村田監督率いる横浜高校の魅力
第103回全国高校野球選手権大会に横浜高校が戻ってきました。
松坂大輔投手率いる98年春夏連覇、成瀬投手、涌井投手、筒香選手などなど、数多くのプロ野球選手を輩出した名門。
そんな横浜高校は、監督が平田さんから村田さんに変わって初めての甲子園です。
村田監督は、現楽天ゴールデンイーグルスの涌井秀章さんとバッテリーを組み、甲子園出場した捕手出身。就任した際、「自分がキャッチャーなら抑えられる」と思い、指導にあたったそうです。
ここからは私の考えです。
もともと渡辺監督、小倉部長の時代は、卒のない野球が魅力でした。好投手を中心に、堅実に送りバントで進塁させる、時にエンドランをかけ、右方向に鋭い打球を放つ、バットを立てた構えからシャープなバッティングをする、そして鍛えられた守備。
この時代は、1点ずつ得点し、ジワジワと相手を攻める野球でした。1イニング1点、9点を目標に攻撃をする形を作っていました。同じような野球をするチームとして、馬淵監督率いる明徳義塾高校も似た野球をします。こういった昔の堅実な野球、スモールベースボールが対戦相手だと、横浜高校は競り勝つことができていました。
そこから時は経ち、平田監督の時代となります。この頃の横浜高校は、個人の力を存分に発揮する大味のチームと言えます。これは批判ではありません。渡辺監督の時代、95回大会頃から、高校生の打撃力が向上し、長打の確率が上がってきました。これは先人の知識と経験により、体作りや食生活を含めて選手の身体能力が向上したことが考えられます。
問題は、堅実な野球、2-0などの低スコアで勝つことが難しく、破壊力ある打線に大量得点されると、自分たちの戦い方を崩され、あっさりと負けてしまうといったことが見られました。好投手を要しても、個人の力で負かされる、そんな時代へ突入しました。ですから、近年の横浜は90回大会の甲子園ベスト4以降、甲子園で勝てないチームという印象が与えられました。
そして今年、村田監督はどんなチームを作り上げたか。
「1イニング1点取り相手を追い詰める野球」だと私は見ています。堅実な野球をしている、正に昔の横浜高校の戦い方です。神奈川大会は大量得点もしていますが、まず1点を取りに行く姿勢が随所に見られています。
このスタイルは、どんな相手にも1試合5点以内では抑える好投手が必須条件になりますが、正直この投手力が今年は高くありません。
勝ちパターンをつくるなら、序盤を0か1に抑え、多彩な攻撃を繰り広げ、相手チームの守備の時間に頭を使わせ、疲労させること、ミスを誘い、そこに更につけ込み、相手チームに自由な野球をさせない。そんな幅のある野球で主導権を掴むことが求められます。
今年は村田監督はじめ、スタメンも若い選手が集まる横浜高校。
初戦の相手は広島新庄高校、強豪ひしめく広島大会を勝ち上がってきた素晴らしいチームであると考えられます。
どんな戦い方を見せてくれるか、とても楽しみです。
全出場校の選手のみなさんが、思い切りプレーをする姿を楽しみにしています。
長々と失礼いたしました。またお会いしましょう。
2021.8.11.
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