【読書メモ】「神田ごくら町職人ばなし」(トーチコミックス)坂上暁仁(著)
本屋で、偶然、見かけて。
さらさらさら～っと、表表紙と裏表紙を確認して、ピン！ときたので即座に購入を決定。
大当たりでした！
いや〜こんな出会いがあるから、少しの時間でも、本屋に立ち寄るのは大好き(^^)
本書は、江戸時代を舞台にしながら、特に、切った切られたの殺人事件やチャンバラもなく、殿もお奉行も出てきません。
桶職人や刀鍛冶など、江戸時代に生きていた職人たちの技と意地が、珠玉のドラマとともに、圧巻の美しさで描かれている、所謂、お仕事漫画です。
どこにでもいそうな、市井の人々の普通の生活が、描かれています。
この漫画は、トーチwebで連載されているそうです。
試し読み
連載：トーチweb
江戸・神田を舞台に、下記の通り、伝統の手仕事を誇る職人たちが描かれています。
■桶職人
覚えときな。木ってのは生きてんだーー木を見つめ木と生きる桶職人の一日。
■刀鍛冶
自分が打った刀で子どもが殺された。灼熱の鍛冶場ーー多くを語らぬ刀匠の胸中は・・・
■紺屋
友禅染が大流行する中、藍染の意匠に悩む一人の職人。先の見えない仕事に心は沈むが・・・
■畳刺し
明け渡った吉原が男達の仕事の場。暮れの畳の張り替えに遊女達の冷やかしは付き物で・・・
■左官（一、二、三）
土蔵の普請場に奇妙な男が現れる。甚三郎と名乗るこの男、上方から流れてきたようだが・・・
木を見つめ木と生きる桶職人。
灼熱の鍛冶場で技を振るう刀匠。
友禅染が大流行する中で藍染の意匠に悩む紺屋。
さまざまな職人の技と意地の物語が紡がれています。
有名人でも、天才でもない。
そんな、江戸っ子職人たちの、拘りまくりの物作りの姿が、とてもかっこいい。
そして、黙々と仕事をこなす職人たちの息遣いが、聞こえてきそうな程、静寂な空間を、表現する画力に圧倒されました。
手仕事によって、丁寧に作られたモノには、ひとつひとつ固有の物語があります。
モノの背後には、技を守り、受け継いできた歴史があり、それを作った職人の人生があります。
たくさんの人の手を通して、技が形を結び、今、ここに存在している。
丁寧に作られたモノは、なかなか手荒には扱えませんよね(^^;
大切に味わったり、使ったりしていくうちに、モノは、ちょっとずつ風合いを増していきます。
そう、豊かな物語を秘めたモノは、作り手から使い手の手に渡って、また、新たな物語を紡いでいくのではないでしょうか。
余計な味付けをせず、素材本来の味を極限まで活かして、日常ドラマが、こんなに面白く描けるなんて、痺れますねぇ。
というくらい、緻密で丁寧に描写されているので、絵だけでも、おすすめできる、素晴らしい漫画だと思います。
決して、万人受けするような作品ではないかもしれませんが。
好きな人は、絶対、好きだと思います。
普段、あまり読まないジャンルの漫画で、渋くて、且つ玄人向けの漫画を探している人におすすめしたいと思います。
緻密な絵が、たとえようもなく美しい素敵な本だったから、興味があるならぜひ読んでみてください(^^)
【参考書評】
【参考図書】
「手に職。」 (ちくまプリマー新書)森まゆみ(著)
【おまけ】
【読書メモ・バックナンバー】
【読書メモ】本を片手に心で旅しよう
https://note.com/bax36410/n/n5ca2b9e05793
【読書メモ】「月と日本建築 桂離宮から月を観る」宮元健次(著)(光文社新書)
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【読書メモ】「反脆弱性[上][下]―不確実な世界を生き延びる唯一の考え方」ナシーム・ニコラス・タレブ(著)望月衛(監修)千葉敏生(訳)
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【読書メモ（その１）】「人間は進歩してきたのか―現代文明論〈上〉「西欧近代」再考」佐伯啓思(著)(ＰＨＰ新書)
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【読書メモ（その２）】「人間は進歩してきたのか―現代文明論〈上〉「西欧近代」再考」佐伯啓思(著)(ＰＨＰ新書)
https://note.com/bax36410/n/n70d806901fab
【読書メモ（その３）】「人間は進歩してきたのか―現代文明論〈上〉「西欧近代」再考」佐伯啓思(著)(ＰＨＰ新書)
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【読書メモ】「世界はシステムで動く―いま起きていることの本質をつかむ考え方」ドネラ・Ｈ・メドウズ(著)枝廣淳子／小田理一郎(訳)
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【読書メモ】「心脳マーケティング―顧客の無意識を解き明かす」ジェラルド・ザルトマン(著)藤川佳則／阿久津聡(訳)
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【読書メモ】「虚数の情緒ー中学生からの全方位独学法」吉田武(著)
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【改訂版】【読書メモ】「まとまらない言葉を生きる」荒井裕樹(著)
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