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[NISSAN Cube(Z11)]について

日産よりモデルチェンジした2代目として、2002年から販売されたトールワゴンタイプ(≒ハイトワゴン、2列シート車でワゴンより全高が高い車種)の
コンパクトカー。

初代から3代目(最終)まで、コンパクトカーであるマーチをベースとしており、1998年から販売されていた初代(Z10型)の後継として、2002年のフルモデルチェンジより販売が開始されている。

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このモデルの唯一無二な特徴は、その外観にある。
全体的に角ばったスクエアなフォルムを持ち、後部側面からリア部までは、クルマとして珍しい左右非対応のウィンドウ形状となっている。デザインの至る所は[角丸]で仕上げられることで、塊感が生み出されており、一体感を与えることとなっている。カラーバリエーションも、外観に合わせた豊富で特徴的(パステル調等)な種類が用意されている。

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この左右非対称のリアにより、国内専用車種となっている。(左ハンドルでは、後方視界の確保の為ウィンドウ形状を左右逆にする必要がある)


リア(テール)ドアの開閉は、クルマとしては特徴的な横開きとなっている。(冷蔵庫などの開き方)

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これは、駐車場内などの背後に壁などがある場所での利便性を考慮して、採用されており、3代目へと続くCubeの特徴となっている。

エンジン・プラットホーム・パワートレイン(サスペンション等)はマーチと共用しており、前期のエンジンは、1.4L 直4DOHCの98馬力に4ATかCVTの組み合わせとなっている。後期(MC)後に1.5L 直4DOHC 109馬力のHR15DE型EGが追加設定されている。CVTは、専用に開発されたエクストロニックCVT-M6が採用されている。


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室内空間もこの車種らしくシンプルながらカラフルな空間に彩られている。
インパネは、Pをモチーフとしたセンターコンソールが配置されており、外装と同じく角丸と直線基調で仕上げられている。内装は、多彩なカラーバリエーションが用意されていた。特に、ライダーや特別仕様車は統一感のある仕上がりとなってる。

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シートは柔らかく厚みのあるソファー仕立となっており、横面がフラットな構成となっている。
シート形状やサイドブレーキを、初代のフロア式から足踏み式に戻すことなどにより、前席ウォークスルー機能を実現している。
収納は22カ所もあり、アームレストスルー(シート真ん中部のアームレストを個別に揚倒できることで長尺物をおける)機能も備わっている。


マーチのパワートレイン・車格を用いて全高を上げたパッケージングであることから、このクルマの[走る]機能は決して高いとは言えない。
シートは利便性や座り心地をメインとしている為、ホールド性や長距離に向いていないし、低速重視のEG特性や形状から高速巡行も不得意である。
車高の高さからくるロールを抑えるために、足回りは固い。

リアドアは、後ろにゆとりがない場面では開きやすいが、ドアが動線にあたるので、回り込む必要が出てくる。
普段では、通常の上開きのほうが機能的であるだろう。

しかし、室内空間の広さや収納・ウォークスルー機能など車内での快適性は高く、普段の街乗りを中心に考えると好ましい仕様となっている。
開発者曰く、狙い通り「世界一遅く見えるクルマ」と評されるとのことである。個人的には、内外装の角丸スクエアデザインがダイソー感を感じるので、好きなスタイルであった。

このクルマは、ワインディングや長距離を走り続けるような「ドライブ」を楽しむことには向いていない。
その代りデザインや車内空間の快適性を注力しており、ユーザーの環境や好みによっては、クルマで大切にする部分が動力性能以外に有ることを知らしめる車種である。

現在では、かつてほど街で目にすることが少なくなったが、一度目にすると忘れられないクルマである。


これほど「名は体を表す」との言葉が相応しいクルマは、ないのではないだろうか。

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