【復習】接続語の使い方
接続語は、名詞や動詞と違って事実の世界に、なにひとつ対応するものがないんだそうです。
人間の思考を導き、推し進めるためにのみ接続語はあります。
そうであれば、尚更、接続詞ってとても大事ですよね。
「今日は面白い。」
「今日も面白い。」
「○○は~」だと、なんだか味気なく感じるけど、「○○も~」であれば、ちょっとでもポジティブな感じがして、気分も上々感↑↑が出てくるから不思議ですね(^^)
確かに、文章の流れは接続詞によって決まります。
なぜなら,接続詞は文章の方向性を決めるからです。
読み手は接続詞の登場によって,文章がどの方向へ向かうかを知ります。
例えば,下の文を読んでみて下さい。
「今日は雨です。私は○○(な)気持ちです」
この文章だと、「さわやかな」や「晴れ晴れとした」気分なのか?
それとも、「うっとうしい」や「どんよりした」気分なのか?
どちらの気分なのか分からないっですよね。
そこで、次の文章の様に、
「今日は雨です。しかし(だから)、私は○○(な)気持ちです」に書き換えてみると、
おそらく、「しかし」の文章には、「さわやかな」や「晴れ晴れとした」といった言葉を思い浮かべ、「だから」の文章には、「うっとうしい」や「どんよりした」などを思い浮かべたかもしれません。
このように,後に続く文章の内容について、おおよその予想がつくのは,「しかし」や「だから」といった接続詞があるからです。
それにもかかわらず,私たちが普段文章を書くときに接続詞を意識することはあまりなく、感覚的に接続詞を選んでしまうことが多いのではないでしょうか?
私も、最近、この接続詞や接続語をあまり意識していなかった事を省みて、その理由は,日本語の特性に依る事を再認識しました。
日本語は、英語などと比べて、文の方向性をそれほど明確にしないでも、文をただ続けていくだけで文章ができるという特性があります。
このため、接続詞を意識しなくても、なんだか、それなりの文章が書けてしまう、面白い言語なんですよね。
この日本語の特性。
実は、ビジネスの世界において大きな取り違えを起こす原因になっています(^^;
特に、社会インフラ関係やIT・ICT・IoTの世界のように、正確さや明快さを重視する世界では、注意しなければなりません。
この様に、接続語とは、文や語句をつなぐ言葉ですが、実は、文章の中だけではなくて、会話の中でも人と人をつなぐ役割をになっていると思いませんか?
あまりに当然すぎて、普段の自分が何を話しているかを意識するのは難しいと思います。
そこで、「文章は接続詞で決まる」に、以下の記載があります。
「論理重視の書き言葉の接続詞にたいし、話し言葉の接続詞は感性重視が特徴です。
計画的な構成意識に乏しく、即興的なノリで使われがちです。
そのため、その選択に慎重さを欠く場合が多く、話し手の性格や感情が無意識のうちに聞き手にダイレクトに伝わってしまいます。
その一方で、書き言葉とは違って自分が使っている接続詞を目にする機会もなく、知らず知らずのうちに口癖として定着してしまっているケースも少なくありません。
自分が普段どのような話し方をしているのか、一度自己点検してみることをお勧めします。」
要は、自分が使う言葉の推敲の大切さを、改めて痛感することありますよね。
例えば、「ってか」「というか」は、話の腰を折る表現です。
接続詞に続ける形で、まったく無関係の話題や自分の主張を始めてしまえば、相手が不愉快に感じても何ら不思議ではありませんよね(^^;
また、「つまり」「ようは」を使って相手の話を換言・要約することは、コミュニケーションにおいて、しばしば良しとされるものですが、それも内容次第です。
言い換えた要約が間違っていたら、元も子もありませんので、注意しないと(^^;
文章だろうが会話だろうが、折に触れて自分の口癖を点検することによって、文章力ないしはコミュニケーション能力が磨かれるのではないかと感じます。
さて、接続語には、7つの役割に分類することができます。
①順接(じゅんせつ)
BはAの当然の結果。
例:だから・すると・それで・そこで
②逆接(ぎゃくせつ)
BはAとは逆のことや、意外なこと。
例:しかし・だが・ところが・でも・けれども
③並列(へいれつ)
