祖母とこれまでにないくらいの大喧嘩をした話。

感情に結論が出ないので、しどろもどろな文章になってしまうかもしれません。すみません。読んで下さると嬉しいです。

僕と祖母は、結構仲のいい方だと思う。お互い価値観は違うけれど、テレビ見ながら冗談言ったりして。祖母にとって俺は、孫であるほかに、暇潰しの話し相手みたいなものでもある。だから祖母と喧嘩しても、大体どちらともなく和解に至る。そんな僕たちが昨晩、今までにないくらいの大喧嘩をした。そんな話。

きっかけは昨日の夜。たわいもない冗談のつもりだった。

「いやさー、彼女がー」                                    「何アンタ、また彼女の話?」                         「なんかー、彼女のお母さんが僕のテレビ見たみたいで。何か気に入られちゃったみたいなんだよねぇ。会いたいんだって(笑)。やーねー。」

この一言が地雷のスイッチを踏んだ。

10秒後に僕の前にいたのは、口いっぱいに罵詈雑言を吐き続ける祖母の姿だった。


正直、頭には疑問符がいっぱいだった。え?何故?ただの冗談じゃないか。大体そんなとこに行く訳無いだろ、婚約者じゃあるまいし。そう伝えても祖母の怒りのエンジンは回転数を上げるばかりだった。大体学生の身で恋人なんてどういう了見だ。まだ早い。子供が出来たらどうするんだ(性交渉すらしてないんですが……)。何で恋人どうしの話に相手の親まで入ってくるんだ。どういう仕事に就くのかしらとか言って、相手の母親に乗せられ続けたらどうするんだ。見通しが甘すぎる。大体最近の生活のたるみっぷりは何だ。そんな暇あるのか、お前の仕事は今しっかり勉強して良い会社で働いて親に楽させるこt

恋人の関わる話だったからだろうか。いや、俺の話もまともに聞かずに捲したてる老婆にプッツン来たからかもしれない。祖母の怒りは受け流す事にしている俺が、初めて机を叩いて目を見開いた。それが祖母の逆鱗に触れたらしい。

「何だお前は!その目は!散々世話してもらった身分でそんな顔が出来ると思ってんのか!!」

そこから先は、もうあまり覚えていない。理解しあえない悲しみに涙を流しながら、ただただ相手のマシンガンを震えて食らい続けた。

弟が帰ってきてから、事態はだんだんと鎮静化されていった。弟の活躍ぶりは八面六臂だった。感情的になりがちなそれぞれの意見をうまく咀嚼して媒介する。ちょっと前まではスネたガキだったのに……。ふらりとやってきた祖父が一言呟いた。「しかしこうくん、お前大人になったなぁ。」祖父は落ち着いた口ぶりで、けれどもしっかりと弟の進歩を褒め続けた。祖母は良い話に弱い。これだけ弟が進歩してるんなら、うちも安泰だな、みたいな事を祖父が上機嫌で語って、その場は終わりになった。正直ほっとした。もちろん俺の生活にも脇の甘い所があったから、そこは反省して直さなければいけないな。明日は一日暇だし、たまには祖母と一緒に家事をするのも良いかもしれない……。そんな思いを巡らせながら、昨夜は眠りについた。


「良い!?年寄りはね、そんな一日やそこらじゃ切り替えらんないのよ!!」

今朝、ゴミ出しに行った僕を迎え入れたのは、昨晩と変わらない祖母の怒声だった。

(続)