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わたしの仕事 地域包括支援センターの保健師について(中編)


こんにちは。
日本語パートナーズ・タイ12期内定を目指しているアイです。

私のnoteでは、これまで日本語パートナーズになるための備忘録を残してきました。


↓日本語パートナーズについて詳しく知りたい方はこちら。


私は現在、地域包括支援センターで保健師をしながら、この事業にチャレンジしています。

この記事は日本語パートナーズとは関連ありませんが、せっかくなので地域包括支援センターの保健師についてお伝えしようと思います。

今回は中編なので、はじめましての方は良ければ前編からお読みください😊
(前編と後編で終わらせるつもりが、文字数が思いの外増えたので中編を作ってしまいました…)


包括に興味がある保健師・看護師さん、看護学生さんに届けば幸いです。





今回は、包括が日頃何をしているのかをお伝えします。


包括の業務は、大きく4つに分かれます。

① 総合相談
② 介護予防ケアマネジメント
③ 権利擁護
④ 包括的・継続的ケアマネジメント支援


①はともかく、それ以外は何?って感じですよね。
今回は、①と②を解説します。



業務その1 総合相談

担当地域に住む、(原則)65歳以上の方を対象に、何でも相談窓口として電話や来所の対応をしています。
家に来てほしいと言われれば、話を聞いた上で訪問もします。


相談される内容は、介護保険に関すること以外にも、

「家の近くで体操できるところを知りたい」
「親の介護に疲れてしまった」
「妻が亡くなって一人暮らしになった。子どももいないし、もし自分に何かあっても誰も気づいてくれなかったらどうしよう…」
「隣の家には高齢の夫婦が住んでいるようだが、ゴミ屋敷状態で庭も荒れていて迷惑している。どうにかしてくれないか」
「家を宇宙人に侵略されて、常に見張られている。助けて」
「近所のおばあちゃんの家に、最近怪しい人が出入りしている。詐欺じゃないかと不安だから、一度様子を見に行ってあげてほしい」
「年金が少なくて生活が苦しい。食べものもない」

など。

単なる相談ではなく【総合】相談なので、このようにびっくりするようなものや、「うーんそれは包括ではどうにもできないなあ…」というものも。
管轄外のことについては、対象となる窓口を調べて紹介するようにしています。

ただ、高齢者は、そもそも自分が何に困っているのか自分で理解しないまま相談にくることも多いので、「なんか悩みがふわっとしてて掴めないな…」「相談じゃなくて愚痴を言いに来ただけなのかな、この人…」という人の話もじっくり聞いて、まずは主訴を引き出します。

と同時に、
●既往歴
●ADL
●金銭的余裕
●家族構成とキーパーソン
●家屋の状況
●認知機能
上記のようなことも聞き取って、その人を取り巻くあらゆるものを考慮して支援の最適解を出します。
慣れない内は本当に大変です。


「宇宙人に侵略されている」「悪い奴らの電磁波に脳がやられる、助けて」とか急に言われると驚きますが、本人の話をよく聞いて家族に状況を共有したり、やんわりと精神科への受診を勧めたりすることもあります。




病棟看護師時代は、当然入院してくる患者さんが相手で、主疾患がこれだから看護計画はこうで観察項目はこう、がはっきり決まっていたので、「なんでこの人うちに来たんだろう?」を聞き取るところから始まる支援は経験したことがありませんでした。

最初は、
個別性が病棟看護師のとき以上なんだけど…!包括ってすごい😭
と毎日悶えていました。



また、支援が難しいケースも経験してきましたが、「そんなところまで包括が動かなきゃいけないの?それは本人・家族がやるべきことじゃないの?」と胸の内で思ったことは正直何度もあります。

が、他の職種の先輩方から助言を貰いながらなんとか咀嚼し、看護師のときにはあまり持っていなかった福祉の視点も学んだ結果、アセスメント力が身について、対応の引き出しもかなり増えました。



他の職種(社会福祉士、主任ケアマネジャー)の知識をお借りして、こちらの保健医療の知識も共有して、力を合わせて「包括として、うちはこういう方向で支援しよう」と決めて、各々が動く。
その過程は、刺激的でとても学びが多いです。





対象となる人について


少し話がずれますが、大事なことなので私たちの総合相談の対象者についてもお話ししますね。


そもそも包括は高齢者を支援するためにできた場所なので、原則65歳以上の人が相談の対象ですと先ほどお伝えしました。

ただし、例外として、40〜64歳でも、以下の特定疾患になり介護が必要になった人(正式には第2号被保険者といいます。私たちは2号と呼んでいます)の相談にも対応します。


特定疾患は16種類です


2号は、私がこれまでに対応した中だと、末期がんか脳血管疾患(脳梗塞や脳出血)の方が多かったですね…

なぜ「40歳から」と決められているのかというと、介護保険料を払い始めるのが40歳だからです。

40歳になった月から、仕事をしている人は給料から天引きされますし、専業主婦など仕事をしていない人でも支払い義務が発生します。
払い始めることで第2号被保険者となります。




介護保険は、将来65歳以上になってケガや病気で介護が必要になったときに備えるための保険なので、40歳から保険料を払っていても、介護保険が使えるのは基本65歳になってからです。

