けんけんとみち子

　俺の賢太を返せ！と暴れる方は、お読みにならないでください。
　ネタバレ厳禁でお願い致します m(_ _)m

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　大正８年生まれの母方の祖母の家は津軽の出で、太宰治と同郷の阿部合成という画家と遠縁だと聞いているのだが、それで、けんけんの来ていたマンションには、阿部合成の油絵が掛けてあった。

　最初その油絵を見て、「気持ち悪わりいから外せ」と、まるで「絵なんか掛けて気取ってやがる」と言わんばかりの態度だったが、由来を聞かせて「田中英光　⇒　太宰治　⇒　阿部合成　⇒（一気に飛んで）私」を厭らしくアピールしてみせると満更でもなさそうで、時おり、本当にたまにだったが晩酌のときにその絵を見て、もう忘れてしまったが、何か言っていた。