📒誤審

結局、私なんかの知識じゃ想像するだけが精一杯。
『わからない』で終わるけれど、考えてみることは大事だと思う。

誤審。

また、世間を賑わせている。

私は選手でもなく、当然ながら審判も未経験。いわゆる無関係の第三者。
良いとか、悪いとか、口出しできる立場ではない。

でも、想像してしまうのである。

つるし上げられた審判の末路を。
誤審が起こったときの選手の怒りを。
失敗したときの恐ろしさを。

様々な見方がある。
色々な立場がある。

一概に『正解』だとか『誤り』だとか、ジャッジはできない。
それは私が当事者じゃないから。

ただ、一つ感じることがある。

誤りに対して叩かれ、非難され、追い詰められることがさも当然という考え方への違和感だ。

選手が一生を棒に振った。
誤審で人生が変わってしまう。
頑張ってきた時間が無駄になった。

当事者がそう思えば、そうなのだろう。しかし、それは選手本人に聞かなければわからない。その真相も確かめず、第三者は痛烈に審判を叩き続ける。

もちろん、ジャッジ一つで試合の行方が変わる可能性を秘めているのは否定しない。しかし、それが『絶対』とも言い切れないだろう。それでも炎上は止まらない。

私が恐ろしいと考える理由は、ヒューマンエラーに対してあまりに厳しすぎるという点だ。私は安易に審判を批判なんてできないし、まして選手のプレーについてもなにもいえない(選手のプレーについて誹謗中傷をする人間もいるので)。

たとえば仕事でミスをした場合、原因を明らかにし、組織として『再発防止策』を立てる。誤審も同様に考えられないだろうか。二度と同じようなことが起きないよう、防止策の提示と改善を求めるのであれば理解はできる。誤審をした当人を批判した先に、なにが生まれるのだろうか。

私は仕事でミスをしたことがある。謝罪はもちろん、二度と同じことを繰り返さないよう自分で、組織で、対策を講じた。人間である以上、ミスは必ず起こす。自分がやりたくなくたってやってしまう。

そのときに過剰な叱責、つるし上げ、たくさんの人に批判されたらどうなってしまうだろうか。いや、どうなってしまうだろうではなく、なにも解決に至らない。

誤審を許せとか、誤審をしたって審判は悪くないといっているわけではない。単純な『善悪』の問題ではないと考えるのだ。そこには様々な要素が複雑に絡み合っている。チーム、選手、保護者、ファンの様々な感情が交錯している。だから問題の本質がずれてしまうのだ。

批判の先になにを求めているのか。

・審判の精度を高めてほしい
・試合を最初からやり直してほしい
・審判が世間(選手)に謝罪してほしい

どれだ、どれなんだ。

精度を高めてほしいと望むのなら、それはチームや関係者が行うことだ。試合を最初からやり直してほしい。それは審判のジャッジが絶対なので、現時点で難しいことだ。審判が世間に謝罪してほしい。誰に向けてだ。選手であれば、監督やチームが求めるのだろう。わからないけれど。

こんな流れであれば、審判は減っていくだろう。選手に対して『可哀想』と世間がいうならば、前に進みたくとも、本当に可哀想な選手になってしまうだろう。

そして、最後に。

自分が叩かれる側になったとき、どんなふうに感じるのだろう。間違ったのだから叩かれて仕方ない。たくさんの人に晒されて、非難されてもしょうがない。そう考えられるのだろうか。

叩かれて当然って、こういうことである。

あなたは絶対にミスをしないのか。

このような世間を恐ろしいと感じている今日このごろ。決して他人のミスに寛容になれということではない。世の中には失敗が許されない仕事だってある。それでもミス(ヒューマンエラー)はなくならない。そのことを伝えたい。この意味がわかれば、安易に人のミスを批判できるはずがない。

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いうのは簡単。SNSをやっていてよく思う。
人はミスという格好の餌食をみつけると、すぐさま批判をする。もちろん意見と批判を切り分ける必要はある。全てを『批判』と片付けるのもまた恐ろしい考え方だからだ。

とはいえ、ミスを執拗に責め『改善』の機会もあたえないような物言いは決して良いものとはいえない。甘く見ろ、許せ、寛容になれといっているわけではない。

責めるのは簡単だ。日ごろのうっ憤がたまっていれば尚更だ。言葉は刃であることを書き始めると人は忘れてしまう。自分に置き換えたらどうなのだろうという、客観的視点すらおいてけぼりになる。

誤審一つで世の中の縮図をみたようだった。正直にいって怖かった。どうしたら良いのか、どうしたら選手のため審判のためになるのか、情けないことにすぐに答えは浮かばない。

きっとこれから先も、同じようなことは起こるだろう。そのたびに思うのだ、あなたは決してミスをしないのかって。まぁ、それだけ人生をかけている証拠といえば綺麗かもしれない。しかし、一度自分の胸に手を当てて考えてみるのは大事だと思う。失敗しない完璧な人間なのかって。