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【3分読書メモ】「文章の書き方」(辰濃和男)を読んで

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■基本情報

書名:文章の書き方
著者:辰濃和男
出版元:岩波書店
出版日:1994年3月
ジャンル:文章術
読書メーター:https://bookmeter.com/books/511909

■気になったポイント(引用文+コメント)

ものを書くときは準備が大切です。小さな円を描いていたのでは、それだけのもので終わってしまいます。はじめから思い切って広い円を描いて準備すれば、内容に深いものが生まれます。

<メモ>要は「大から小へ絞り込め」ということ。始めは柔軟にのびのびと発想し、考えをまとめあげる際に(=筋の通った文章化)無駄な情報を削ぎ落とすべし。

読み手にとって未知のことがらを、よく知っていることがらにたとえて説明する。難解なこと、未知のことを、身近なたとえ話でわからせる。それが比喩の効用の一つです。諭吉は英語の翻訳でも一流でしたが、比喩という一種の翻訳でも、大変な才能を持っていました。

<メモ>たとえ話(比喩)が上手いと読者に感心される。卓越した比喩は理解を促す手段としてだけでなく、一種の文章パフォーマンスとも言えるだろう。

それならば、正確な文章を書く秘訣はなにかということになる、秘訣は文章にあるのではなく、表現したい思想なり感情を、しっかりとつかむことにある。表現したいものを、表からも裏からも、前からも後ろからも観察して、しっかり自分の手につかむ。それから筆をとれば、文章は正確たらざるをえない。

<メモ>物書きは常に「自分が何を書きたいのか」、それ以前に「自分は何を感じ、何を伝えたいのか」と自問自答すべきだ。

基本は「これを書きたい、これを伝えたい」という熱いものがあるかどうか、でしょう。書きたいことがあって書くのではなくて、なにか読者をおもしろがらせるためにものを書こう、ここで笑いをとろう、といった意識が走ると、文章が下品になる。

<メモ>興味の無いテーマを無理やりまとめようとしても、読者の心を逆撫でするだけである。そうではなく、まずは自分がどうしても書きたい・興味関心の強いテーマを見つけ出してから、「これをどのように伝えれば読者は喜んでくれるのか?」と考えるべきだ。

諭吉の文章の特徴をひとくちでいえば、やはり、「平明」ということでしょう。わかりやすいからこそ、万人に読まれ、万人に読まれたからこそ筆が力になった。「平明」という名の筆一本で世の中を変えたといってもいい。

<メモ>大衆(幅広い読者)に自分の意見を広めるためには、中学生でもわかるような、平明で分かりやすい文章を目指すべきである。どれだけ凝った表現を用いても、結局のところ、その真意(伝えたいメッセージ)が理解されなければ意味がない。

【本書の感想】

文章術に関する書籍は今日にいたるまで実にたくさん出版されているが、本書は”文章の書き方”というよりも、”文章と向き合う姿勢”を真摯に説いた一冊である。筆者の故・辰濃和男氏は朝日新聞社で約20年間の記者生活を送り、晩年まで多数の著書を残した紛うことなき文章家。そんな辰濃氏の教えはいずれも文章を編む上で限りなく重要な基本原則であるため、小手先の文章テクニックを学ぶ前にまずはこちらを押さえておくべきだろう。ブロガーやライター等、日常的に文章を書くなら是非とも読んでもらいたい一冊。

【こんな人にオススメ】

・普段からテキストベースで情報を発信している人
・文章を書くのが苦手な人
・文章術を通して「考える&伝えるとは何なのか?」を学びたい人

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