アイデアが出てこない!って人に教えたい「思考のテンプレート」【Dのお仕事‐企画編④‐】
こんにちは。「audiobook.jp」note編集部/音声コンテンツD(ディレクター)のバシサンです。
普段はaudiobook.jpでラジオ的な番組の企画、構成、収録、編集などやっているアラフォーディレクターをやってます。
音声番組ディレクターのお仕事ノウハウを切り出して書き綴っているこちらの連載。
前回は「10分で80個のアイデアを出すディレクターの思考術」で、アイデアの広げ方を紹介しました。
さて、今回も企画に欠かせない「アイデアの出し方」をアレコレ書いていきます!
どうぞお付き合いくださいませ。
■「考え方のテンプレ」を持ってるとラク!
どんな仕事でもテンプレって使いますよね。
メールや資料づくりに「お決まりの文面や様式」があったほうが仕事は圧倒的に早いしラクになります。
じつはアイデアを出すのも同じ。
「考え方のテンプレ=お決まりの型」を持っていると、いろんなアイデアが早く、ラクにだせるようになります。
■これさえ知っていればOK!「オズボーンのチェックリスト」
そんな「考え方のテンプレ」で有名なのが「オズボーンのチェックリスト」。
アメリカの広告代理店の経営幹部をしていたアレックス・F・オズボーンさんが考え出したアイデアを出す方法のひとつです。
ちなみに、オズボーンさんは「ブレスト=ブレインストーミング」の生みの親でもあります。
(「アイデアを生み出すためのアイデア」をつくれる人って本物のアイデアマンですね)
さてさて、その内容はというと、9つの「リスト」になっています。
転用したら? → 今のままで別の使い道はないかな?
応用したら? → 似たものはないかな? 真似できないかな?
変更したら? → いろんな要素を変えてみたらどうなる?
拡大したら? → 大きく長く/増やす、をしたらどうかな?
縮小したら? → 小さく/短く/減らす、をしたらどうかな?
代用したら? → 人/モノ/場所を代えてみたら?
置換したら? → 配置の入れ替え、順番を換えたらどうなる?
逆転したら? → 逆さまにする、上下左右表裏を反対にしたらどうなる?
結合したら? → 合体、組み合わせ、一括にしたらどうなる?
ピンときにくいので実例を挙げてみましょう。
転用 → 家をそのまま宿泊施設に転用した「民泊」
応用 → お茶などの健康志向を応用したトクホ取得の「メッツコーラ」
変更 → 綿棒の色を変えた「黒い綿棒」
拡大 → 営業時間を長くした小売店「コンビニ」
縮小 → 少しだけ食べたいニーズに応えた「ハーフサイズ」
代用 → 小麦を米粉で代用した「米粉パン」
置換 → 会計を先にしてオペレーションコストカット「食券機」
逆転 → みんなで行かなくてもいいんじゃない?「一人カラオケ」
結合 → もはや定番。カレー+うどん「カレーうどん」
こんな感じで「◯◯してみたら?」と考えると、けっこういろいろなアイデアが出てきます。
■とっかかりにしやすい「拡大」「縮小」「逆転」
「オズボーンのチェックリスト」は2つ3つ覚えておくだけでも充分使える「考え方のテンプレ」です。
音声コンテンツの企画・ディレクションをしていると、
「この1コーナーの尺を長くしたらもっと何かができそうだな」(拡大)
「もっと領域を絞った話にして掘り下げてみたらどうなるかな?」(縮小)
「このジャンルのウラ事情を話したら面白いんじゃないかな?」(逆転)
といったように「拡大」「縮小」「逆転」をよく使います。
この3つをもう少し掘り下げて、どんなふうにアイデアのとっかかりをつくるのかをみてみましょう。
■「拡大」と「縮小」
「拡大(=大きく長く/増やす、をしたらどうかな?)」「縮小(=小さく/短く/減らす、をしたらどうかな?)」で発想を広げるには、対象となるもののいろいろな要素の「数値や単位」に注目してみるといいです。
時間、日年数、個数、回数、人数、距離、体積、容量、重さ、アクセス数、……などなど、1つの企画やモノにもかなり多くの「数値や単位」があるので、それらを大きく、または、小さくしたらどうなるかを考えるわけです。
■「逆転」
「数値や単位」を大きくしたり小さくしたりすることも逆転の一種ですが、それでは表しにくいものもたくさんあります。
「逆転」はそんなときにおススメ。
ただ、個人的には「逆転」よりも「逆張り」という言い方のほうがしっくりきます。
つまり、「フツーに考えたらこういうスタイルにするよね」「世の中にはこんな感じのものが多いよね」という要素の逆をいく、という感じです。
たとえば、『女子大生にオススメ!おもわずインスタに上げたくなるスイーツ特集』という見出しやコピーがあったも「あーはいはい、よくあるよね」となります。
それが、『エグゼクティブな経営幹部にオススメ!部下に教えたいスイーツ特集』だったら、(企画として採用されるかどうか別にして)ちょっとエッジが立っている気がしませんか?
やっていることは「スイーツ=女子大生が好き」という要素の真逆に位置していそうな「エグゼクティブな経営幹部」を持ってきただけですが、なんだか斬新なアイデアに見えるわけです。
■おまけ。アイデアが出てきやすい「三上」と「3B」
パソコンの前で唸っているだけだと、アイデアは出てきにくいもの。
そこで知っておいてほしいのが「三上」と「3B」です。
「三上」というのは、
馬上(馬にのっているとき=移動中)
枕上(布団に横になっているとき)
厠上(トイレにいるとき)
中国・北宋時代の学者である欧陽修(おうようしゅう)が『帰田録』に書いた言葉なのだそうです。
「3B」というのは、
Bus(バス=移動中)
Bed(ベッド。就寝前)
Bath(お風呂)
こちらは、オーストリアの哲学者であるルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインが遺したと言われている「科学上の偉大な発見はすべてBの文字で始まる場所、Bus、 Bed、Bathで起こっている」という言葉によるもの。
どちらにも共通しているのは、リラックスしやすい時間だということ。
散歩しながらアイデアを考える人は多いですが、これも「馬上」「Bus」に近いものです。
「アイデアが出てこない!」
という人は「オズボーンのチェックリスト」と「三上/3B」をぜひお試しあれ。
といったところで今回はこのへんで。
一旦、企画編はこのあたりにして、次からは音声ディレクターの別の仕事の一面を切り出していこうと思います。
引き続きどうぞよろしく<(_ _)>
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