📸プロカメラマンってなに。

写真を撮ってお金をもらえるようになってちょっと時間が経った。

まだ自分が『プロカメラマン』なんて気恥ずかしいけれど、仕事を受けるからにはその意識をもってシャッターを切っています。

撮るだけで稼げるってなんてラッキーなんだって思っていたけれど、現実はそう甘くありません。現に私は会社員をやめていません。一本に絞って生きていく勇気がないなんていわれたらそれまでだけど。まぁ、あれもこれもと欲張りな人生なんです。

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仕事で撮っているときと、そうでないときの違いって何だろう。そんなことをふと考えました。報酬が発生するとか、責任が伴われるとか、それだけではありませんでした。

一番はクライアント(お客様)がいること。自分のために撮る写真ではなく、相手の要望にこたえる写真を撮ります。だからこそ、相手がどんな写真を望んでいるのか想像を働かす必要があります。

実は最も難しいのが『おまかせ』です。「かなねーさんがいつも撮っている感じでいいよ」といってくれるのですが、これがまた大変なのです。

多分そんな深い意味はなくて、私の撮っている写真を肯定してくれているありがたい感想なのです。だからこそ、物凄く緊張します。

そのときにふと思ったのです。

背負っても撮れるのが、プロなのかもしれない。

カメラマンの世界に、プロとアマチュアの明確な線引きはありません。教職員のように免許があるわけでも、国家資格が存在するわけでもありません。分かりやすい違いは、仕事として引き受け、報酬があるか否かでしょう。もう少し言及すると、アマチュアは自己満足。プロは顧客満足が全てということでしょう。

確かに普段撮影をしているときは義務感はありません。自分の好きなように、好きなシーンをおさめているからです。失敗しようが一枚も撮れてなかろうが、誰にも文句はいわれません。しかし、仕事となれば事情は変わります。

決して無理くりシャッターを切っているわけではありませんが、考えることは格段に増えます。自分のため“だけ”の写真ではなく、相手のための写真です。自分の満足以上に相手を思う必要がある。その差は歴然です。

雑誌やアルバムに使用する場合、その作品に合う設定に変更する必要があります。私は明瞭度の強いはっきりとした写真が好みですが、クライアントの要望がそうでなければ、設定も全て変更します。

それでは個性が失われてしまうのではという懸念もありました。しかし、出来上がった写真をみると、確かに私の撮った写真でした。最初の頃は違和感がありましたが、これも自分の『個性』なのだ。新しい撮り方を習得できたのだと思っています。

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最初の頃は『自分の色を殺す』なんて思っていました。これから先、自分の好きな作品は残せない。義務感だけの、無機質な写真が出来上がる。それが仕事なのだと。全くそんなことはありませんでした。

もちろん先方の決まりがあったり、制約は存在します。それを幅が狭くなったとか、自分の特性が失われたとか、マイナスには思いません。新しい道がひらけたのだとワクワクする日々です。

撮ることを仕事にしてよかった。

改めて感じています。誰かの人生に一秒でも関われているということ。また、それを喜んでくれること。誰かに寄り添うことができたという充実感。撮るって物凄く優しくなれるのです。

カメラマンに定年退職はありません(会社所属であれば別ですが)。自分が引退しようと思ったとき、初めて終わりを迎えます。私は死ぬまで撮り続けるぞと思っているので、きっと最期までシャッターを切っているかもしれません。カメラに出会えてよかった。カメラマンになってよかった。心からそう思うのです。