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LGBT+Q

私の娘はLGBT+Qです。具体的にはT。つまりトランスジェンダーのくくりに入ります。
本人は小学生の頃からそれを自覚し始めていましたが、私たち親にも言えず一人で随分苦しんでいました。
当時は「性同一性障害」という言葉がやっと社会に現れ始めた頃でもあり、我が子が性自認に苦しんでいるなど想像も出来ず、服装や髪型などの嗜好から「男っぽい子」という認識でしかありませんでした。
娘がそれを打ち明けてくれたのは、中学を卒業する直前のことでした。大粒の涙をこぼしながら語った後に「ごめんなさい」と言い、両手で顔を覆いました。その姿は今でも私の脳裏に焼き付いています。そんな言葉を娘に言わせてしまったことへの慚愧の念が消えることはありません。
幸いにも「トランスジェンダーであろうと私の子供である事に変わりはないし、この子が笑って生きていけるなら性別など問題では無い」と抵抗なく受け入れることができたので、その気持ちをそのまま娘に伝えました。
当時の私にLGBTに関する知識はほとんどありませんでしたが、普段から子供には「どんな道を歩んだとしても、前向きに笑って生きて欲しい」という思いが常にありました。それは私自身の生い立ちからくる反動のような願望でした。育児能力を著しく欠く両親でしたので、幼くして親戚に預けられ家族というものを知らずに育った私にとって、子供の幸せは自分の命にも勝るものでした。

こんな動画があります。
ここには子供からカミングアウトを受けた親のリアルがあります。

その後トランスジェンダーであることを明らかにした上で悲喜こもごもの高校生活を送った娘は人として強くそして誰よりも優しくなりました。
その後大学を経て社会人になりましたが、ありがたい事に性同一性障害の認知が拡がり始めた時期でもあり、会社も娘の事情を知った上で採用してくださいました。今では性別適合手術も終え、戸籍上でも「男性」となって海外で技術者として働いております。

鈴木優希(すずきゆうき)さんは

僕は性別適合手術で戸籍を変えたら悩みが無くなる!ゴール!!
そう思っていた。
でも違った。
確かにだいぶ生きやすくはなった。
それだけで性別適合手術を受ける価値はもちろんある。でも出来ないことは出来ない。元々の身体は「女仕様」だから、外見を似せることは出来るけど根本からは変えられない。それは当たり前であり、仕方のないこと。
だから、多くを求めてもいけない。
今より良くなったら上等。そう思って望むくらいがきっとちょうどいい。

LGBTのボクが世間の人に望むこと

と、語っています。
性別変更をしてもすべてが解決したわけではないというのがLGBT+Qの真実です。
この問題の教理的理解については改めて考察したいと思っていますが、彼ら彼女らが少しでも活き活きと生きてゆける社会になって欲しいものです。

水も肥料も与えられずに放置され、それでも咲こうとする野の花は雨を力とし、風すらも肥とする。そうして遂に咲いた花こそ美しい。
私の好きな言葉です。

ではまたいずれ。


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