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もう怖くない!尿路結石(vol.0/1)

Vol.0 ) なぜ今、尿路結石の話をするのか?

今は世の中全体が、新型コロナウイルス肺炎でほぼ一色なのは間違いないですが、それによる二次・三次的な病気が増えているのも事実。
例えば…ストレスで蕁麻疹が出たり(皮膚科)、精神疾患を患う/増悪する人(心療内科)、感染を恐れて受診が遅れることで原疾患が増悪する人(全科)。そういった中の一つが、暴飲暴食による結石の疝痛発作(泌尿器科)!!

今回の自粛で感じるのは、食事・睡眠・運動といった生活のバランスが大事ということ。というわけで、この自粛を機に、日本でも予防医療に力を注ぎたいという思いで書きます!

Vol.1 ) 疫学など

尿路結石は、最近の病気かと思えば、実は5000年前のミイラからも見つかったとの報告があるくらい、古い疾患なのです。紀元前すでに痛みや血尿などから、あるいは金属の棒を尿道からいれて石に当たる手ごたえで膀胱結石を診断して、外科的手術をしていたようです。
麻酔も無く、抗生剤も無い時代なので、どのような事態が起こっていたのか想像できると思います。(←めちゃくちゃ怖いですWW)
聖医といわれていたヒポクラテスの誓いのなかに『膀胱結石の砕石術は、その道の職人に任せ、我々は一切関係しない。』とあります。 野蛮で合併症の多い砕石術は、当時教養ある正しい医師団と自負していた医師たちの行うべきものではないとしたのです。実際、手術を行ったのは、膀胱結石に対する砕石術を家秘伝の技としてもつ職人たちでした。

結石の成分やメカニズムがわかってきたのは近代になってからで、今なお色々な研究が行われています!
我が国では、年々少しずつ増加傾向なのですが、その背景には、食生活の変化があります。

・食生活の欧米化
・インスタント食品の普及
・ファストフード店の普及など

日本人の栄養摂取量と初発上部尿路結石の頻度を調べたデータがあるのすが、どうも、動物性脂肪や動物性タンパク質の摂取量が増えるにつれ、結石の有病率も上がっているようです。

◉生涯罹患率
(一生にうち一度は尿路結石にかかる危険性)
👨15% 👩7%(特に更年期以降)
→中高年男性に最も多い疾患です。

◉尿路結石とは
一言で言えば、尿路に石のようなものができてしまう病気。
尿路=腎臓・尿管・膀胱・尿道などの尿の通り道のことで、通常は腎臓で形成されます。結石が尿路に詰まると、本来なら上から下に流れる尿の流れが悪くなり、様々なトラブルを起こしてしまいます。

◉結石の種類
尿には血液中でいらなくなった物質が溶けており、本来であれば微妙に成分バランスを保っているのですが、このバランスが乱れると結石の発生に繋がります。
成分別に見ると、大きく分けてカルシウム結石、尿酸結石、リン酸マグネシウム結石、シスチン結石があります。このうち、カルシウム結石が全体の80%以上を占めており、特別な原因疾患(Ex.炎症性腸疾患など)によるものを除き直接の原因は不明とされていますが、その発症には食生活が大きく関与してしていることがわかっています。

◉原因
尿酸結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、シスチン結石は尿路感染や代謝異常、尿細管機能異常などの原因で生じますが、最も多いカルシウム結石は、食生活が大きく関わっています。
面白いことに、第二次世界大戦以前は、尿路結石の中でも下部尿路結石が多かったのですが、戦後食生活が豊かになってからは、上部尿路結石が急速に増えてきました。

では何が原因なのか?

⑴ 動物性脂肪・造物性タンパク質をたくさん摂取するようになってきたこと。

・動物性タンパク質を摂取すると…
 体液の酸性化 
 → 尿中クエン酸(カルシウム結石を抑制して 
   くれる)減少、尿中カルシウム増加
 プリン体が増加
 → 分解されて尿酸となり、尿中尿酸が過剰 
   になる
・動物性脂肪をたくさん摂取すると…
 脂肪は体内で分解されて脂肪酸になる
 →腸管内の脂肪酸が増加
 →本来ならシュウ酸と結合するはずの
  カルシウムが脂肪酸と結合
 →腸管内にシュウ酸が過剰となり尿路へ
 →尿中でカルシウムと結合  

(「図解 尿路結石を治す」より)

⑵ 深刻な日本人のカルシウム不足。

日本人のカルシウム摂取量は、平均して約520mgであり、本来必要な600mgに足りず、また、欧米の1/2〜1/3とも言われています。上記原理から考えると、カルシウムは少しぐらい多くても問題ないのです。

今回のポイントとして、結石を作らないためには、尿中に出るシュウ酸を減らせばよいということになります。

◉更年期の女性に多い理由
これはご存知の方も多いかもしれませんが、大きく2つあります。

⑴ 女性ホルモンの低下は、骨からのカルシウム放出を促進する

⑵ 女性ホルモンには結石ができるのを抑制するクエン酸の量を増やす働きがある


今回はここまで!
最後までお読みいただいた皆さん、ありがとうございます🙇‍♂️

今後も、予防医学について発信していきます。


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