バットマン:梟の法廷 ネタバレあり感想・あらすじ解説
バットマン翻訳コミックの感想第1回は『バットマン:梟の法廷』です。
概要
DCコミックスは長い歴史の中で何度か設定のリセットを行っているのですがこちらの作品も『フラッシュ・ポイント』という作品でリセットされた新しい世界線である『New.52』のバットマンの最初の翻訳コミックです。
その為バットマンの入門書として挙げられることも多く、実際私が最初に読んだバットマンの翻訳コミックでもあります。
イラスト・アートも現代的で読みやすいです。
ただ、ブルース・ウェインがバットマンになった経緯等は描かれてなく(ちょっぴりだけバットマンになった時の回想シーンはありますが)、既にベテランで多くのヴィランと戦った状態のバットマンから始まりますのでバットマンの起源から読みたい人は『イヤーワン』や『ゼロイヤー』から読まれるのをおすすめします。
また、メインのヴィランが今回の作品からの新規のヴィランなので映画やアーカム・シリーズ等のゲームからバットマンを知ってそれらのヴィランとの対決を見たいという方は『ダークナイト:姿なき恐怖』や『バットマン:ハッシュ』をおすすめします。
余談ですがこちらの『バットマン:梟の法廷』は妻からプレゼントされました。
まだ結婚前の時に外食先でバットマンの翻訳コミックを読んでみたいと話していたらその場で通販の注文をされてました。
とてもうれしかったですね。その為とても思い出深い一冊でもあります。
あらすじ
↓はShoPro Booksさんの案内ページです。
簡単に言うと「梟の法廷」というこの作品から登場するゴッサムシティを裏で支配していたと言われる謎の組織をバットマンが追う内容です。
しかし同時にバットマンも「梟の法廷」に狙われていたのです。
ちなみに前後編の前編で後編は『バットマン:梟の街』です。
『バットマン:梟の夜』は『梟の法廷』『梟の街』の裏でのバットファミリーの活躍を描いた作品です。
登場人物(若干ネタバレ有り)
バットマン(ブルース・ウェイン)
主人公。ダークナイト。世界一の名探偵。
長年バットマンをやってゴッサムを守ってきたので警察から信頼されている。
多くのヴィランを仲間達と共に倒してきたがゴッサムシティを支配してきたと言われる組織「梟の法廷」の存在を追うが逆に徐々に追い詰められていく。
ゴードン本部長(ジェームズ・ゴードン)
バットマンの相棒的ポジション。
バットシグナルを点けてバットマンを呼んで事件の相談とかする。
後半でバットマンが姿を消してバットシグナルを点け続けるがそれにはバットマンを呼ぶ以外の理由がある
ナイトウィング(初代ロビン)(ディック・グレイソン)
レッドロビン(3代目ロビン)(ティム・ドレイク)
ロビン(現ロビン)(ダミアン・ウェイン)
バットファミリー。元ロビンと現ロビンの3人。ディック、ティムはブルースの養子。ダミアンはブルースの実子。
ナイトウィング以外はあまり出番は無い。
序盤でバットマンとナイトウィングとのダイナミックデュオが描かれる。
アルフレッド・ペニーワース
ブルースの有能な執事。皮肉屋。
リンカーン・マーチ
ベンチャー社長。次期市長候補。「梟の法廷」に狙われる。
ブルースに「邪悪な存在が戻ってきた」と話す。
ヴィラン
梟の法廷
ゴッサムに伝わる童謡の中に出てくる伝説の組織。かつてブルースが調査したことがあるが存在が確認できなかった。
しかしとある事件の被害者の歯に梟の紋章があったこととリンカーン・マーチの襲撃事件からバットマンに追われることになる。
タロン
梟の法廷に育てられた暗殺者。梟モチーフのコスチュームを着ている。
今作から登場のヴィラン。不死身のような肉体と治癒力を持つ強敵。
Mr.フリーズ、ピッグ教授、スケアクロウ、トゥー・フェイス、キラークロック、リドラー、クレイフェイス、ミスター・ザース他数名
冒頭でアーカム・アサイラムを集団脱獄しようとするヴィラン達。
バットマンとナイトウィングに一蹴される。
お相撲さんみたいな謎のヴィランも居るが特に巻末でも解説されていない。
追記
『バットマン キャラクター辞典』を読んでいたら居ました。
名前は
「スモー」
です。
本当に力士でした。
