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【ペンギンズ式】思春期の子どもを伸ばす方法

前書き

今回は思春期の子どもへの教育を少し紹介します。
ペンギンズ式としてお話をしますが、これは別に私たちが開発した育成方法でも何でもありません。世間一般の教育現場でなされていることです。中学生のバスケ指導を通じてまだ5年ではありますが、私たちが試行錯誤しながら歩んできた、学んできたことを紹介したいと思います。



立場を考えた3:3:4の比率

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まず教育で大切なことは、子どもたちと直面する前に自分がどういった立場で、どういった支援や教育を行うのが適切か考えることにあると思います。
これがどのような効果を発揮するかというと、子どもを取り巻く環境にいる大人の相互作用を実現します。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、
「学校はここまでやるんだよ!だから家庭はここまでやってね。」
「家庭はここまでやったよ。地域の人はこうやって見守ってね。」
ということです。

よく言われるのは、3:3:4という比率です。
学校:地域:家庭に対して、3:3:4
これは子どもに対する重要性の比重であったり、この比重で教育を受けていくべきだと言われる指標ですね。
どんなに頑張ったとして、自身が置かれる立場の割合を守るべきで、こういった学校や地域、家庭などの多様性の中で満遍なく子どもを育むことが子どもにとって良いとされています。

「学校の先生は私(親)より頭が悪いし、私のいうことだけ聞きなさい。」

今はあまり聞かないですが、いっときこういう親御さんがいて問題だと報道されていましたよね。(モンスターペアレント)
この比率を破る人というのは時として、モンスター扱いされます。
モンスターであるかは置いておいて、確かに教員の力量の差というのは子どもの教育においてかなりの責任を担っていますが、所詮3割であると割り切ることも重要です。
そして、それは学校の先生だけでなく、家庭でも同じです。
いくら100%を注いだところで、あとの6割を外の人間に任せる方が子どもの教育にとっては健やかなのです。一番よくないことは、この比率を壊してしまう発言です。
特に家庭ではそのような発言や環境設定はしてはいけません。
過程というのは子どもにとっての4割ですが、この4割が基本となってその他の6割が積み上げられていきます。
この4割の家庭という割合中で、6割につながらないような環境設定や指導が存在してしまうと子どもにとっての4割が10割(つまり家庭で起こることが全て)になってしまいます。


思春期の子どもの特徴

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思春期の子どもは単純に反抗をするだけではありません。
子どもがする反抗を切り取り、こういう対策を取りましょうというのは今回の本題からはズレるのでここには述べませんが、思春期は子どもの成長にとって非常に重要なポイントです。
昨今の私の印象ですが、私が生きていた時よりもずっと未熟な状態で思春期を迎えている子が多い気がします。それは子どもの能力が下がっているとかそういう話ではなく、色々な経験をしないまま思春期に入ってしまい、どうして良いかわからない子どもたちが増えている、そんな印象です。

思春期というのが=反抗期というのは正しくありませんが、
反抗をし始める子どもというのは、自立へと向かっている証拠です。
自立というのは経済的自立と精神的自立など難しい言葉を使って説明はされていますが、最初は何となく親の行っていることや先生が言っていることだけがこの世の全てではないんだというような気がする。というぼんやりしたものから、自分は自分で生きていけるというような自立の第一歩ですよね。そして、その気持ちを引っ込めることができなくて、プライドが邪魔したりして拗れていきます。

自分で考える能力のない子が思春期を迎えてしまうと少し難しいです。
反抗期の子どもを伸ばす方法は納得させることしかないと私は思っています。
考えることができない子どもに納得は起きません。理解→結論、このプロセスを無くして納得することはないですよね。

さらに、この特徴として述べた部分に個性が重なります。
この特徴に毛が生えていくような感じです。人それぞれいろいろなアクションを以て大人にアピールしてきます。
暴走する子がいれば、全てを投げ出す子もいます。それをあえて私は、個性として「毛が生えた」程度にしか思いません。
このステージの子どもたちははっきり言って『パフォーマー』です。
大人を振り回して得ている安心があったり、行動にそんな多くの意味はなく、大人のアクションを見ているだけですのであまり大騒ぎしないのが一番です。

