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#7 三角関係のなれの果て、暗い闇に入る


兼ねてから彼と約束をしていた事がある。「私は身を引くから、後釜になる男友達を紹介して欲しい」と。その約束どおり、彼の友達を紹介してもらうパーティーが、その友達の家で開かれることになった。彼のハンガリーの彼女も一緒に。


その時、私に送ってきた場所のディレクション(行き方)を見て少々恐ろしくなった。細かすぎる、長すぎる。その説明はきっと彼の性格そのものなのだろう。

そのパーティーで、私達はもう一つの約束をしていた。「絶対私の前で(彼女と)イチャイチャしないでね」。


でも彼は約束を破った。それは私が最初からやきもちをやくと分かってやったのか、自然に出てしまったのか。彼が紹介してくれた友達は、多少なりとも私を気に入ってくれたように映ったので、「彼の目の前でこの友達と性行為をしても良い」という気持ちになった。


そしてまた私はあてつけにハッパをして意識もうろうとした。その友達に寄りかかって泣き始めた。するとずっと涙が止まらなくなった。彼はそんな乱れた私を残して帰るのは、耐え難かったと後で言っていた。


彼女の前で私の頬や首にさわり「Are you OK?」と何度も繰り返し、後悔しながら帰っていった。


私とその友達は二人きりになったのに、その友達は私に何もしなかった。ただ大丈夫か、家に帰れるかと気を使って、ずっと私の意識がはっきりするまで待ってくれていた。車に乗っても、途中まで車で後をついてきて来てくれた。とても良い人だった。

それから2,3日経って、すごい事が起こってしまった。彼は滞在中の彼女をハンガリーに帰してしまった。その彼女を空港まで送った足で、私が住むサンマテオの家に来たのだが、私はあいにく外出中で、彼の感情的な置手紙を見てただただ驚くしかなかった。どんなに二人が傷ついたか手に取るように想像できた。

それから彼は絡れた三角関係がねじれ、クレイジー状態に陥ってしまった。どうしようもなく恋をしている自分と彼女への想いや責任とで、暗い闇の中に入ってしまった。私に「彼女とは別れた」と言っても、心の中では罪の意識と思いやりを同時に持っていた。しばらくすると、私とも話せなくなったし、会いにも来なくなった。私は彼にもう少し時間を持たせようと思った。このまま上手く行くとも思わなかったし、この恋を終わらせたくもなかった。
しかしいつまで経っても答を出さない彼に私はイライラし始め、何の約束もないのにある日、バークレーの「私達が出会ったカフェ」まで行った。すると木陰のテーブルに暗い顔をした彼が座っていた。私達は2時間くらいそこで話した。



その後家にいっても彼の瞳はうつろだった。そのうつろなまま、私達は関係をもった。そこには、私が独占するはずだったベッドルームに彼女の写真が何十枚も飾られていた。彼女の笑った顔ばかりがそこにあり、そして彼女が涙を流した同じベットで私達はセックスをした。過去にこれほど空しく切ないセックスはなかった。


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