ただ、65歳になった人全員が自動的に介護保険を「使える」ようになるのではありません。
何かしらの病気やケガをして、日常生活動作に介護が必要な状況になったときに初めて、介護保険の「申請」をします。

申請書を役所に提出して、①認定調査を受けて、②主治医の先生に今の身体状況を医学的観点から一筆書いてもらって(これを主治医意見書といいます)、①②を市町村で審査されて、「認定を貰えた人」だけが、デイサービス等の介護サービスを使えるようになります。

しかし、65歳未満でも、上記のような特定の病気になって介護が必要になったときには、保険料を払っているので申請ができるんです。



市町村にもよりますが、申請して認定結果が届くまでに早くても1か月半、混み合っていると最低2か月はかかります。

最近は、高齢者の増加に伴って申請する人もすごく増えているので、より時間がかかると思っておいた方が良いでしょう。

この申請については、通常は本人か家族が役所に行って申請書を直接提出するんですが、もし依頼された場合は、包括が申請書を市に持って行って代行で申請することもあります。





業務その2 介護予防ケアマネジメント


介護予防ケアマネジメントは、介護予防のための介護サービスの内容などを、高齢者本人や家族と話し合いながら決める業務です。

先ほど、「認定」という単語を出しましたが、介護保険の認定には7つの区分があります。



要支援1が一番軽く、要介護5が一番重い認定です。

(※申請した人全員に上のどれかの認定が必ず貰える訳ではなく、「貴方はまだまだお元気なので介護保険の対象ではありません。今回は非該当です」という通知がくる人もそこそこいます。
非該当が出た人、つまり認定が貰えなかった人は、65歳以上であっても介護保険のサービスを使うことはできません。)


上の図にあるように、
●  要支援という区分の人は「介護予防サービス」
●  要介護という区分の人は「介護サービス」
と分かれてはいますが、デイサービスに通うとか歩行器をレンタルするとか、使えるサービスそのものに特別大きな違いはありません。

同じサービスでも認定の区分で呼び方が変わるんだな、というイメージで大丈夫です。

ちなみに、「介護予防」という単語には、「いま要支援の人は、悪化して要介護にならないように自分たちでも努力してね。ちゃんと予防するんだよ〜!」という意味が込められていると先輩が話していました。




そして、私たち地域包括支援センターは、介護予防サービスを希望する高齢者(=要支援1、要支援2の認定をもつ高齢者)を担当し、ケアマネジメントを行います。

つまり、管轄地区内において要支援の認定を受けた人のケアマネジャーになるんですね。



具体的な流れの例をあげるとすると、

「自分で申請したら要支援1が出たので、デイサービスに行きたい」という電話がくる
→訪問日程を調整
→当日訪問して、介護保険証を確認。地域包括支援センターとのケアマネジメント契約を結ぶ
→既往歴や生活状況、ADLなどをヒアリングして、本人の希望に沿ったデイサービスをいくつか紹介
→後日見学に行ってもらう
→通いたいデイサービスが決定したら、そのデイサービスに行き始めるにあたっての話し合いの場(=サービス担当者会議)の日程を調整する
→当日までにケアプランを作る
→サービス担当者会議を開催
→利用開始


これを知ったとき、「え、私ケアマネの資格持ってないけど大丈夫?ただの保健師だけど私が作成していいものなの?」とびっくりしましたが、ケアマネジメントのプロである主任ケアマネジャーをはじめ、先輩方が色々と丁寧に教えてくれました。

保健師でも社会福祉士でも、主任ケアマネジャーと同様に担当を持ちます。

おっかなびっくりだった私も、今では40人くらい受け持っています。


包括がケアマネジャーとして担当できるのは要支援の方のみとお伝えしましたが、業務その1で記したように、相談そのものは要支援以外の方からも沢山きます。
総合相談の窓口であることに変わりはありません。




また、まだ申請したことがないお元気な方や、申請したけど非該当という結果が出た人など含め、地域の高齢者ができるだけ長く元気に生活できるように、介護が必要とならないため(=介護予防)の健康教育を行っています。

サロンや老人会などから依頼があると、当日行けるメンバー2人くらいで伺って、その時季に沿ったテーマで健康教育を行います。

この健康教育は保健師以外の職種でも大丈夫で、
夏:熱中症や夏バテ対策
冬:ヒートショックや感染症予防
のような感じで大体テーマが決まっています。

サロンの代表の方から「こういうテーマでやってほしい」と言われれば、当日までにそれについて調べてお伝えすることもあります。


担当の地域に住む高齢者が元気でい続けるために尽力しています。
健康教育では、保健師の知識と経験が特に活かせると感じますね😊




後編では


ここまで読んでくださってありがとうございました😊

今回は、包括保健師というよりは包括そのものについてのnoteでしたが、包括がどんなところか、なんとなくイメージできましたでしょうか?

書き始めるとあれもこれも…で長くなってしまったので、業務その3とその4は後編で解説することにします…ゴメンナサイ😭

後編では、上記に加えて、包括保健師の給料や待遇についてもお伝えできればと思います!

それでは😊

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