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「ティア企業(下請け企業)のDXは何をすればいいのか?」_ロジラテ思考

いま、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、イノベ-ションを目指しています。

DXとは、社内のデータや顧客の行動データを分析して、顧客が今まで体験したことのない新たな体験価値(UX)を提供することです。

その意味では、B2C、C2C、D2Cのようなエンドユーザーを対象とした企業はイメージしやすいですが、ティア企業(下請け企業)のような母機メーカーの要求に応えることが「顧客への貢献」と考えてきた企業にとっては、イメージしずらいことです。

1.我々の顧客は誰か?

もちろん、ティア企業にとって直接の顧客は母機メーカーです。

しかし、これからはエンドユーザーも顧客として位置づけ、UX(体験価値)を考えていかなければ生き残れない時代になってきました。

何故なら、従来のメーカーの目的は商品を買って頂くことでした。しかし現在は、商品の購入は単なる接点であり、購入後の関係性も商品にできなければ顧客が喜ぶUX(体験価値)を提供できなくなったからです。

例えば、某自動車メーカーの事例です。

①ネットやSNSで新車の情報を検索した。
②ジャーナリストや一般の人の試乗評価を見て、興味を持った
③Youtubeで、車の評価をチェックした
④ディーラーサイトで、見積もりチェックしたら試乗会予約ができた。
⑤試乗して気に入ったので購入した
⑥購入後、車とメーカーがオンラインで繋がっていて、異常検知してくれる
⑦故障して動かなくなったら、GPSでチェックしてレッカーが来てくれた

この流れはオンラインとオフラインを意識しない世界  
⇒ OMOといいます。(Online merged Offline)

OMOが浸透する以前の世界は、母機メーカーがアンケート調査などでマーケットの情報を全て把握して商品開発を行ってきました。

しかしOMOが浸透した今、YoutubeやSNSで顧客自身が様々な情報を手に入れるので、母機メーカーですらユーザーのマーケット情報を掌握できなくなってきたのです。

裏を返せばティア企業も、エンドユーザーから直接情報を得て開発できる時代になってきたということです。

今後ティア企業が考えなくてはならないことは、「我々の顧客は誰か」を明確にすることです。

例えば以下の選択肢の中で、どの顧客に貢献するかを決めることです。
・母機メーカーだけにするのか?
母機メーカーとエンドユーザーにするのか?
・エンドユーザーを顧客とするのか?

2.ティア企業ならではのUXを考える

顧客を母機メーカーだけに絞るのであれば、これは既存路線で十分です。
社内の製造データ、設計データ、品質データ、コストデータを分析すれば母機メーカーの気に入るようなアウトプットを出していけばいいのですから。。。

ただ母機メーカーですら、思い付かなかった新たなUX(体験価値)はここからは生まれることはありません。

これからのティア企業は、エンドユーザーとの接点をたくさん創り、自社の強みやコアコンピュタンスを活かしたモノづくりやサービスを考える必要があります。ひいてはそれが母機メーカーにとっても「顧客への貢献」になるからです。

3.ユーザーとの接点を増やす(ユーザータッチポイント)

ティア企業にとって、母機メーカーとの関係を考えるとエンドユーザーと接点を創ることは難しいと考えられるのではないでしょうか?

しかし、それほど難しいことではないと思います。
なぜなら、使ってる人の現場に行って直接話をするくらいなら、多少の勇気があれば全く問題はありません。

さらにYoutubeで評判になっているチャンネルチェックや、SNSを駆使したマーケティングも効果的です。

そこで、顧客に「何が起こって」、「何故そうなって」、「何をしたら」「どうなった」を定性情報として記録していけば立派な顧客の行動データになります。

さらに現場に足を運ぶうちに、顧客との接点が整理分類されてきます。どの時点で顧客に「何が起こって」、「何故そうなって」、「何をしたら」「どうなった」が整理されてきます。

この情報と社内情報を照合しながら仮説を立てて、顧客に新たなUX(体験価値)を提供できれば立派なDXになってきます。

4.市販ビジネスでUXを探る

すでに市販部門(アフターマーケット)があれば、さらに有利になります。

市販市場は、直接エンドユーザーと接することができるので、様々なユーザータッチポイントを設定し、そこから有益な情報を得ることができます。

つまり、アフターマーケットの中にこそ、イノベーションの種が埋もれている宝の山と言えます。


もし、皆さんの会社がDXを推進されているのであれば、「我々の顧客は誰か?」について、話し合ってみては如何でしょうか?

新たなイノベーションが生まれるかも知れません。




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