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結婚式の『音楽』についてキャプテンが思うこと

【B buddy consulting】唐木です。


今日から少しずつ、キャプテンとウェディングプランナーそれぞれの目線で結婚式のあらゆる『素材』について想いや考察を綴っていこうと思います。

今日は結婚式の『音楽』について、
キャプテンである僕の目線で。

◆結婚式における音楽のチカラとは?

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僕はこの業界に足を踏み入れ12年。
キャプテンとしては11年になるが、、
結婚式の音楽の重要性に
本当の意味で気づけたのは
実は4〜5年前くらいから。


結婚式という、あらゆる人の『想い』を体現する『場創り』において音楽のチカラは実に強大で。


それらを加速させる素材の中でも
『最たるもの』の一つだと思っている。


結婚式はLIVE。生き物。
だから決して、予測通りに、
規則正しくは動いてはくれない。


新郎新婦、御両家、友人。
そこに会した全ての人の想いと感情が
時間と空間に乗っかっていく。
会場が揺れるほどの高ぶり。
止めどなく溢れる涙の瞬間も。


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このように結婚式の中では
人の感情や想いが上へ下へ、直線的ではなく、
緩やかな曲線を描いて動いていく。


僕はそれを『感情曲線』と呼んでいる。


そして、その感情曲線を整え、導くものこそが
『音楽』のチカラだと僕は考えている。


音楽によって

普段言えない言葉が溢れ出したり。
握る手の強さが増したり。
美しく、温かい拍手で会場が包まれたり。


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人の奥にあるものを『能動的』に発動させる。

そんな不思議なチカラが音楽にはあると思っている。


僕の中でそれが
一番実感できた結婚式がこちら↓↓↓




◆結婚式の『音楽』はまだ原石のまま

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これだけ強大なチカラを持つ音楽。

そして、とても繊細で美しいもの。


しかし、繊細で美しいものを扱う時は、
どんなものであれ優しく、
大切にしなくてはならない。。


音楽は強大なチカラを持つ反面、
とてつもなく脆く、儚い。


0.5秒フェードインのタイミングがズレたり、
音のボリュームに誤差が生じれば
人の感情は無意識に操作され、
たちまち『場創り』を壊すこともある。


正直なところ、
1秒にも満たないその一瞬にこだわり、
優しく大切に結婚式の音楽と向き合えている
ウェディングのプロは決して多くない。


例えば、僕が携わるキャプテンは結婚式当日、
『場創り』のコントロールが1番の役目。


目の前の新郎新婦やゲストの表情や心情を
会場のど真ん中で感じとり、
刹那の判断で『場創り』に適した音を見つけ出し、司会や音響スタッフとの連携が必要となる。


キャプテンの感度、判断。
司会の言葉選びや間合い。
そして音響スタッフのミリ単位の操作。

これらが噛み合った時に初めて、
美しい場創りは完成する。


決して容易ではない、
この刹那のクリエイティブを
磨き続けられている人が
圧倒的に足りていないと感じている。

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そして、音楽の重要性が届いていないのは
結婚式当日のクリエイターだけではない。


結婚式場の打ち合わせの仕組み自体や、
プランナー、音響スタッフなどの
提案力にもそれらは顕著に表れている。


これは式場にもよるが
BGM選曲を全て新郎新婦様に
「丸投げ」しているところも多くある。


一つのウェディングパーティーに対して、
迎送客用、演出用、歓談時間用、入退場用、ムービー用など合わせて、およそ40〜50曲も決めなければならない。

一度やったことのある人なら分かると思うが
相当な労力と時間を費やしてしまう。


ましてや、
結婚式創りが初めての新郎新婦様が
当日の料理の兼ね合い、
タイムコントロール、
ゲスト様の感情曲線を意識して
選曲できるはずがない。


そして、その選曲リストを
新郎新婦様から『そのまま』お受けして、
結婚式当日を迎えていく。


思い入れのある曲、大好きな曲など
新郎新婦様の好みを尊重することも
大切だし、否定するつもりはない。


ただ、結婚式当日。
あらゆる場面で見えてしまう乖離。


例えば、会場装花、ドレス、
ペーパーアイテムなどビジュアルは
『アンティーク調』のもので固めているのに
曲は「浜崎あゆみ」「倖田來未」。

(※浜崎あゆみさん、倖田來未さんを否定しているわけではありません。あくまで創りたい雰囲気に合っているか?ということです。)