Aの後にB並べて述べる(AとBは対等な関係)。※A=Bではない。
例:また・および
④添加(てんか)
Aの後にBを付け加える。並列と同じような役割。
例:そして・さらに・それから・しかも・おまけに
⑤説明
Aを補足(ほそく)したりくわしく説明したりする文章がBで続く。
例:つまり・すなわち・たとえば・いわば・なぜなら・ただし・もっとも・ちなみに
⑥選択(せんたく)
AとBを対比させたり、どちらかを選ばせたりする。
例:または・もしくは・あるいは
⑦転換
Bで話題をかえる。
例:ところで・さて・では
ここで挙げたのはほんの一例ですが、このような種類の接続語が文章中では使われています。
接続語の使い方を理解することが論理的な文章を書くための第一歩なんでしょうねぇ(^^)/
そこで、そんな接続語界隈で人気の高い、言葉と使い方をちょっと紹介しておきますね。
1.「しかし」と「ところが」の使い分け
「しかし」も「ところが」も、ともに前の文の内容から当然考えられる結果とは異なることを述べるときの用いる逆説の接続詞です。
「しかし」は、前の文から考えられる結果に反する内容を広く導けます。
一方、「ところが」は、後の文の内容が、前の文から推測される結果とは大幅に異なるときに用い、意外であるというような気持ちが含まれます。
<しかしの用例>
彼はやせている。しかし、たいへんな大食漢である。
<ところがの用例>
集合時間はとうに過ぎている。ところが、彼はまだ来ない。
2.「しかし」と「ただし」の使い分け
「しかし」も「ただし」もそこで意味が転換するという点では同じ仲間です。
しかし、次のような違いがあります。
「A。しかし、B」といった場合、主題はBです。
一方、「A。ただし、B」といった場合、主題はAであり、Bはあくまで但し書きに過ぎません。
<1>この店の料理はうまい。しかし、高い。
<2>この店の料理はうまい。ただし、高い。
<1>の主張は高いところにあり、<2>の主張はうまいところにあるんですよ。
3.「行う」は使わない!?
「行う」が乱発されている文章を見るとあれって思いませんか?
どう考えても「行う」は不要な言葉なような気がします。
にも関わらず、「行うは不要である」と書いてある本は少ないんですよねぇ(汗)
動詞形がある名詞に『行う』という余計語をつけている文が多く、不要な場合がほとんどだと思います。
例えば・・・
実験を行う → 実験をする あるいは、実験する
テストを行った → テストをした あるいは、テストした
治療を行った → 治療をした あるいは、治療した
デモンストレーションを行う → デモンストレーションをした
削除を行う → 削除する
というように、書き直した方がよいですね(^^)
4.「たしかに」と「もちろん」の使い分け
自分の主張とは違う(逆の)ことを言って、相手との折り合いをつけることを譲歩といいます。
相手の主張Aに対して「たしかにAです。しかしBです」と言えば,相手を立てた上で自分の主張Bを言うことができます。
「たしかに」の代わりに「もちろん」や「なるほど」を使って譲歩することもできますよね。
「たしかに」と「もちろん」は以下のように使い分けるといいと思います。
「たしかに」で譲歩するときは相手を立てており、「もちろん」で譲歩するときは常識をふまえていることになります。
<たしかにの用例>
たしかに彼は一流のビジネスマンだ。
しかし、良き家庭人としては失格だ。
<もちろんの用例>
もちろん携帯電話の利便性は言うまでもない。
・・・・・しかし、その一方で携帯電話がもたらしたマイナス面についても忘れてはいけない。
5.「つまり」と「すなわち」の使い分け
解説を表すために使われる接続表現としては「つまり」「要約すれば」「結局」「すなわち」「言い換えれば」などが挙げられます。
これらは、要約(A>B:つまり、要約すれば、要するに、結局)と換言(A≒B:すなわち、言い換えれば)に分けられます。
要約(A>B:つまり、要約すれば、要するに、結局)とは、それまで述べてきたことをまとめることなんですね(笑)
<用例>
Aは・・・と考える。
Bは・・・と考える。AとBの違いはつまり価値観の相違だ。
要するに君は何が言いたいのか?
