目指す学級像と学級目標

これまで長きにわたって「目指す子ども像」を考え続けてきました。
大学院で学び、多くの学校を訪れることでようやくその具体がぼんやり浮かんできたように感じます。
ですが、「目指す学級像」「学級目標」と聞かれると、途端に返答に窮する自分がいることに気づきました。
今回は、「目指す学級像」「学級目標」この2点について考えてみたいと思います。

まずは「目指す学級像」についてです。
個の成長と学級(以下、集団)の成長は、次のような往還関係にあると考えます。
個⇄集団の成長
これまでの自分の経験から、集団の成長から個の成長につながることよりも、個が成長した結果集団が成長することのほうが多いように感じます。
往還関係の矢印が同等ということはありませんが、個に求めることと集団に求めることはほぼ同じと考えてよいでしょう。
たくさん挙げればキリがないので、今回は3つに絞ります。

・主体性(積極性)
・自律(自分で考え決める行動する)
・協働(誰とでも関わる)

この3つが達成できた先に「自立」「幸せ」「ウェルビーイング」があると考えます。
これが、現段階で私が考える「目指す学級像」でもあり「目指す子ども像」でもあります。

以前の私は、こういったイメージを持つことができていませんでした、
そのため、一貫した指導の軸を持つことができていなかったように思います。
では、これを実現していくためにはどうすればよいのでしょうか?

子どもが自立するために教師が意識することとして、大前(2022)は次のステップを示しています。


①望ましい未来のゴールを語ること。
②どういう考え方や生き方が望ましいか語ること。
③ゴールに達成するために、具体的にどういった努力をすればよいのか示すこと。

①と③に「ゴール」という言葉があり、これを学級で考えると「学級目標」と言い換えることができるのではないでしょうか。
学級目標の定義とその必要性を赤坂編(2015)は次のように示しています。


学級目標は課題解決集団の育成というゴールにたどり着くための、子どもたちと共有する道標


その目標があるからこそ、個が努力し、集団としてまとまるわけです。子どもたちの大きな成長・飛躍のためには学級目標が必要なのです。


本当に生きた目標とするためには、子どもたちとかかわり、子どもたちと向き合い、子どもたちと学び合っていく中で、学級の課題を教師の責任でまずは浮き彫りにしていく必要があります。

このことからも「学級目標」というゴールを教師と子どもが共有することの大切さがわかります。
当たり前のことですが、教師と子どもで学級は創られていきます。
そのため、教師の願いと子どもの願いが「学級目標」には込められている必要があります。
そのことを忘れることなく、赤坂編(2015)で例示されていたポイントを踏まえ、これから学級目標を創っていきたいです。


学級目標作成ポイント
①短く、シンプルにする。
②抽象的であるけれど具体的な行為像をイメージしやすい言葉にする。
③学級目標に「協力」の要素が入るようにする。
④学級目標は、学級を改善するのではなく、よりよくするイメージからスタートする。


学校行事における学級目標活用のポイント
①学級目標を実現する具体的な行為像を行事ごとに学級全体で共有する。
②学級目標を行事の振り返り(中間・事後)や場面指導の観点として使う。
③学習発表会や運動会での発表内容や種目も学級目標をテーマに作成する。

最後に、学級という視点から個人に視点を移してみます。
子どもがゴールを描くために大切なこととして、大前(2022)は「成功体験の蓄積」に着目しており、3つに分類しています。


「個人の能力」に関する成功体験
「対人関係」に関する成功体験
「周りへの貢献」に関する成功体験

学級目標を達成するためには、個人の成長が不可欠です。
上記の指摘を踏まえると、個人の成功体験の蓄積が大切ということがわかります。
「個」の成長にこだわる次年度にしたいものです。

参考文献
大前暁政(2022)「できる教師の『対応力』」東洋館出版社
赤坂真二編(2015)「最高のチームを育てる学級目標 作成マニュアル&活用アイデア」明治図書


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