📸自分が『納得』できるものを残す。

人に褒められることで、承認欲求を満たしていた。そう、数年前の私だ。

自分を認めることができず、誰かに評価を求めていた。人に承認されることが、何よりの喜びだった。自分に価値が生まれたような気がしていた。

写真を撮ることも同じだった。誰かに褒めてもらいたいという思いが先行し、本心に蓋をしていた。そこに自分の気持ちはなかったのだ。

やがて時が経ち、気づいてしまったのだ。

自分が心から納得していないと、人の心には響かない。
誰かに褒められようとしているうちは、ろくなできにならない。

理解するまでに十年ほどの時間を要してしまった。もっと前に知りたかったと、私は思う。現に、昔の写真を振り返って思うことがあるのだ。

魂が込められていない。

メッセージ性がないともいえようか。自分が納得する作品とは、程遠い出来栄えなのだ。何を伝えたいのかまるでわからない。なぜ撮ったのか。どうしてその設定を選んだのか、何も理由が浮かばないのだ。

もちろん咄嗟にシャッターを切ることもある。今は、自分の中で納得できる理由が必ずある。以前の作品には、虚しいくらい何もない。

評価を誰かに委ねることが悪いわけではない。ただ、それを続けてきた結果、自分が納得できていなければ『誰かの心には響かない』という現実に直面した。自分の本心に、嘘をつかない方がいいということを知ったのだ。

考えてみると、これは別に写真の世界だけに限らない。仕事でもプライベートでも、全てにいえることだと思う。自分の中に『落とし込む』ことをしないと、中途半端になってしまうのだ。

それを知ってから私は振り切った。他人の評価なんて気にして窮屈になるより、自分が納得する道を選ぶ。その方がよっぽどスムーズに事が運ぶ。

考え方を変えてから、良い傾向があらわれてきた。まず、人に対して寛容になれた。誰かの評価を気にしていた頃は、自分以外全てが敵だった。誰かが良しとされれば憎いし、どうしても潰してやりたかった。愚かな自分は、己の基準を作ることをせず、誰かのレールに勝手にのった。

自らのベストを尽くせばいい。自分が納得できればいいと考えたとき、人のやり方が気にならなくなった。むしろ、他から吸収することを覚えた。誰かよりではなく、昨日の自分と比べられるようになった。これだけで、随分生きやすくなったのだ。

野球のことはよくわからないが、選手にも同等のことがいえるのではないだろうか。やれ150㎞/hだしたとか、やれ〇奪三振とったとか、何打席連続本塁打だとか。凄い選手はたくさんいる。しかし、その人は自分ではない。同じ土俵に上がったところで、現実は変えられない。ライバルを持つことは結構だが、それで気が滅入るくらいなら比較しなくていい。それより、自分が納得できるかどうか。

誰かに褒められようと思わなくなったとき、自分が解放されたようだった。身も心も軽くなった。自らを縛り付けていた犯人は私だった。

評価されようと思えば思うほど、自分の『本心』が見えなくなる。自分の『色』が出せなくなる。オリジナルを生み出すには、己が納得できるか否か。私はこれから先も、そんな作品を残していきたい。

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人生の大半を『人に褒められたい』という思いだけで過ごしてきました。多感な年代でもある十代は特に、人の評価こそ私の全てでした。自己肯定感が低いことも相まって、自分には何の強みもなく価値もないと思ってばかりでした。枕を濡らす日も多く、本当に生きづらい毎日を過ごしていました。

もちろん今だって、全てが解消されたわけではありません。時に誰かの人生と比べ、何てどうしようもない毎日を過ごしているのだろうと悩み苦しむこともあります。しかし、自分にしか自分のことは変えられません。悩んだって泣いたって、自らやり切るしかないのです。

人の評価を気にしているうちは、自分の思うような結果は残せません。いつも誰かの顔色を伺うことで、本来の力が発揮できないからです。どうしたら良いと思われるだろうという気持ちが先に立ち、自らの世界観を潰します。

もう少し早く理解していればと思うことばかりですが、これも人生です。いつだって今が一番若いので、一生懸命向き合いましょう。心の中で自分と対話を繰り返し、納得できる毎日を過ごすために。