換言(A≒B:すなわち、言い換えれば)とは、内容的には同じことの繰り返しだが,理解を助けるために表現を変えて説明することですね。
<用例>
彼は父の弟、すなわち叔父である。
レギュラーから外れた選手達、すなわち控え組は・・・
「つまり」という語には「結局どういうことを言いたいかといえば・・・」という感じがあり、結論を導く時に使われます。
「すなわち」は同格を意味し、単なる言い換えに過ぎないんですよね。
「AすなわちB」は「A≒B」であるからして「AすなわちB」は「BすなわちA」と逆転させても意味は通じます。
6.「ので」と「から」の使い分け
まずは、用例を紹介すると・・・
があるので遊びに行ったのだろう。(A)
金があるから遊びに行ったのだろう。(B)
(A)の文章では、「金がある」というのは既定事実として確認し、「遊びに行ったのだろう」は推測となります。
それに対して、(B)の文章では「遊びに行った」というのが既定事実として確認し、それは「金があるからだろう」と推測しています。
両者の違いは「だろう」が何に係るかなんですね。
7.「しかも」の使い方
「A しかも B」は、Aのある側面を強調しつつ、主張Bを付加する場合に使われます。
「彼はタバコを吸う。しかも、一日に二箱もだ」という文章は、「彼はタバコを吸う。健康によくない」、しかも、「彼は一日に二箱もタバコを吸う。ますます健康に良くない」ということです。
「A。だから、C」 しかも 「B。だからますますC」とたたみかけるような付加の構造に対しては「しかも」という接続詞が最適ですね。
「しかも」と似た接続詞として、「そのうえ」「それに」「かつ」などがあります。
「しかも」や「そのうえ」は判断や心理を伴う場合に用いられます。
「それに」は特定の感情や判断は原則として入ってここない俗語的な表現であり、会話の中で頭の思い浮かぶままを並べる場合に使います。
「かつ」は判断や心理を伴わない客観的な事物について用いる文語的な表現です。
8.「むしろ」の使い方
「むしろ」は、二つ以上の事柄を比較して、どちらかを選ぶ気持ちを表す語です。
しばしば、否定的な主張に肯定的な主張を付加するときに用いられます。
<用例>
ユーモアは、真面目なことを単に不真面目に扱うことではない。
むしろ、真面目なことを不真面目であるかのごとくに取り扱うことによって、真面目さにつきまとう暴力的・強制的な色合いを取り除くのである。
強引に解答を一つに絞る必要はない。
むしろ、多様な解答を許容し、その違いについてディスカッションすることが有益である。
<用例>
この靴は軽くて、しかも丈夫だ。
彼は大酒のみだ。
しかも酒癖が悪い。
彼は成績がいい。
その上、スポーツも万能だ。
彼女はわがままだ。
その上、ケチだから始末におえない。
【参考記事】
接続詞について (一覧と解説)
https://pothos.blue/setuzokusi.htm
接続詞と接続語の違いはあります!わかりやすく解説【簡単に表すと単位の違い】
https://japanese.awaisora.com/setuzokusi-setuzokugo-tigai/
あなたの話が一気にわかりやすくなる「魔法の接続詞」(堀 公俊)
https://school.nikkei.co.jp/news/article?aid=MMSCe8000019102016
【参考図書】
「書きたいことがすらすら書ける!「接続詞」の技術」石黒圭(著)
「文章は接続詞で決まる」(光文社新書)石黒圭(著)
「文章が変わる接続語の使い方―文の論理は接続語で決まる」沖森卓也(著)
「文章が劇的にウマくなる「接続詞」」(ASUKA BUSINESS)山口拓朗(著)
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