歓談メインで「ゆったりとリラックスして過ごしてほしい」という新郎新婦様の要望の上で、選曲されているのは2人が大好きな「激しめのロック」。


新郎新婦様が届けたいものと選ばれた音楽が
見事にマッチングしていないことが多い。


ここを美しく導くのは打ち合わせを担当する、
ウェディングプランナーや音響スタッフの役目。


ただ「好きなもの」を集めるだけなら
プロが介在する価値はあるのだろか?
と僕は思っている。


他にも、、、
『歓談曲』というと
楽しくて盛り上がる曲だけを選びがちだが。


先ほどから伝えている通り。
結婚式の場創りはそこに会した人たちの
『感情曲線』によって変化する。


例えば、ウェディングパーティーも
お開きの時間が迫った頃。
お腹も満たされ、
お酒が入り心も緩んできている時間帯。


歓談▶︎▶︎▶︎花嫁の手紙に移る時、
そんなにスムーズに
空気感を変えられるだろうか?


お手洗いや喫煙の為に
席を離れている人もいれば、
大きな声で笑って話をしている人もいる。


人の感情というのはそんなに賢くない。
心を落ち着けて
花嫁の手紙に耳を傾け、
想いを馳せて聞き入ってもらう為には
僕たちが空気創りを仕掛けてから
少なからず、『ラグ』が生じている。


だとすれば、
歓談曲は花嫁の手紙に入る10分ほど前から
落ち着ける曲調のものを取り入れたり、
司会のアナウンスや
サービススタッフの動き、
会場照明の変化をつけていく必要がある。


だから歓談曲の中で
空気を整えられる、
落ち着いた曲調のものを
何曲か用意する必要があったりする。


しかし、おそらくほとんどの新郎新婦様は
そこまで理解できていないし、
想像だってできていない。


創り手である僕たちからの小さな提案が
結婚式を少しずつ美しくする。

まずは僕たち『結婚式の創り手』が、
その音楽という名の『美しい原石』を
大切に優しく扱い、磨き上げていくことが
結婚式の進化には必要ではないだろうか?


◆結婚式の『場創り』を磨くために

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最近、僕たちがSNSを使って発信する内容で
多用しているこの『場創り』という言葉。


実はここに対して僕は正直なところ
焦りを感じている。


コロナの影響も相まって増加している
『少人数・家族婚』。

演出も少なくなり、
人数も減ってしまった現在の結婚式。

ここに求められるものは相当難しくなってきた。


演出や人数が減ったことにより、
限られた『素材』の中で今まで通り、
いや、それ以上の感動や喜びを求められる。



これまでの結婚式の延長線上に、
求められている結婚式は存在しない。


これまでの結婚式から
ただ『引き算』するだけなら、

「結婚式なんてしなくていいよね」

となってしまう気がしている。


誰も想像すらできなかった、
得体の知れないウイルスにより
世界ではあらゆるものが分断された。

しかし、僕たち人間は心のどこかで
『人』に対する愛おしさを再認識している。

これまで以上に『愛』『温もり』『優しさ』
これらをきちんと感じたいし、届けたい。
そういう場を欲していると思っている。


だからこれからの結婚式。
重要な課題となるのは
人の心にきちんと想いを届けられる『場創り』。


その場創りを磨くために、
僕たちにできることは山ほどある。


僕は必ず進化できると確信しているし、
結婚式の素晴らしさを
僕たちは誰よりも知っているからこそ。
それを高め、伝えていく義務もある。


いまだ、原石のままである『音楽』だってその一つ。


まずは磨ける余白がまだまだある、ということに
『気づく』ところから始めたい。


僕たちは今、
そういった結婚式の大切な『素材』を
改めて見つめ直し、磨きをかけていこう。
と心に誓ったところ。


場創りを成した結婚式は、
その日だけのものはなくて。
きっと、誰かの「これから」を救い、守ってくれる。


僕たちは本質的に優しくて美しい結婚式を
世の中に増やしていきたい。

 

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唐木 裕介🧜‍♂️

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