長期的な視点で子どもの変容を捉える

さて、昨日に引き続き「教育評価」について書き記していきます。

今回スポットを当てるのは「主体的に学習に取り組む態度」です。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価に関して、田中・三藤・髙木(2023)の指摘は大変参考になります。


「主体的に学習に取り組む態度」の評価とそれに基づく学習や指導の改善を考える際には、生涯にわたり学習する基盤を培う視点をもつことが重要である。


単元の授業の初めに見通しとして、学習評価の内容を学習主体である児童生徒と共有することで、授業を通して児童生徒が身に付けるべき資質・能力の対象を明確にすることができます。


成績を付けることを意味していた評価から、授業通して、資質・能力の育成を図ることを意味する学習評価へと転換を求めていること


どの指摘ももっともだと思う一方で、単元の初めに児童生徒と何でもかんでも共有することには違和感を感じます。

単元のゴールや身につけるべき資質・能力が明らかになりますが、与えられたものをさせられるのではないかと考えます。

私の中で教師が一方向的に示すようなイメージがあるため、こういったことを考えてしまうのだと思います。


・子どもから「やってみたい」を引き出す

・子どもが問いを持つことができるように支援する

こういったことが前提としてあることが肝要なのではないでしょうか?


改めて「授業デザインの段階でいかに子どもに寄り添うことができるか」が鍵になると考えます。


授業デザインに関して、田中・三藤・髙木(2023)は形成的評価の重要性を説いています。


児童生徒に単元・題材の学びの見通しを持たせる中で、「自分はこういう資質・能力を身に付けるんだ」という達成動機をもたせるとともに「自分は成功できそうだ」という見込み、すなわち「期待」をもたせることがまずは大切です。


教師は、「指導と評価の一体化」の中で、学びの状況を把握し、児童生徒の失敗や課題の未遂行が「課題や対処が不可能な嫌悪事象」となるのではなく、「適切な学びの機会」となるような支援を行うことが必要です。


現場では「指導と評価の一体化」が求められていますが、はじめに評価ありき、はじめにゴールを設定することで、教師の指導の在り方が決まるのがよく分かります。

言い換えるならば、子どもがゴールに辿り着くことができなければ、形成的評価が機能していないということになります。

1時間の授業で子どもの姿を捉えることも大切ですが、単元を通した子どもの変容といったように長期的な視点で子どもを捉えることも大切です。


参考文献

田中保樹・三藤敏樹・髙木展郎(2023)「主体的に学習に取り組む態度」東洋館出版社

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