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#11_【読書】水中考古学 地球最後のフロンティア/佐々木ランディ(エクスナレッジ)

対馬には沢山の史跡がありますが、実は見えていないところにもあるらしいという話を聞きます。
べつにスピリチュアル系の話ではありません(笑)

今回ご紹介しますのは、佐々木ランディさんの「水中考古学 地球最後のフロンティア」(エクスナレッジ)です。
なかなかカッコイイ良い装丁です(^^ )。

佐々木先生との出会い、といっても面識はありませんが、6年前に九州国立博物館で開催されていた対馬の企画展を見たあと、たまたま水中考古学のギャラリートークが開かれていました。
最初、「佐々木蘭貞」って誰や?と思いましたがf^_^;)。

水中遺跡と言いますと、想像も付かない世界とお感じになる方も多いことでしょう。もちろん、私もそのひとりです。
発掘現場にお目にかかれることも滅多にありませんし、実際アジア水中考古学研究所のwebサイトによるところ、水中遺跡の調査研究は、陸上遺跡の調査研究量の数千分の一、あるいは数万分の一程度の実績しかないそうですが、陸上の発掘と違い、おいそれと始められるものではありませんので、何かありそうだと思っても、なかなか調査に踏み切れないというのが実情かも知れません。日本は海洋国家ですから、大陸との行き来をなぞるだけでも、色々なものが出てきそうですね(^^ )。

【朝鮮国訳官使殉難之碑(韓国展望所)】

未知なるものを探しに、海や湖に挑む壮大さと、ロマンをかき立てられる内容が存分に書かれていますが、そのあたりは本書に譲るとして、それ以外にも、水の中は陸上に比べ開発されにくいことから、意外に良い状態で遺物が残っていることもある反面、海にも盗掘者(トレジャーハンター)がいることや、海岸の埋め立てや底引き網漁など、海底にも人の営みの影響が及んでいることなど、遺跡を守るには、様々な人たちとの協力が必要であることも書かれています。
また、遺物を引き揚げてからがまた大変なようで、水中だから良い状態を保っていたものが、陸に上げたことで変質してしまうこともあり、保存するための技術開発についても触れられています。
実は陸上の発掘調査でも、終わったら埋め戻しを行うそうなのですが、陸の考古学と比べながら読み進めていくのも、また面白そうです。

そして、対馬に関連する情報でいいますと、4ページほど上対馬町鰐浦にあります「矢櫃」について紹介されています。また、本の中では、遣唐使船をはじめ、様々な時代の船についても解説されていますので、人はどのように海を渡る知見を深めていったのかも、学ぶことができます。

いまの世の中、すっかり車社会に毒されている感じがありますが、島という社会にいながら、古の人々が海に対して抱いてきた気持ちを感じてみたいと思いました。
まずは船舶免許を取ることから・・・f^_^;)。

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