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楽曲解説/歌詞和訳#4 『May』

作詞のKazmaと作曲のKou二人による、セルフライナーノーツ的なBearwear楽曲解説第4回。

今回は2018年10月にリリースした僕らの1st Mini Album『DREAMING IN.』の最後の曲である『May』。リリースしてからだいぶ経ちましたが、タイトル通り5月の歌なので今このタイミングで歌詞を公開します。

歌詞対訳

May

Still keep writing these sad songs
My words going back and forth
Lingering scent of her driven me back
Hope it holds till we meet again

How warm is it out there?
New leaves starting to sprout
After the pale red signal turns green
I’ll be walking again

Celebrating those days
Celebrating all night long
Celebrating the day
Like we used to do

If I'd be waiting in May
Would you remember those days
If I could see you in May
Can I still be by your side

まだ悲しい曲を書き続けながら言葉は行ったり来たり
俺を引き止めるあの子の残り香は消えず
次会う時まで残っていてほしい

「そっちはどのぐらい暖かくなってきた?」
新しい葉が芽生え始めて桜色の信号が緑に変わるとき
俺はまた歩き始めるよ

祝福するあの日々
一晩中、昔のようにあの日を祝おう

もし俺が五月まで待っていたら
君もあの頃を思い出してくれるのだろうか
もし五月にまた逢えたなら
一緒にいてもいいだろうか

解説 by Kazma

意外とBearwearの曲で1番好きだと言ってくれる人がチラホラいる隠れ名曲May。曲名が5月だからという理由で5月になると改めて聞いてくれる人がいるのも嬉しい。

新緑と言うのだろうか。桜の花も散った後、晩春〜初夏の青葉が木に生い茂る季節の歌。Bearwearの楽曲には季節について歌う曲があまり無いので、情景と結びつけやすいという意味では俺もこの曲はかなり自分の中で特別な存在。曲を聞いて景色が浮かぶこともあるが、どちらかというと景色を見てこの曲を強烈に思い出すことのほうが多い。

歌詞の出だしにある通り、ミニアルバム『DREAMING IN.』の楽曲が全部揃ってレコーディングに向けて歌詞を書きまくっていた時期に綴った詞だ。今あらためて2nd mini albumをリリースしてから考えると、この頃は真っ直ぐ誰かを想う恋愛絡めた歌詞ばっかだったなあと。このMayも例外ではなく、離れていった人に対する未練の気持ちで書いている。

5月というタイトルの本当のテーマは、自分の誕生日が5月の末にあるからで。そしてまた自分の当時好きだった人も同じく5月生まれだったりで、毎年この季節は1ヶ月通して感情がかなり揺さぶられて精神すり減っている。

そんな5月に対しての強い思い入れ。暦を曲のタイトルにすると聞き手の想像力の範囲を限定してしまう可能性もあるが、俳句に季語が含まれるように、共通認識として結び付けられる奥深さや、当時の記憶を詩に閉じ込める役割もあると思っている。

Decayの楽曲解説で語ったように、Bearwearの曲は自分の成長と共に曲の持つ意味合いが変わることが多いが、この曲だけは日記を読み返すような気持ちで毎年聞き返しながら当時の自分の気持ちがフラッシュバックする。

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解説 by Kou


リリースから「May」は2度目の5月を迎えた。去年の5月にインスタのストーリーにMayについてのポストをしたのをかすかに覚えていて、このnoteを書いている間も、Mayにまつわるエピソードを自分のポンコツな脳内メモリから必死に手繰り寄せながら一年の早さを実感した。

「May」は1st Mini Albumのラストトラックとして、最後のピースをはめる為に急いでDAWを走らせた曲だ。そういえば余談だが、3月にリリースした2nd Mini Albumの最後の曲「I think」も目前に迫るレコーディング日に急かされながら仕上げていて、アルバムが8割方できたところでまだ音になっていないそれを頭の中で描いて完成させた気になってしまう自分の怠慢さを物語っている。

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いつも曲のデモを送った後に、カズマがそれを聴いて歌詞や曲名をつけているから、作った当初これが5月の曲になることは予想していない。むしろイメージはもっと夏だった。

非公開になっている自分のYoutubeからデモ音源を掘り返してみると、これが2018年6月25日にアップロードされていたことがわかった。仮タイトルは「D」、なんのDかは覚えていない。

ちょうどこの時期は、俺がもう一つやっているバンド”Haiki”の「夜明け前」のMV撮影のタイミングだった。そのMVは「e.g.」、「Proxy」や「:LIVING IN THE ECHO CHAMBER (Episode2)」の制作もしてくれた映像家のPenackyと、それからその友人のケイくんが撮ってくれていて、撮影合間に、音楽のセンスも抜群に良い彼らと「山下達郎」とか、ウェイブな曲についての話で盛り上がり、そのフィーリングで一曲走り書きしたのがこの「May」だったはずだ。

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チューニングが変だったり、キー的にセトリに入れづらいみたいな諸々の、演る側による不憫な都合で当初はライブでは演奏しない幻の曲だったけど、ライブアレンジを施して去年秋から見事セトリの一軍に昇格した。最近もこんな状況下だけど、ありがたいことに2人編成でライブに誘われることが少しあって、このMayは外さずにやっている。

去年の夏、Bearwearのみんなが海に行ってて俺は行けなかったから今年こそは行きたいなとか思っていたところだったけど、3ヶ月先を想像すると、今までと同じような過ごし方はしていない未来が視える。

これから訪れる幻の夏をどう楽しむか、Mayを聴きながら考えてみようと思う。

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