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理想を実現できない選手は失敗か?

まえがき

この自粛期間中に読み進めていた「マンバメンタリティ」
コービーが亡くなる前に執筆しているバスケットマンにとってのバイブルともいえる素晴らしい本です。


自粛期間中に私は多くのことを選手たちに伝えてきましたが、そのほとんどがアスリートたるものがこの期間をどのように過ごさなければいけないといった内容でした。
世の中には多くの指導者や競技者が自宅でも行うことができるコンテンツの作成や指導教材を作成し、スポーツシーンにも多くの情報商材がリリースされています。
でも、現実はどうでしょうか?

多くの大人は答えにいきついていて、もちろん与えられた平等な時間を少しでも有意義なものに変えるために課金をしたり、子どもたちと(選手たちと)関わっていったと思います。

しかし、実際にこの3ヶ月ほどの時間を100%成長のために使えた選手はそうはいないでしょう。どこまで求めるか、という物差しによってもその成功度、達成度は異なると思います。
ただし、このNBAの最高峰にいた選手やそういったトップレベルの選手と比較したときに多くの選手が失敗した時間を過ごしたと私は肌で実感しています。


ちょっとスポーツのピラミッドを考えましょう

失敗、成功と判断する前にまずこのピラミッドを考えましょう。
データソースは、http://www.japanbasketball.jp/jba/data/enrollment/です。

日本のバスケ人口は、約570万人と言われています。
現在、Bリーグとして登録されているチームは45チーム。
選手数は1チーム13名と決まっています。
男子のトップ選手は約585名。
ストリートやその他プロ選手(3X3など)を含めても約700名くらいなのではないかなと思います。
プロという定義にもよりますが、女子も同程度の規模だとします。
1400名ほどがトップ選手としましょう。

プロ選手並みのクオリティで時間を過ごした人は1400名です。
(この期間を完全に成長につなげることができな人数とします)
ざっくりですが、世代で細やかに見ていきましょう。
プロ選手は大体22歳〜35歳とします。この際の年齢による分類は均等とします。
ざっくりですが、1400名を競技年齢の幅(13年)で割ると、107という数字が出ます。
各年齢において完璧な過ごし方ができた選手は107名です。同い年で完璧なモチベーションで完璧に過ごすことができた選手は107名。 

これをアマチュアシーンで落とし込んでいきましょう。
全国大会に出場できるチームは大体多くて50チーム。
各チーム、部活動なんかだったら同じく13名ほどが主力選手ですよね。
すると計650名、男女で1300名がプロチーム(憧れる選手とか目標としている選手を志して)並みのクオリティで向かい合ったとします。

するとどうでしょう。
もうすでにプロになれる選手に数を簡単に超えているということです。
それも同じ年代だけです。
全国大会を目標に(そして近い位置で)活動している選手だけでもうピラミッドの頂点は埋まってしまいます。

努力やモチベーションといった点だけで簡単な算数をするだけで、単純ではありますがスポーツの厳しさが垣間見えます。

世界を目指す選手にとっては、この数字が世界全体になります。
世界全体のバスケットボール人口は約4億5000万人と言われています。
NBA選手になりたければ4億5000万人の中の450人に選ばれなければいけないのです。

夢を描くのは自由ですが、達成するためには文字通り・・・・
日常を見つめる必要がありますよね。
世界規模で見つめると日本のプロ選手だって失敗かもしれないということなのです。


じゃあ成功って?

日頃から私がいっていることは、あくまで私の中での成功基準に過ぎないです。
でも、私のクオリティがあれば、あと運があれば、人に愛される選手であれば十分に地域を代表する選手くらいにはなれるということです。

でも、私も夢を教える職業ですから、そんなもんでは満たされません。
スポーツで成功を目指す子どもたちに教えることは

失敗を成功に変える


コービーの言葉を見てみましょう。
私にとっては、子どもたちに向けていっているセリフがあります。

”それは犠牲でもなんでもなく、バスケットボールは人生の一部。
普段の生活を犠牲にしているとは感じない。
僕にとってはしたいことをしているだけだから、犠牲を払っている事でもなんでもない。
もし、君にその感覚が無いのだとすれば、究極の領域にたどり着いていないのだろうね。”

成功を目指しているならば、スマホをおくべきだ。
必要のないチャットが集中力を奪っているのであれば、バスケ人生に必要はない。

世界の子どもに向けて語っている言葉です。

全てがバスケットボールに関わっているという考え方こそが
彼の成長のメソッドであったのだ。
何ら難しいことではいですよね。学校の授業や家庭での活動、全てがバスケの成長につながるステップとして捉え、行動した結果が世界最高峰のプレーヤーという功績をこの世に残したのである。

私の恩師は同じことを私に教えてくれました。
ミニバスから始まったキャリアで大学まで、コービーと同じことを近くで教えてくれました。私はコービーにバスケを教えてもらっていたのかもしれません。