このパフォーマンスが大いに現れるのは「家庭」もしくは「学校」のどちらかです。外で発散するか、中で発散するかの違いです。「地域」はなるべく子どもが居やすい環境を作ることが大切なので、ペンギンズでは本当に子どもがその場所を好きになるような工夫をします。
そしてペンギンズ式としていつも家庭にいうことは、

「安心して預けてください。ここでは、〇〇君は良い子なので」

それぞれの立場で悪目立ちをしていると、その姿が全てなのでは?と不安になるでしょう。でも、違う立場から見るとこんな一面があるよ!というのが意外と救いだったりします。
人の成長で踏ん張りどころに伸ばすべきは、短所ではなく長所なので、そういう時に見える良い一面をしっかりと大人が協力して評価していくことは非常に重要ですよね。


「どんな地域にしたいか」ペンギンズのメソッド

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ペンギンズで取り組んでいる環境設定について触れていきます。
ペンギンズはただのバスケットクラブなので、基本は子どもに備わっている能力を伸ばすだけの機関としています。でも、思春期の子どもを支えるにはそれだけでなく、いろいろなことを教えてあげなければいけません。教えると言っても大人が一辺倒に子どもに教えを説いていくのは私も面白くないのでしません。私たちには私たちにしかできない指導があるということでこんなシステムで子供と関わっています。

教えるのは、コーチ
見守るのは、お兄ちゃん
目指すのは、メンター
育むのは、トレーナー

誰でもわかるようなこととそうでないこともあるかもしれません。
実際にこの役割を持つ人間はコーチとしてクラブにいるのですが、それぞれがそれぞれの役割からはみ出ないように(はみ出たときはみんなでカバー)しながら活動をします。

私は、コーチとしてインプットをします。そしてメンターとして全ての子どもの憧れや精神的支柱になるような発言や立ち振る舞いをします。精神的支柱だけではなく、カリスマ性を発揮し続けるのが私に役割です。
そしてアシスタントコーチは、友達以上恋人未満の良い人止まり、よく言えば中の良い親戚のお兄ちゃんを目指します。
まだ社会でそこまで自分の能力を出せない子どもたちが、少しずつ身の回りの人間の使い方を学ぶ場所としてこの構造のみを教えます。
我々はバスケクラブなので、もっと単純に、

バスケは谷村(私)に教わりなさい

練習相手には藤田(アシスタントコーチ)を選び、倒しなさい

倒せたら谷村に挑みなさい

この構造のみを入会した段階で教えます。
子どもの3ステップで、最初のステップは簡単です。子どもは教わり慣れています。次のステップで親戚のお兄ちゃんが出てきます。
近い立場で、自分の成長に必要なことを教えてくれます。教えなくても、活動を通じていろいろな関わり方を教えてくれます。
そして最終ステップで社会の厳しさを教わります。でも、このステップにきちんと到達する子は、次に何をしなければいけないかや、メンターである私の活用方法を身につけます。
大人の正しい使い方を学ぶのです。

地域の役割の中で子どもに身近な環境をなるべく社会と同じような設定にして、わかりやすく提供していくことが私たちのメソッドです。
それをPDCAサイクルに当てはめ、子どもの個性を見ながらタイミングを見てい口というのがペンギンズスタイルです。

クラブが一番、子どもたちに教えたいことはメンターである代表の私がどのような夢を見ているか、つまり<クラブの本質的な姿>を等身大に表現して、その背中を見せていくことです。夢は身近な人柄から学び、自分に写していくことであり、また描いていくことを大切にします。


〜関連記事〜

相関的な立場で身につけてもらういくつかの能力
①自己管理能力

②マネジメントをする上で必要なメンタリティ

③コーチが心がけること

④家庭でできる工夫、長続きする子どもに育てるには


⑤家庭でできる工夫、チャレンジできる子どもを育てるには

⑥ペンギンズが行うアスリート教育


発達に応じた家庭の立場からできる支援と外部の関わり

このように素晴らしい教育機関が身近の地域社会にあるとは限りません。(笑)
なので、どこでもアウトプットできるようにリストアップして家庭の役割として忘れないでほしいことを書きます。
「地域」としてこういう方が楽という風なタッチで描いていきます。

