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#好き017 砂の女

安部公房の代表作。
面白い本と言われて、私が真っ先に思い浮かべる本。

あまり本を読んだことのない人から『お薦めの本は?』と聞かれたら。相手が男性なら「砂の女」か「春琴抄」を伝えてきた。薄いし。
女性だったらどうかというと「春琴抄」を薦めたことはあったけど、「砂の女」と答えたことがあったかどうか…。そこには、薦めることを躊躇してしまう何かがある。

※「砂の女」は新潮文庫の100冊に30年間以上選び続けられている。また、20ヵ国語以上に翻訳もされている、いたってメジャーな作品である。

砂の女」は、確かに文学でありながら、サイエンスを感じることがある。それは、手塚治虫のように安部公房が医学部の出身であることが関係しているのかもしれない。設定はSF的であるが、スティーブン・キング小松左京とは全然違く、やはり確かに文学的であり、SF的でありながら現実主義的で、その尖った文書と物語とが、魅惑的なのである。
別の作品である「箱男」などは、カフカの「変身」を彷彿させるほどのシュールさだ。

なお、安部公房の短編小説である「なわ」を重要なテーマにし、その引用から始まる「DEATH STRANDING」というゲームがある。こちらもお気に入りだ。

 「なわ」は、「棒」とならんで、もっとも古い人間の「道具」の一つだった。「棒」は、悪い空間を遠ざけるために、「なわ」は、善い空間を引き寄よせるために、人間が発明した最初の友達だった。

安部公房 「なわ」

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他にも、これまでの人生で私が特に好きだと感じたものを記事にしています。一覧だけでもぜひ見てください。



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