📸「写真欲しい人DM下さい」という台詞を考える。

写真について、時々問い合わせをいただくきます。とてもありがたい話です。とんでもない無礼な内容でない限り、真摯に対応するよう心掛けています。人としての基本でしょう。

顔が見えないSNS上だからこそ、細心の注意を払います。対面であれば相手の表情がわかりますが、バーチャルの世界でそれは難しいです。だからこそ言葉の選択、伝え方は重要です。

無用なトラブルに巻き込まれないために、自ら写真の配布を直接呼びかけることはしません。私にとって精一杯の自衛です。積極的に声をかけることは悪いことではありませんが、危険が伴うことを忘れてはいけません。

時々、こんな文言を見かけます。いわんとすることは理解できますが、どうしても引っかかります。

写真欲しい人DMください。

いや、わかる。そうとしかいえないし、一番直球でわかりやすい。しかし私は思うのです。

凄い自信だなぁ、おい。

私の率直な感想です。

言葉のあやであることは重々承知です。ただ、私だったら『写真についてはお問い合わせください』に留めますし、実際そのようにしています。結局のところ、写真欲しい人DM下さいと同義ともとれますが、言葉を使い分けるだけで印象が変わりませんか。

相手と気持ちよくやり取りができるように、一層丁寧な言葉遣いを心掛けたい。礼儀に上下関係はない。

先日のnoteに書いた内容です。写真欲しい人という言い回しに、どこか押し付けを感じませんか。撮ってやっているというおごりが見えませんか。違和感を覚える理由は、表現の違いにありました。

直球で分かりやすいという利点もありますが、やはり『撮ってやってんだから欲しいだろ』なんて気持ちが見え隠れしてしまいます。選手との接点をもつことを目的にしている人も中にはいるでしょう。それに対して良し悪しは言及しません。ただ、本当に求められているのであれば、募集をかけなくとも連絡が来ます。選手への敬意があれば、そのような台詞は出てきません。

問題はそれだけではありません。

写真を送付する意思を前面に押し出すことで、選手側も『撮ってもらって当たり前』『もらえて当然』という意識をもちます。そうなると、お互いを思いやる気持ちが欠如します。当たり前が重なることで、感謝の言葉もなくなってきます。一度そのような関係性になってしまうと、なかなか改善しません。こちらだって労力をかけているのにという撮影側の不満が募ると、撮り手と被写体の溝は深まっていくばかりです。だから、私は積極的に声をかけません。

撮ってもらえて当たり前という考えが浸透すると、先日のnoteに書いた『失礼DM』を生み出すきっかけにもなります。撮ってるのだからもらえるに決まっている。本来、フェアな関係であるにもかかわらず、どちらかが有利にはたらいてしまいます。たかだが表現一つでと思うけれど、実際そうなのです。

｢写真欲しい人DM下さい｣という台詞の危険性。
①　撮ってやっているというおごりが芽生える(撮り手)。
②　撮ってもらえて当たり前という意識を植え付ける(選手)。
③　フェアな関係を築けない(どちらかが弱者になる)。
④　不満が募り信頼関係構築が不可能になる。

選手とファン。選手と撮り手が良い関係性を築くためには、お互いを尊重する気持ちが欠かせません。言葉を言い換えるだけで、円滑なやり取りができるはずです。

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自分の撮った写真を選手が使ってくれると、とても嬉しい気持ちになりますよね。その思いは物凄く理解できます。撮影のモチベーションにもつながりますし、より良い作品を残したいと向上心を生みます。

ただ、過激化すると悪循環に陥ります。自分以外の人が撮った写真を使われると、酷い嫉妬心を抱いてしまう。しまいには、憎悪の気持ちでいっぱいになり、撮影さえ嫌になってしまう。それはとても悲しいことだと思います。

撮った写真を誰かに届けたい。素晴らしい思いですが、それを人に押し付けてしまうと写真撮影も義務になってしまいます。下手な使命感をもてば、関係のない周囲さえ敵や競争相手と認識します。前向きになれたらいいですが、大抵良い効果をもたらすことはありません。自分を苦しめるだけです。

写真欲しい人DM下さいと募るのは、悪いことではありません。しかし、裏を返せば『撮ってやったんだから欲しいだろ』という態度を示しているようにも捉えられます。自信を持つことは良いことですが、過信してしまうと逆効果です。

写真を撮らせていただいていると、必要以上にへりくだる必要はありません。ただ、撮り続けているとどうしても『撮ってやっている』という気持ちが芽生えることがあります。そのときは、自分をストップさせます。危ないですから。

本文でも書きましたが、写真を安易に配布することで、選手に『もらえて当然』という意識を植え付けることにもなります。交通費、入場料、機材のお金、メンテナンス費。挙げただけでも結構かかりますよね。写真に需要が生まれると嬉しい気持ちになりますが、度を超えるとお互いを思いやる気持ちが欠如します。不満がたまっていくと、楽しいはずの撮影が辛いものになります。自分を守ることが最も大切です。

言葉のあや。実態は同じである。そうかもしれません。しかし言い方一つ変えるだけで、印象が変わることはたくさんあります。防げることもたくさんあります。おかしなトラブルに巻き込まれないために、自分を守るために。言葉一つで、何事も変わります。