出生〜幼児期(前半)
この時期は家庭が100%の比重になってしまいがちです。
でも、どうか是非なるべく多くの人間に触れ合い、ひとが好きになるような工夫をしてあげてください。
僕の中で大切だと思うことは、両親の非常に近い存在である祖父母や友達など、大変ではありますが、自分の中でイケている大人にこの時期から子どもとの関係を作っていきましょう。
外で色々なことを学ぶ基礎を形成します。

幼児期(後半)〜学童期
この時期からだんだん人らしなってきますよね。のちの思春期で重要になってくるのがこの時期の過ごし方です。社会性という観点でも、人間性の部分(善悪の基礎) はこの時期に作られていきますよね。
この時期は、「好きなこと、夢中になれることを探す」機関です。
この時期に地域との関わりを作った方がいいです。「所属」することを覚えることです。成功しなくてもいいです。でも、あなたはどこか別の社会に属さなければいけないという風に指導していくと、こっちがやりやすいです。そしてこの時期からそういう体験をした子の方が伸ばしやすいのでお願いします。
『負け方を知る学童期』など、学童期の過ごし方は本当に重要です。今度解説しますね。
外で学ぶ上で必要なことは家庭で形成します。

学童期〜思春期(前半)
自立への準備を始めます。ここで必要なことは、「通用しない」という経験です。
幼いうちにここでバシッとジャッジされる経験があった方がいいと思います。
人は何かをできないと思うことや、目標が達成できない経験をしておかないとダメです。最近ではスモールステップを作りすぎて子どもの成長を逃しているケースが目に余ります。
子どものポテンシャルを信じることとそれに対して適切なサポートさえあれば、子どもが飛躍的に伸びる瞬間のコーディネートは可能なので、大きな目標を掲げさせて、はい!足りない!とビシッと切る経験があってもいいです。
この経験は主にスポーツシーンでは多く、ここで踏ん張る力を身につけさせます。

あまりいい例でないかもしれませんが、
甘やかすのは9歳までで、10歳から厳しく育てる。
と島田紳介さんが教育論を語っていました。
叩きつけられたボールは高く弾むと子どもの教育を比喩されていましたが、
ポテンシャルの高い子どもに対してはこの方法が一番伸びます。
私の言葉で言うと、このくらいの時期から子どもが持つ様々なことに対する物差しを上手に大きなスケールにすり替えていくと言うのが大人のミッション。
限界値を自然に伸ばしていくのが上手な大人の存在があるといいです。

外で学ぶことに対して家庭でのフォローを獲得します。

思春期
様々なことに判断を伴い始め、考えはだんだんと複雑化してきます。
外で学ぶ期間です。
家庭でのインプットはほとんどできません。なのでこの時身を置く環境が非常に重要になります。
この時までにいい出会い(メンターとの出会い)がなければ、この思春期間で成長することは非常に難しいです。

メンターの獲得について
条件がいくつかあります。子どもがメンターとして選ぶ人間は、

・両親が信頼を置いていること
・子どもにとって魅力に感じる能力力や性格、実績を持っていること
・絶妙な距離感で子どもが欲しいものを与えてくれる人

この期間までに、家庭では子離れや親離れの準備をしておく必要があります。
そして重要なことは、このメンターは子ども自身が選ばなければいけないので、なるべく多くの環境で出会いをコーディネートしてあげてください。


まとめ

子育て的な視点にはなってしまいましたが、
我々のメソッドと発達に応じた特徴などを述べました。
大原則として、子育てや子どもの成長は大人の協力なくして実現することはありません。子どもを養うのは家庭、子どもは外に育ててもらうものくらいな感覚でも間違いははなく、昨今多くの子どもたちが抱えている問題は視点を変えると案外簡単に解決ができるケースもあります。
多様性が重要で、それこそ小さいうちからこの多様性に慣れておく工夫や、実際に子供と関わる大人自身の多様性なんかも重要だと思うのです。


この記事の執筆者

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谷村 蓮(26)東京都世田谷区出身。2015年に地域任意団体として「ペンギンズバスケットボールクラブ」を立ち上げ、2018年に法人化。東京都より特定非営利活動法人として認証を取得。バスケの発展、振興だけではく、子どもの育成を第一の目的として子どもの支援活動を展開。スポーツ×教育を大切に多くの子どもと関わる。


あなたのサポートでコーチ谷村は今日も活動ができます! ありがとうございます!そして応援よろしくお願いします!!!