成功は、全て生活の中にあった。
ということです。

いくら世の中の良質なコンテンツを見て、研究し、鍛錬を重ねたところで成功はありません。

成功は日々の生活の中にあるのです。


技術は力を貸してくれるだけの選択肢に過ぎない

自粛期間が明け、チーム活動が再開したときに

「あ、こいつ上手くなってる」

と感じる選手はチームの中に一人いればいい方だと考えています。
チームで共有しているも目標や理念の水準にもよると思いますが、コーチは心して備えるべきです。
そして選手にも準備は必要です。成功している選手が一人でもいれば、チームの指導は成功といってもいいでしょう。
その成功をどのようにチームに波及するかが重要です。
そのとき重要になるのが、

技術が全てではないということです。
日々積み重ねた成功を表現するのがゲームです。そしてその積み重ねを表現するのがスキルということになります。
でも、スキルの高さだけが勝敗を左右することはないですよね。
もちろん高いスキルを持つ選手は脅威ですが、チーム同士の戦いとなれば、チームの結束が強いチームが勝利を手にするでしょう。

個人活動で持ち寄ったスキルをチームでどのように捉え、チームに波及していくかを考えていきましょう。
そういった選手をリーダーにチームビルディングを進めていけばいいだけです。

リーダーになりたいと思う選手はここが頑張り時だと分かりますよね。


サポートの重要性

さぁ、リーダーになるような選手がどのような選手か分かりましたが、
重要なことは「失敗を成功につなげること」でしたよね。
大人が選手たちと一緒に頑張るのはここです。

先ほどのピラミッドの話に戻りますが、何者かになりたい選手を近くで支えるのはコーチや選手です。
決して一人の力では達成されません。

自粛期間に失敗をした選手をどうするか、これがポイントです。
開き直りましょう。

選手は、

確かに高いモチベーションで向き合うことができなかった。

失敗を反省することが最初のステップです。

コーチは、

高いモチベーションを維持させてあげられなかった。

そう考えていきましょう。


次に、選手間の絆やコーチとのコミュニケーションから始めていきましょう。
どうポジティブに未来を描いていくかが重要です。
これは、年代によって異なるかもしれません。
もうすでに大舞台がなくなってしまった選手にとっては厳しい現実があります。
ただし、希望がないわけではないということや失敗を成功につなげることが人生において非常に重要であることを説いていけば、この自粛や世界的な問題は個々人の中で貴重な体験へと変わるはずです。

何より、失敗している選手が圧倒的多数であり、
そこからどのように這い上がっていくか、という観点が大事です。


自粛がなくても大人であれば少なからずこういった経験があると思います。
競技者時代にレギュラーメンバーに入ることができなかった選手は、自身のキャリアにおいて一線引いたときに誰もが感じることだと思います。

「あのタイミングでの頑張りが足りなかったな」
「あのときああしておけば・・・」

これを後悔と呼びますよね。
後悔があるから反省があったりもします。
引退試合で後悔がないという選手は、全国優勝を果たしたチームの先発メンバーのみで、その後の進路によってはそういった選手も後悔が残ったりします。

どんなアクションにも後悔はつきもので、
そういった経験が人を強くしている部分というのを今回は状況が違っても教えてあげるタイミングなんだと思います。


成功者のみ成功を語る

コービーをはじめ、NBA選手は多くの言葉を世に残していますよね。
私が子どもたちにNBAをきちんと全部見なさいというのはまさにこの観点からです。
NBA選手になりたくなくても、バスケが好きならばバスケットにおける成功者を見るべきなのです。そして、NBA選手になって失敗する選手も全部見るべきで、そのドラマから多くのことを学んでほしいと思っています。

成功者の成功談は多くの教訓を含んでいます。
教訓(レッスン)なしに、成功している人がいないからです。

バスケで成功できる人間は、バスケ以外の領域でも必ず成功します。
成功の仕方を知っているからです。

そして、多くの成功者は、次の世代の成功のために語っています。
コービーが子どもたちのために「スマホを置きなさい」といっていること、世のお父さんたちのために「育児をしてから仕事をしなさい」といっていることは、彼が実践し、成功を掴み取ったからいっているのです。

そして後世の人に成功してほしいからいっているのです。
彼の人生における教訓ですよね。

コービーだからできるんだよ!

いいえ、育児をバッチリやってから仕事をバリバリこなしている人はたくさんいます。
コービーにできて他の人にできないことはありません。
いつだって、

やるかやらないか

この差しかありません。


クラブの子どもや同じ地域で活躍している子どもたちに今一度、
緊急事態宣言中の私の言葉を届けたいと思います。
そして、少し振り返ってほしい。

学校の課題は一生懸命できたか?
自主練習は自分で考えて、モチベーションを持って行えたか?
両親の手伝いをたくさんできたか?
チームメイトに差をつけるような努力ができたか?

失敗した選手は、その失敗を生かせばいい。
失うものなんて何もないし、次にしっかりと戦っていけばいいだけなのです。
失敗が人を強くするのです。


あなたのサポートでコーチ谷村は今日も活動ができます! ありがとうございます!そして応援よろしくお願いします!!!