👤ただ味方でいる、ということ。

人に何かを伝えるとき、自分の経験を語っても意味がない。なぜなら、私の人生は『その人の人生』ではないから。

ということを、今になって気が付いた。遅すぎるくらいだと、自分では思う。

誰か。そう特に大切な人が困ったとき、ついつい自分の経験を語らいたくなる。助けたいと思う気持ちが先行するから、どうにか状況が良くなってほしいと願うから。自分の尺度でしかものを図れない私が、どうにか役に立ちたいと思うから。しかし、そんなものいらないのだ。

自分の体験を話すことを、全否定するわけではない。ただ私はそんなとき、相手に寄り添い、肯定し、見守りたいと思う。

そう、味方でいるということ。

その人になりかわって走ることはできないが、並走することはできる。上手い言葉がみつからなければ、無理に話さなくていい。味方でいれば。それでも何か伝えたいとなれば、肯定すること。

それでいいんだよ。

その一言だけで。

どうにかしたいという思いは、時に身勝手な考えにつながる。説教の一つしたくなるし、自分の考えを押し付けてしまったりもする。もちろん、自分の意見をいうべき瞬間もある。そうだとしても、味方でいるということを徹していたい。静かに、そして優しく。

何かつまずいたとき、人は自信を失う。戻れもしない過去について、悔やみ続ける。自分との葛藤、自分との闘い。負の連鎖が始まる。

動き出すのはあとだっていい。寄り添うだけで。負を受け入れて、苦しみを半分にできるのなら。

相手の言葉を全て飲み込む。何も言わない。ただ、味方でいるということ。

叱ったって責めたって、どうにかなるわけではない。動き出すのは本人だから。誰かが突っ走ったところで、何も変えられない。

自分しか、自分を変えることはできない。

その様を、そっと見守る。それが周囲のできること。警笛を鳴らすのは、命の危機にさらされたときだけ。

もっと早く知りたかったと思う。言わなくていいことを伝え、幾度となく苦しんだ。相手に伝わっているのか、自分の思いを伝えたいという気持ちが先行するから。自分を基準に物を考えていたから。相手への思いやり、配慮など全く欠けていたから。

あなたのペースでいい。

自信がなくなって弱ったとき、追撃してくる人から離れていい。自信を喪失させようとする人間は、あなたを支配したいか、つぶそうとしているかのどちらかしかいないから。

たとえ言葉で伝えられなくとも、味方でいようという気持ちは強くもっていたい。あなたは一人ではないと、ただそれだけを思って。