「ベイトマンニュース」日本の食文化が世界を救う⁈
先日日本に里帰りして、日本の美味しい料理を堪能してきました。甥っ子の結婚式では、見た目も見事に美しい、おめでたい懐石料理を頂き、和歌山の海辺の温泉に行って新鮮なお刺身や鯛しゃぶを堪能し、私が神戸で一番美味しいと思っているお出汁のお店で大将渾身のこだわりのコースを頂いて、改めて日本の食べ物はほんまに素晴らしい、としみじみ実感しましたね。
イギリスには美味しい料理が少ない、というのは有名な話ですが、イギリス在住27年の私からすれば、イギリスにも美味しいものがたくさんある。違うのは食に対する意識であり、その意識の違いがイギリスの美味しいものを少なくしている。と思っています。
イギリスでは食に対する意識は、残念ながら高いとはいえない、と思います。
食が健康に繋がっているという意識が少ないので、多くの人は好きなものを好きなだけ食べ、お腹がいっぱいになればそれでいい、という感覚の人が多いです。だからものすごく肥満の人が多い。あるいは極端に何も食べず、栄養失調になるほどガリガリの人もいます。
食べるものは人によってものすごく偏っていると思いますが、イギリス人にとって食は生きるための手段であり、欲求を満たすものであり、それ以上特別重要視していないように思います。
そんな中、最近イギリスで多くなっているのは、「ベジタリアン」や「ビーガン」と呼ばれる菜食主義。この中にはお肉が嫌い、とか宗教上の理由でこの道を選ぶ人もいるけれど、圧倒的に多いのは「生き物の命を奪って食べるのは間違っている」というモラル的考えでの選択です。
特にビーガンは肉、魚に加えて卵や乳製品、蜂蜜に至るまで食べないので、一緒に食事をするのも大変。
そしてこれらの人が健康で痩せているか、というと全くそうではなくて、油で揚げた芋(チップス)やビーガン用のプロセスフード、または乳製品を含んでいないパサパサのパンに豆腐をはさんだものに炭酸飲料などの偏った食事となり、逆に肥満だったり不健康だったりするんですねぇ。そう。イギリスでの菜食主義は、健康につながるものではないので、更に食事が偏っていくんです。
こういう考えは私たち日本人にはちょっと考えられないですよね。というか、ビーガンが日本人の食に対する考え方を理解することはないやろなぁ、と思う。
日本人は食べる、ということは命を頂く。丸ごと頂き、その命を引き継ぐ。動物も植物も同じで、頂くからには無駄にしないで全部頂いて、食べることに感謝する。そういう考えやと思います。
だから私たちは食事の前に「いただきます」と言って手を合わせ、食事の後にはまた「ごちそうさま」と言って手を合わせます。
日本人にとって食はただ欲求を満たす手段ではなく、もっと神聖で縁起物で、文化です。
だから何をどのように、どれだけ食べるか、を深く考える。見た目や調理法やその意味を大事にする。
心のこもった素晴らしい料理は、作り手の心配りや想いを感じるようで、ほんまに日本人の食に対する意識は、世界の中でみても特別やなぁ、と思いますね。
私たちは食べるものでできていて、何を食べるかで身体が心ができてきます。
食を大事にすることは、自分を大事にすることやと思うんです。そして何より美味しいものは人を幸せな気持ちにしますよね。
先日魚屋さんで立派な車海老を見つけました。これをそのままバーベキューで香ばしく焼いて、レモン汁とバター、塩をかけてシンプルに頂きました。美味しい日本酒と一緒に。「あぁ、幸せ💕」と夫と共に悶えましたね。笑。
ただお腹がいっぱいになるために食べるイギリス人が作る料理に美味しいものが少ないのは、わかる気がします。日本人への食へのこだわりは、ほんまに深くて強く、食へのリスペクトは世界一やと思います。そんな日本人がつくる料理が美味しいのは、これもまたあたりまえのこと。
食への意識の違いは、その捉え方も含めて、人をそれぞれ違う方向に導いていくような気がします。
人の心と身体を健康にし、幸せに導くのは、やはり美味しいものに深くこだわる日本人です。
現在和食が世界的にブームになっています。世界の人に、和食の美味しさだけではなく、食への意識や考え方も伝わるといいなぁ、と思いますね。
誰もが美味しいものを食べると幸せな気持ちになる。日本人の食への意識は世界を救う、と私は信じているんです。
美味しい料理が少ないこのイギリスで、私は日本人の心意気で毎日美味しいものを食べています。
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