「きっと、セックスがよかったのよ」

撮影現場のおしゃべりは
“年下男とのセックス”をテーマに盛り上がっていた。

今では当たり前になった年上女と年下男の組み合わせ。

最近呼ばれる結婚式が立て続けに年上女房だったことから
そんな話がはじまった。

「年下男の魅力は、やっぱりセックスよ！」

年下とのロマンスが事欠かない
生粋のクーガー、ヘアメイクのありさはそう断言する。

「あの、つるつるのシルクスキンといったら！　
年齢を重ねてしまった人間にはない"テクスチャー"
あれを味わうのが年下男との醍醐味」

「確かに"かかと"が違〜う！」

ころころ変わる年下彼氏との年齢差を
10歳、15歳、20歳と、記録的に更新し続けている
同じく自他共に認めるクーガーの晴香も参戦。

テクニックとかスキルとかではなく肉体のフレッシュさ。
それが、たまらない。　

盛りあがる二人の話を聞いていると
どうしてもグルメレポートを連想してしまう。

美食の感覚に近いのかしら。

もちろん、編集のエミさんも黙っていない。

「なんか年下の男って爽やかなイメージがあるんだよね。
淡白っていうのかな、性欲もね。だって、草食男子とかいうじゃない？」

たしかに私にとっての年下の男の子は、爽やかで眩しい感じ。
性に淡白な男子も多いのね、メモメモ。

「年下の男は自分のやり方に意固地にならない気がしていて、なんだか柔軟なの。だから、こちらの意向を伝えやすいっていうか。私がむしろリードしちゃうもん」

と、晴香が続ける。

なるほど、女性のからだを教えていくのね。なんだか大胆な気分が味わえそう。

「でも私、年下男とのセックス...つらいかも...」

年下男への幻想に待ったをかけるのはモデルの美保だ。

「ワンナイトの関係だったんだけど“すぐ勃つ、すぐイク、何度でも”って感じで。朝までノンストップ。ムード作りとか、テクニックがないから、すぐに挿入したがるし。私、自分の体がぜんぜん追いつかなくて、アソコが痛くなっちゃった...
それっきり年下はもういいかも。年上はいいよ。丁寧だし、余裕あるし、濃厚」

そうか。
年下だと元気でフットワークも軽い分、応えるほうも大変。
年上女性ならではの苦悩もあるわけね。

そう聞くと
ファストフードの年下か
コース料理の年上か

なんて、やっぱり料理を連想してしまう。

「性欲の塊じゃない年下もいっぱいいるよ。ていうか、最近そっちの男の子が多くない？そういう男の子とのまったりしたセックスを、標準的であたりさわりのない味、特別なトッピングもない、そんな由来から"バニラセックス"って言うんだって」

割って入ったのはモデルのなつみだ。

やっぱりセックスって、食べるものととっても近しいものなのね。

「私、そういう年下の男の子といると癒されるんだよね～。別にセックスもそんなに求めてこないしさ。
肉体のつながりよりも、心のつながりって感じで一緒にいて居心地いいんだよね」

現代の女性はお金もパワーもあって
社会で男性たちと肩を並べている分
無邪気でまったりした年下の彼の前では、ホッと鎧を脱ぎ捨てられる。

働きすぎておっさん化した女子が
本来の女性性を取り戻すことができる
"年下男子セラピー"みたいな感じなのかしら。

「ってか、月子。にやついてるけど、あなたはどうなの？」

どうせ、ご無沙汰なんでしょう。という調子で
急に話の矛先が私に向いた。

「来週の土曜って予定空いてる？」

年下の彼と同棲をはじめたありさの新居で
引っ越し祝いにホームホームパーティするから
みんなで集まろうって話がでてたっけ。

「彼の友達も来るから、ぜひ来てよ。もうこの際、いい人見つけちゃえば？」

そう言われると、また年下男の魅力を思い描いてしまう

シルクのようなテクスチャーの肌...漲るスタミナ...甘いバニラを味わうデザートタイム...セラピー効果...

またも、にんまりとして、そのありがたいお誘いに浮き足立ってしまう。

年下でも、年上でも、同じ歳でも
誰と恋に落ちたっていい
そんな無限の可能性を秘めている今、この瞬間。

そんな出会いの予感に、期待に胸をふくらませている。

もし、久しぶりに恋人ができたら
お互いに心地いい関係を築いて
甘くて激しい、そしてなによりも"美味しい"セックスがしたい。

まだ出会ってもいない年下男との恋人気分を思い描きながら

みんなとの撮影後の打ち上げ場所は

ステーキハウスにしようと心に決めた。