に身を包み、当日飛び入り参加をしてくれました。(肝試しの開催は、ただでさえ忙しい先生たちの負担を増やさない、がポリシーでした。先生たちは当日「よかったら」来てくださいというスタンスだったのです。4クラスの先生たちが全員そろって顔を出してくださいました。

さて、体育館に集まった子どもたち。3人~4人のグループにわかれて肝試しコースへ出発です。

校舎のあちこちから聞こえる悲鳴。

キャー!!ギャー!!
ひゃああああー

まだまだ子どもですね(笑)

それが、運営メンバーにとっては一番のご褒美でした♪

久しぶりに会う友達。
久しぶりに会う先生。
久しぶりに来る校舎。
肝試しの終わったあとは、体育館のあちこちで子ども達がグループになって語り合いプチ同窓会。
男の子たちは肝試しの流れから、人狼大会をしているグループも。

人と人が実際に出会って、同じ場所で同じ時間を共有する。
それでしか味わえない気持ちがあると思います。
子ども時代の楽しい思い出はひとつでも多い方がいい。その経験がのちの大人になって、辛い時苦しい時の支えになるから。

でも、このイベントは子ども達だけでなく、運営に尽力した10人の母ちゃんたちにも素敵な思い出になりました。
バックグラウンドも知識も経験もスキルも、何もかもバラバラの母ちゃんたちが、一つの目標に向かって力を合わせる。

人が集まって何かひとつを成し遂げる。

それは、なんてワクワクして楽しいんだろう!

そして、2023年の今。私たちは日常を取り戻しつつあります。
もちろん、まだ感染は収まっているわけではありません。ただ、私たちにはこの数年間で培われた知恵があります。
感染症の拡大に気を付けつつも、リアルの人のつながりを取り戻していきたいですね!
皆さんも健康に気を付けながら、ぜひ素敵な夏をお過ごしください。