ノータンギングの魅力
金管楽器を演奏していく中で表現の幅は大変広い
時には輝かしいファンファーレ
時にはダークで静かな弦楽器のような音
合唱の声のような音
パイプオルガンのような荘厳な音
金管楽器を演奏しているので当初何かを伝えるために信号の役割として発明された角笛や軍用ラッパのようにはっきりとした大きな音は得意ですが、21世紀我々金管楽器奏者に求められる表現はとどまるところを知りません
そんな中コーリーバンドに入りどうしたらあの偉大なバンドの表現力の高さに合わせようと考えていた時に成果が出たのがノータンギングでした
はっきりした音が欲しい、でもアタックが強いではわけではない
弦楽器のような、歌のような
なんでもかんでも「ター!」「トー!」「ティー!」のような発音でイントネーションで始めていた自分の音楽に幅をもたせたのがノータンギングでした。
そこで今日はノータンギングがもたらす恩恵の話。
1、実際に音を聞いたりイメージする
金管楽器が金管楽器らしく華々しくカッコいい演奏を求められる場面というのは私見ですがおそらく全体の20%あればいいかもしれません
それ以外の80%は何かの音を模倣することです。
上に書いたようにそれは木管楽器、弦楽器、歌、ピアノやオルガンなど本当に無数にあります。
それらの音や発音をよく観察してみると、僕らのタンギングでは出にくい発音がある事に気付くはずです。
そういった際にノータンギングは大変有効です。
例えば、歌の歌い出しや弦楽器の音の出始めや
また曲にもよりますが滑らかに音を始めたい時に有効です。
しかしこれはあくまで方法であり、実際は表現したい音楽を見つけ、それを誰かの仕草や声を真似するときのように模倣する事で自然と出てきます。
その自然と出てきた表現をしたい時に
ノータンギングができるかできないかでは表現のしやすさが変わってくる
という話です。
2、金管バンドのブレスのシェア奏法に使える
金管バンドやそのほかのアンサンブルにおいて、長いフレーズを複数で演奏している最中にブレスを取り合い、フレーズを長く保ち音楽を表現していきます。
その際にブレスをとった後の”入り”にタンギングをして入ってしまうとせっかく保っているフレーズの長さ=音楽の流れを分断してしまいます。
その際に日頃ノータンギングの訓練を積んでおけば瞬時に息を吸った後もフレーズを壊さず静かに入り音楽の流れを保つ事ができます。
3、タンギングの支えになる
ノータンギングでの演奏を続けていると息=呼吸によって生まれる風をコントロールをする力が強化されます。
それによりいざタンギングを行なってする演奏もよりしやすくなります。
これまでタンギング=舌の筋肉に頼りすぎていた音の発音に”強化された息の圧力”も加わり極端に言えば打撃音や俗に言う痛い音と言われていた音色がより響きに満ちた音になる場合が多いです。
タンギングの練習!!となると舌の動きにのみ注目が行き過ぎる場合が多いですが、この息の流れ、圧力、方向など様々な事が”あえてタンギングをしない音”の発生のさせ方の訓練で鍛えられます。
まとめ
全てをノータンギングでというのは極端過ぎる話ですが、あくまで表現の1つです。
しかしあまり練習方法として有名ではないが故に知られていないのも実情です。
ロングトーンやウォームアップの一環として、
また上記3項目の訓練方法としてノータンギングを訓練することは自分自身が思っている以上に効能が高いです。
pやfでもノータンギングで演奏をしてみたり、どのような練習もノータンギングの時にしかわからない身体の動きも分かってきます。
ぜひ幅広い練習法の中にノータンギングを取り入れ表現の幅を広げましょう。
少しでも皆さんのお役に立てていれば幸いです。
ご読了ありがとうございました。
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