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ポートフォリオ戦略実践講座:「粘り腰の日経平均―裏に利益のストック拡充で強まる企業の基礎体力」


相場環境は最悪とも言える状況にもかかわらず株式相場日経平均)が底堅さを維持している背景を探ります。

 コロナ禍が世界を席巻し実体経済への深刻な影響が明らかになりつつある中、前期決算の発表によって表出した業績の悪化によって株式市場のファンダメンタルズが急速に悪化しています。

 それにもかかわらず日経平均は3月に急落したものの、以降はむしろ回復過程を辿っています。このような日経平均のしぶとい粘り腰はどこからきているのでしょうか。日本銀行のETF買いが一定の効果を果たしていることは確かですが、ここでは相場形成の本筋に戻って見てみましょう。

 株価は会社の価値を適正に表すことが本来の姿ですが、ここで、株主にとって最も基本的な会社の価値を示す“純資産”に注目します。純資産は会社の総資産のうち株主に帰属する部分で、会社が解散に至るという最悪のケースで株主の手元に残る価値ということで株主にとって最も基本的な会社の価値となります。

 当講座は日経平均株価は“日経平均会社”の価値を評価した株価であるとし、日経平均会社の1株当たり純資産を日経平均株価の基本価値として計測しています。また、同様にして日経平均会社の収益を表す指標として予想1株当たり利益予想EPS)を求めています。

 下の図はリーマン・ショック後の市場の混乱が収まった2009年5月から直近の2020年5月までのこれら指標の月末値を示すグラフです。ただし、2020年5月は21日終値です。

予想EPSと1株当たり純資産の推移(月次終値)
―2009年5月~2020年5月(2020年5月は21日終値)-

グラフ20200522

 青線が予想EPS、赤線が1株当たり純資産を示します。2020年3月からの予想EPSの下落は激しいですが、今期の業績見通しが立たないということで発表をしていない会社も少なからずあり、それらが表に出るときにもう一段の下落もありそうです。
一方、1株当たり純資産は直近まで堅調に推移しており、そのが目立ちます。これは、純資産はそれまでの企業の利益(のうちの内部留保)全ての積み重ね(ストック)であり、特に近時は利益水準が過去最を更新し続けてきたことで純資産が順調に増加を続けてきたことによります。
こうした状況を背景として日経平均(日本の株式市場)の基本的な価値、基礎体力が強化されていることが、収益環境の波乱に対する株式相場の底堅さにつながっていると考えられます。
今後、実体経済の低迷長期化するなどさらに環境悪化が進む場合は相場の変動も避けられない情勢ですが、長期的に純資産の価値が相場の下支えになるという構造は変わらないと見られます。

純資産と近時の相場情勢について、より詳しい解説を個人向け投資学習サイト、「資産運用のブティック街」の「応用講座」のコーナーに載せています。当コーナーは会員制で有料となりますが入会の当月は無料ですので気軽にお試しいただけます。なお、当サイトで上述の予想EPSと米ドルを基に計測する「日経平均の理論株価」を無料で公開しています。併せてご試見いただければと思います。

講師:日暮昭

日本経済新聞社で証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

(*)ご注意

当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。当講座を基に行った投資の結果について筆者とインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。

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