「間違ったKPI管理」から逃れる方法ー正しいKPIは数字に追われるマネジメントではないー #A08
ロジラテ思考とは
前編では、目指す姿を達成するために「何が起こって」、「何故起きて」、「何をやる」に整理して、社員同士で共有するメソッド「ロジラテ思考」についてお話してきましたが、これを怠るとインナーコミュニケーションに澱みが生じて、企業の不祥事に繋がるお話をしたいと思います。
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KPIマネジメントの欠点
私たち会社員は、日々数字を達成するために奔走していますが、企業のトップの多くは数字を達成した暁には、「どんな企業になっていて」、「どんな事業で顧客に貢献し」、「どれほど稼げば持続経営ができるのか」を強く示していません。
つまり「我が社は、本年度の目標数値を達成して、社会、顧客に〇〇の貢献して持続経営します」という事業の夢を語るインナーコミュニケーションができない人達で、業績=目指す姿に置き換えてしまう人達です。
本来、経営トップはKGI(企業の目標数値)と背景(目指す姿)を語り、事業は自部門のKPI(業績目標、数値化された管理項目)とCSF(戦略、戦術)を実践していかねばなりませんが、現実は目標数値の達成にだけ追われているのではないでしょうか?
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美しい資料と整理された数値目標で、「目指す姿」と「KPI」が連動しているかのように見えるリスク
さらにKGI(企業の数値目標)と希薄な背景(目指す姿)は、経営企画部によって、体裁を整えられていきます。
彼らは情報収集や分析、その結果をテンプレートにはめ込んで戦略戦術に落とし込み、美しいパワポ資料を作成するプロフェッショナルですが、目指す姿を構想するプロではありません。
しかし理路整然とした美しい資料でプレゼンされると、経営陣は「目指す姿」と「数値目標」が見事に連動しているように思ってしまいます。ここに目指す姿が希薄になっていく原因があります。
何故、企業で不祥事が起こるのか
企業の不祥事は、様々な理由で起こります。一番多いパターンは、経営トップが「目指す姿」のストーリーを語らず、高い数値目標だけが一人歩きしたKPIマネジメントで、汲々としたインナーコミュニケーションになってしまうことです。
この状態の社内では、「なぜこんな高い数値目標なんだ?できる筈がない」といいつつも、達成に向けた取り繕いの資料と、アクションが積み重なっていきます。最悪なのは数値目標を、自部門用と上司用の二重管理してしまうことです。
何故なら自分のメンバーには、実現可能な数値目標でマネジメントし、上にはKPI目標数値に対する進捗報告をしようとするからです。これを続けていくと、いずれは破綻をきたす時期が訪れて不祥事に繋がっていきます。
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正しい経営は、正しい「問題、課題」の共有と、課題設定の柔軟性が必要
まずは、経営トップが「目指す姿」と、そこに至るストーリーをきちんと語ることです。何故その「目指す姿」を目指したのかです。その上で、次のプロセスを踏んでマネジメントすることが必要です。
1.それを実現するために必要な、「人、モノ、金、情報、時間、ブランド」などの経営資源を手に入れるため、KPIマネジメントを進める。
2.各々設定したKPI、CSFが正しいのか、間違っているのかを常に「ロジラテ思考」でメンバーと共有し、「問題点」、「核となる課題」、「戦術」を柔軟に変化させていくこと。
特に、今は変化予測が不可能な時代だからこそ、日常的に「何が起きて」、「何故それが起こって」、「何をする」をメンバーと共有し、課題、戦術を柔軟に変化させてKPI,KGIの達成を目指していかなくてはなりません。そのためには是非「ロジラテ思考」を実践してみてはどうでしょうか?
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