感想(ネタバレ注意)
冒頭から映画やゲームで見たヴィラン達が揃って登場するのはうれしかったですね。
みんなバットマンとナイトウィングにワンパンでやられてましたがバットマンといえばワンパンというイメージなのでコミックで見れて良かったです。
その後に新旧ロビンが3人登場したことにも驚いたのですが
(ロビンは知っていたが1人だと思っていた)
もっと驚いたのはバットマンに息子(ダミアン)が居たことですね。
完全に知らなかったので。
今作ではバットマンとダミアンの絡みはほぼ無いのですが後半バットマンが消えてゴードンがバットシグナルを点け続けるのですが壊れてしまいます。そこにダミアンが駆けつけてすぐに交換してバットシグナルを点けなおしてと懇願する姿には父親が消えて不安な気持ちが表れています。
事件の知らせを聞き殺人事件の現場に行くバットマン。
海外ドラマ『GOTHAM』でおなじみの刑事ハービーが待ってました。
全身串刺しの死体と
「ブルース・ウェインは明日死ぬ」
のメッセージが現場には残されていました。
そして被害者の爪から検出されたDNAはディック・グレイソンと一致。
凶器と被害者の遺体から梟の紋章が見つかり梟の法廷の伝説が語られる。
そして次期市長候補のリンカーン・マーチとブルース・ウェインを狙った梟の法廷からの刺客「タロン」が現れます。
ここから本格的なバットマンの梟の法廷とタロンとの闘いが始まります。
バットマンは梟の法廷の罠にかかり迷宮に放り込まれます。
ここでバットマンは迷宮をさまよい精神をすり減らされるのですがその感覚を読者は読むことで体感させられます。
こちらは実際に紙面で読んで頂きたいです。
梟の法廷の壁の名前の中には「コブルポット」「ゴードン」などの名前があります。これは過去にペンギンやゴードンの家系が梟の法廷の仲間・もしくは標的だったことを示していると思われます。
そしてついにタロンと梟の法廷の子供たちに追い詰められたバットマン。心も体もボロボロの中ブルースの高祖父のアラン・ウェインの肖像画が目に入り涙を流すブルース。
その怯えた表情と願いをくみ取り、
「ふざけるな!」
と叫び立ち上がる。
バットマンはとても強い人間ですが弱い面ももちろんあります。『New.52』シリーズでは特にバットマンの精神的な弱さが描かれ、同時にそれに立ち向かう強さも描かれています。
ここの獣のような姿で梟の法廷を追い払うバットマンはとてもかっこいいです。
そしてタロンと対峙して勝利するバットマン。
バットケイブに戻るとそこにはタロンの死体がありました。
タロンの正体、ディックとの関係。
そしてディックと梟の法廷の関係を教えるために
バットマンはディックを裏拳で殴ります。
もちろん理由があって殴ったのですがちょっとかわいそうです。
ディックはバットマンと一番付き合いが長いロビンで一番バットマンが厳しく接している気がします。
ディックも慣れっこなのか殴られたことに対しては文句を言いません。
ディックが元々所属していたサーカス団は梟の法廷にタロンの候補生として子供を渡していました。
ディックもタロンの候補生でしたが両親の死をきっかけにバットマンに引き取られた為タロンにはならずにロビンとして活動することになりました。
一歩違っていればディックはヴィラン側に居たかもしれないということですね。
そして梟の法廷によって目覚めさせれた無数のタロンがゴッサムに向かって飛び立つところで『梟の法廷』は終わり、『梟の街』に続きます。
最初に書いた通り私が最初に読んだバットマンの翻訳本なのですがとても読みやすく、面白かったです。
終始バットマンの視点を中心に梟の法廷の正体を探ったりタロンと戦ったりと盛り上がりもある中で梟の法廷の迷宮で見せるバットマンの内面の脆さも描かれていて、バットマンの魅力が詰まっていました。
なによりやっぱりバットマンがかっこいいですね。
アメコミなので大ゴマでダイナミックに躍動するバットマンの姿がとても良いです。
というわけで『バットマン:梟の法廷』でした!
次回は続きの『バットマン:梟の街』の感想を書きます。
読んで頂きましてありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?