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陰翳礼讃

2020年に入り、大学2年も終わりが見え始めてから、なぜかぐったりした感覚をおぼえる事が増えた。部屋の布団に寝転がって、中空をぼうっと見つめながら、小刻みに騒ぎ出す呼吸を落ち着かせる。脳裏に決まって浮かぶのは、清瀬の電車道。本当に貧乏だった日々が流れ込む。 「社会人に大切なのは、課題発見能力だから」 はじめてOB訪問らしきことをした1月、スーツの男性から言われたその言葉が、心の奥底にずっしり沈んでいる。 僕はこれまでの人生で、少なくない課題をこなしてきた自負がある。貧乏、

    • 僕の星はまだ少し余裕があるから

      2019.11.07 「別れようって、決めたんだ」 こちらを気遣うような、申し訳なさそうな目線。その言葉は、ひどく軽かった。決めた? それは一人で決める事なの? なぜこのタイミング? 前会った時は好きって、楽しいって、言っていたでしょう? 夥しいクエスチョンマークの群れに耐えられなくなって、僕は尼寺へ駆け込んだ。 数少ない異性の友人に、悩みをつらつらと述べ立てた。もがいて、もがいて、疑問の荒地の中に論理の筋道を開こうとした。それでも、何本と道を連ねても、結局終着点は

      • 祖母とこじれた仲が一向に戻る気配のない話

        孝行心に溢れた午前九時の僕を迎えたのは、昨晩と変わらない祖母の怒声だった。 「あんたねぇ!老人は一日やそこらじゃ切り替えらんないのよ!!少しは考えなさい!!」 絶望感に似た悲しみに襲われた。それでも、祖母に寄り添おうと思った。祖母のお皿は洗おうとした。洗濯物は率先して外に干そうとした。しかし、反応は変わらなかった。 「自分の事だけ先にしてれば良いじゃない!」 「私の事はアンタにはお世話になりません!」 「悪いけど今一緒にいたくないのよね。良いからアッチ言っててもらえ

        • 祖母とこれまでにないくらいの大喧嘩をした話。

          感情に結論が出ないので、しどろもどろな文章になってしまうかもしれません。すみません。読んで下さると嬉しいです。 僕と祖母は、結構仲のいい方だと思う。お互い価値観は違うけれど、テレビ見ながら冗談言ったりして。祖母にとって俺は、孫であるほかに、暇潰しの話し相手みたいなものでもある。だから祖母と喧嘩しても、大体どちらともなく和解に至る。そんな僕たちが昨晩、今までにないくらいの大喧嘩をした。そんな話。 きっかけは昨日の夜。たわいもない冗談のつもりだった。 「いやさー、彼女がー」

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