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アラフィフ男の直腸がん治療日記 #2
この記事は、2024年に直腸がんのステージ3と診断されたアラフィフ男性の、治療の日々を綴った回想録です。完治の目安とされる術後5年間、がんと共存しながら自分らしく生きる糧にしようと始めました。マイペース更新ですが、もしよろしかったら最後までお付き合いください。
▼前回の話はコチラ
#2 63日間の入院生活で得たもの
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急性虫垂炎の手術を受けた中学生時代以来となる、開腹手術&入院生活。
術後約2週間は、治療と合併症予防を目的とした2本の管が腹部に、点滴の管が手に挿入され、その姿はまるで“小人につかまったガリバー”のよう。激しい痛みで起き上がれず、歯がゆかった。
体が動かせるようになったあとも、回復のペースはゆるやかに推移。退院のメドが立たないもどかしい日々が続いた。制約と我慢を強いられる日々に、私のストレスはたまる一方。結局、病院暮らしは2か月超、63日にも及んだ。
そんな状況下で私は、病院内の人間観察するようになっていた。
ある人が「病院は人間性が垣間見える場所だ」と言っていたけれど、本当にそうだなと感じた。コミュニケーションって大切だなと思ったし、高齢化社会や介護問題について考えさせられる場面もあった。
他方で、医師や看護師の仕事ぶりには感服した。仕事とはいえ、患者一人一人を献身的に支えようとする姿には頭が下がる。私も、彼らの懇切丁寧な対応と言葉にたくさんの元気をもらった。
入院生活の不自由さは、スマートフォンのおかげで幾分か解消できた。
最新のニュースや情報はもれなく収集できるので、退院後は浦島太郎のようにはならなかったし、気になるドラマやバラエティは配信サービスで見逃さずにすんだ。入院生活で必要だと感じたアイテムはネットで購入できたし、家族や仕事関係の人たちとはメールやSNSでコミュニケーションがとれた。
スマートフォンって便利だなと、改めて感じた。
今回を機に、自身の生き方を見直そうと決意した。
例えば、お金について。休職中で収入がなくても税金は納めなくてはならず、生活関連費で毎月決まった額が銀行口座から引き落とされる。高額な手術代と入院費を目にしたとき、保険の保障内容や公的制度を熟知しなかった過去を反省し、経済力を磨く必要性を感じた。
改善点は他にもある。健康面では、できるだけ長い距離を歩くなど、体を動かす時間を増やすことを心がけた。学び直しに目覚め、興味・関心のある事柄に出合ったら、その分野の本を購入して勉強することを習慣化した。
こうして新たな人生のステージを歩み始めた週末の午後、テレビから流れてきた懐かしい歌に背中を押してもらった。
2007年にリリースされた、桑田佳祐の「明日晴れるかな」。
奇跡のドアを開けるのは誰?
微笑みよ もう一度だけ
君は気付くでしょうか?
その鍵はもう
君の手のひらの上に
仕事とプライベートとがんの治療を両立させるため、できることを一つずつ、自分のペースでやっていきたい。
つづく
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