見出し画像

#80_【読書】ずるい傾聴術/中村淳彦(かや書房)

物書きの仕事をするには、まず書くための材料を集めるプロセスがあります。
しかし、半ば社会不適合者な私にとって、「取材」というのは、割とハードルの高い作業であります。なにせ、気の利いた世間話をするとか、人に気を使って質問をするとかできないからいまがある、という感じですので…f^_^;)。

ということで、今回ご紹介する本は、中村淳彦さんの「ずるい傾聴術 人間関係が好転してトクする33のルール」という本になります。

唐突ですが、以前clubhouseという音声アプリがバズったときのこと、ご記憶にありますでしょうか。最近は仕様が変わりすぎてしまい、もはやついていけませんが、最初期の頃、不特定多数の人が、あるテーマのトークルームに入り、ワチャワチャ話していく中で、みんながしゃべり出して収拾が付かなくなったり、しゃべりたいと思って部屋に入ったのに独演会を始めてしまう人がいて諍いが生まれたり、ということが起こっていました。

まさに「他人の話を聞くよりも、自分の話をしたい」という本能の現れではないかと思いますが、この点を踏まえつつ「相手に共感しながら人を出し抜いてトクをしようとする」点にキモがあります。ですので、基本は「相手にしゃべらせる」「自分の考えは挟まない(色を付けない)」というスタンスになります。

しかし、「受け身の人が相手では、中身のない会話に終わってしまうのでは?」という疑問も湧いてきます。
私の場合、ニッチな趣味を持つため(廃墟、灯台、境界標ほか)、わざとその話題を持ち込むことがありますが、大抵は共感などされるわけもなく、冷ややかなリアクションが返ってきます。ここまではある程度織り込み済みなのでいいのですが、わざとらしくムリして相づちを打たれると、さすがに「コイツ、バカにしてるのか?」「所詮中身がないんだからムリするなよ」と、敵意を抱くことがあります。ある意味、「意味のない雑談」とも通ずるところがあるのかもしれません。
そのように考えていくと、会話が成立するには、まさに前提として「聞き手が話を受容する」「話しても安心安全である」といった信用が必要で、そこをすっ飛ばして自分が出ようとしてはいけない、質問をしてはいけないということなんだろうと思いました。

図らずも、本書の中でオタクの人に対するヒアリングのコツに触れられていますが、このあたりはニッチな資源が豊富である対馬において、有効ではないかと思います。余談ですが、著者の中村さんは、このテクニックを駆使し、なんと48歳からの婚活で成果を上げたのだとか(゜o゜;;。

とりあえず、まずは空気のような存在を目指したいと思いますf^_^;)。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?