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ドイツは私の家族に補償を与えた。パレスチナ人もイスラエルから同様の償いを受けるべきだ。

本記事は、米国の独立系メディア「Truthout」に掲載された、ユダヤ系アメリカ人Jane Hirschmannによる論説 "Germany Gave My Family Reparations. Palestinians Deserve the Same From Israel." (ドイツは私の家族に補償を与えた。パレスチナ人もイスラエルから同様の償いを受けるべきだ)の邦訳です。(Copyright, Truthout.org. Reprinted with permission)

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ジェーン・ハーシュマン
2021年6月14日

私はアメリカ人1世です。ユダヤ人の両親は、ホロコーストの恐怖が広がるドイツから逃げて来ました。強制収容所の露と消え、自分たちの家から逃げる途中、ナチスに追われて射殺された家族を残して。

私の曽祖父、祖父、そして父は、フランクフルトで成功した精肉ビジネスを経営し、肉屋の隣のアパートに住んでいました。父はいつも、ヒットラーが現れるまでは自分がユダヤ人であることをほとんど意識したことがなかったと言っていました。いつも「ドイツよ、すべてのものの上にあれ(訳注:旧ドイツ国歌の中のフレーズ)」でした。

母の家族は、ヴェッツラーの小麦商人でした。ヒットラーが台頭してから、母は新しい国で言葉を学び、両親と弟を呼び寄せる資金を稼ぐために先にドイツを出ました。母の家族はほとんどお金を持たずに米国へ来たので、他の多くの人達と同じように、また一から人生を築かなければなりませんでした。

戦争が終わると、失ったビジネスと迫害の犯罪を償うため、ドイツは父に補償金を支払い、父は91歳で亡くなるまで毎月小切手を受け取っていました。両親は二人ともドイツ政府によって帰還を歓迎され、ドイツのパスポートと市民権を返してもらえると言われました。

1933年から1945年の間に、父親がホロコーストにより祖国を去ることを余儀なくされたと証明できる生存者の子供は、その子どもや孫、将来ずっと続く子孫の代まで、ドイツ市民になれる権利があります。去年、私と子どもたち、そして孫たちはドイツ市民になり、EUパスポートをもらいました。

自分の家族とその歴史について考える時、イスラエルが建国された1948年に自分達の家や土地から追放された75万人のパレスチナ人が、私の家族が第二次世界大戦終結後に受けたのと同じ扱いを受けられないのはなぜか、考えてしまいます。でもパレスチナ人に対する戦争は終わったことはなかったのです。その代わり、今起こっているシェイク・ジャッラーハや他の東エルサレムの地区の強制排除に見られるように、イスラエルは今でも民族浄化政策を続けています。

イスラエルの人権団体ベツェレムと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、今も続くイスラエル政府と入植者によるパレスチナ人に対する酷い扱いを記録し、これを非難しました。これには、パレスチナ人の土地と家の没収、移動の制限、表現と集会の自由の制限、建築許可の発給拒否、多くの基本的な市民権の否定、イスラエル軍に援護された過激派ユダヤ人入植者による脅威が含まれます。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、パレスチナ人に対するこのような行為は、国際法上、人道に対する犯罪とされている迫害とアパルトヘイトにあたると結論づけています。

私達は最近、14年間封鎖下に置かれ、抑圧されてきた200万人のパレスチナ人が住むガザへの残虐な爆撃を目撃しました。米国で製造された最新鋭の兵器を使い、イスラエル軍は市中の民間人を標的にし、18棟の病院やクリニック、アパートを爆撃し、多くの子どもとその場に居合わせた罪のない人々を殺害しました。

私は自問します。ホロコーストの被害者とその子孫が、人種を理由に他の人たちをこんなにも残虐な目に遭わせるなんて、どうしたらそんなことができるの?ドイツが自ら犯した犯罪の責任を取って私の家族に補償金を払い、帰還を認めたのと同じ権利が、なぜパレスチナ人にはないの?パレスチナ人には、補償される権利と帰還権があるべきでは?イスラエルが主張するのと同じ自決権が、パレスチナ人にもあるべきでは?

パレスチナ難民が、追い出された故郷に帰る権利は、国際法上確立されたものです。これを裏付ける最初の根拠は、1948年12月の国連総会決議194号(III)です。この中で国連総会は「家に戻り、隣人と平和に暮らすことを望む難民は、実行可能な最も早い日にそうすることを許可されるべきであり、帰国しないことを選択する者には、国際法の原則および正当な権利に基づき、政府か責任のある当局が、財産の損失および損害に対する補償を支払うべきであることを決議する」としています。

数千人のユダヤ系イスラエル人が、追放、財産の損失、迫害されたことでドイツから補償とパスポートを貰っているのに、イスラエルはパレスチナ人が追放された土地に帰ることを許さないのは、ある意味皮肉なことです。

明らかに、この地域における平和の可能性を阻んでいるこの重大な矛盾と、私はどうしても折り合いをつけることができません。

私は、このような行為がユダヤ人の名のもとに行われ、自分の政府(米国政府)がイスラエルの犯罪に資金と武器を提供していることを深く恥じ、憤慨しています。

(邦訳:Simsim)

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