人は放っておいても前に進む

社会人生活を何年経験しても月曜日の朝は眠い。今日はちゃんと起きて多少余裕の持てた朝だと思う。それなのに電車は遅延して、そこそこ混んでる車内でなかなか席に座ることもできなくて、うまくいかないもんだなと思う。

夏が本格的に始まった。今年は特に猛暑で私服で働く自分は慢性的なTシャツ不足に陥る。
こういうわかりやすい季節になると、なぜだか過去のことを思い出す。とはいえそんな昔のことではなく、たった一年前のこと。

去年の今頃、窓から東京タワーが見える立派なオフィスビルで働いていた。何も持たない自分にもそれなりのお給料をくれる、真面目な人たちが多く集まっている会社だった。

その会社に勤める前は、夢にまで見た憧れの会社で働いていたけど、仕事も私生活も振り切れない自分の無力さを感じて辞めてしまった。
それから、一から自分を作り直すつもりで転職をして、無事に東京タワーを眺めながら時には全国を飛び回るような仕事についた。

とにかく一から経験を積み直すつもりだったけど、早々に計画は崩れた。日々のルーティンに順応できない自分の違和感が抑えきれなかった。

「少し前まで落ち着きたいと思ってたはずなのに、結局無いものねだりだなあ」と自分が少し情けなくなりながら、それでも一度芽生えた違和感は消せない。

そうして一年経って、今はまた小さなベンチャー企業で働いている。
ものすごく特別な成果を出したりや努力をしたわけじゃないけど、半年必死に食らいついていたらわずかな肩書きもついた。

度々憂鬱な気持ちで、去年の夏とは真逆のループにはまりそうになりながら、自分を奮い立たせて、こうして会社へ向かう。

今、人は放っておいても前に進むものだなと、他人事のように自分に思う。

うまくいったりいかなかったりを繰り返して、停滞しているように見えて、実は立ち止まっている日なんて一日も無いんじゃないかと思う。

今日も一日、何センチメートルか歩を進める。多分自覚はできないけど、きっと前に進んでると思う。

最後には席にも座れたし、何も変わらない日々なんて無い。

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