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プリンセス クラウン(横スクARPG)

開発・対応機種
開発
:SEGA、ATLUS
プラットホーム:SEGA SATURN 1997/1998(サタコレ版)) 
                          : PlayStationPortable 2005/2007(アトラスベスト)
                          :PlayStation4 2019(十三機兵防衛圏 特典DLC)

SSプリクラ

概要

 セガ サターンにて、1997年に販売された横スクロールアクションRPG。
王道的な中世のファンタジーの世界観となり、複数のキャラクターのシナリオを順次解放していくことで各キャラクターの物語を進行していく。
 横画面の構成となり、画面内のキャラクターを操作することで各画面への移動・会話を行っていく。街からフィールド・戦闘の画面切替はなく、シームレスに移行する。

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 通常戦闘は、フィールド移動時にモンスターがランダムで現れる形式で、コマンド入力によるアクションとなる。また、イベント戦闘も存在し、イベントには移動先で発生することが主である。

 合計4人のキャラクターを操作することが出来き、キャラクターのシナリオを進めて行くことで次のシナリオを解放していく。
 ゲーム内ではシナリオを本(の中の物語 =昔話)と表現しており、最初メニュー画面にて小さな子供におばあちゃんが本を読ませることでロード・猫を渡すとコンフィグなど祖母が孫娘にの童話を読み聞かせるというシステム演出がなされている。

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黒猫を抱えた女の子が、時間経過によりズレてくる猫を持ち直す仕草が可愛く印象的だった。

経緯

 ヴァニラウェア有限会社の代表である神谷盛治氏が、当時勤めていたカプコンを退社し、最初に企画したパッケージとなる。企画をSEGAに持ち込んだ際、当時プレイステーションと対抗していたSEGAから、「RPGか?」と尋ねられたことにより育成シミュレーション部をRPGに変更して開発か始まる。
 1年後に会社が倒産し、資金調達の為にSEGAに打診したが、当時のSEGAがバンダイと合併の可能性について交渉中であったので断られることになる。
 しかし、アトラスを紹介され、合同プロジェクトとして資金と人材を得ることで発売へとこぎつける。

あらすじ

 人間と魔族が戦いを繰り広げている世界。25年前、女王エルファランが悪魔を打ち負かすことで、世界に一時の平和が訪れた処から物語は始まる。
 時は流れ、女王エルファーランが逝去し娘のグラドリエルが13歳で王位に就くこととなる。戴冠した新しい王女の下に、魔物の登場など国内の様々な問題が報告されるていった。彼女は自分で直接確認したいとの思いから、妖精アーリアと共に城を抜け出し、世界を自分の眼で見て廻ることとした――

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システム

戦闘:
 移動時に敵が現れると、そのまま戦闘となる。戦闘はアクション要素があり、ステップ移動や必殺技を簡単なコマンド入力で繰り出すことが出来る。   
 敵は複数登場しようが順次戦うこととなり基本的には1vs1となる。戦闘に突入すると逃げ出すことはできない。
 攻撃する度ゲージを消費し、ゲージが切れると一定以上回復するまで操作不能となる。

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 アイテムの魔法石を消費することで、魔法(遠隔攻撃)を使用することができる。魔法は必中でありガード不能で使い勝手が良いが、消費物なので使えば消えることで頻発を防ぐシステムとなっていた。

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アイテムとして、技(分身等)のスクロールがあり使用することが出来る。

アイテム:
 上記の戦闘時に使用する攻撃系以外にも、食材や調理器具や、調理器具を使う料理などが存在している。フルーツ系の食材は食べると種になり、種を植えるとまたフルーツに育てたり出来た。

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アイテムはバック(スロット)に保持するとなり。初期は1スロットであるが、進行することで最大4スロットまで増やすことが出来る。

調理:
 食材は、調理器具を用いることで回復アイテムである料理とすることができる。

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移動:フィールド・街関わらず、全て同じ視点の横スクロールとなる。
 横道を左右(脇道は前・奥)端まで移動することでエリアを切り替えることとなる。

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総評

 2Dドットのモーションを拘り抜いたこの作品は、現在ではカルト的な評価がされている。
 しかし、RPGとしては問題が多い作品である。先ず、全てのマップを徒歩で移動することになるので、目的地までの道中が単調になりがちである。勿論、ファストトラベルに該当する機能はない。
 戦闘もコマンド入力によるアクションとなるが、各アクションに対してキャンセルすることが出来ないので技は繋がらなくなっている(大攻撃のみで戦うイメージ)。さらに必殺技を繰り出した後は大抵ゲージが切れるので再チャージまで硬直することとなり、テンポいいとはいえない。
 回復・技・魔法などは、アイテムに依存することとなるが、アイテムの保持数が少なく取捨選択が必要になる。
 このことから、RPGとしての醍醐味である数々の貴重品などを集めながら広大な世界を冒険していくなどの、没入感は低い作品である。

 当時のファミ通のクロスレビューでは、7,7,7,8の[29]点と佳作的な評価がされていたが、販売としては大ヒットしたとは言い難い。翌年に販売された廉価盤(サタコレ)と合わせても約61000本となった。
 これは同年に、プレイステーションからファイナルファンタジーⅦが販売されるなど、ハードとしての差が確定的になり始めたサターンから販売されてたことも無関係ではないだろうが、RPGとしてのボリューム感やシステム部分が万人受けするものではなかった為だと思われる。

 しかしモーフィングやスプライト機能などの、ハード特性を利用しつくして表現されるキャラやモンスターなどのモーションなどには、拘りが感じられまくる仕上がりっとなっている。自分自身がファンタジー世界の中で冒険するのではなく、映画や書籍のような物語を体験するようなつくりなので、まったりと三人称視点の物語を楽しめるならば推薦できる作品となっている。

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 販売的には成功しなかったが、仕草などのモーションや古典的な世界観などにより根強いファンが存在する作品となっている。今作の拘りは、ヴァニラウェア作品として、オーディンスフィアやドラゴンズクラウンなどに引き継がれていくこととなる――

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 個人としては、宿屋でのBGMと合わさってガヤのSEが喧噪的であったり、プロセルピナの駄々っ子パンチや、落としたアイテムをゴブリンにもっていかれたりしたこと、アイテムの食材を調理して美味しそうに食べる王女様が印象的で、今でもよい想い出となっている――
 3Dでないので、今でもグラフィックやモーションは色褪せずに楽しめるのではないだろうか。現在ではどのメディアでも再販されてなく中古となってしまうが、機会があれば一度は体験してほしいと思える作品である。

食べ終わったら、口を拭く仕草がとても可愛かった――

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