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【調査】東京オリパラ中止時の経済損失って、当初見込んだ経済効果からみたらどんなもんなの?〜調査の過程編〜

前回、東京オリパラ中止時の経済損失って、どんなもんかわからんと思って調査した結果を記事にしました。

前回記事はこちら

今回は調査した過程を記事にしていきます。

調査の進め方

今回は仮説思考の要領で進めました。

仮説思考とは、わからないことに対して仮説を立て、その仮説が正しいかを調査し、調査ででた疑問点に対して再度仮説を立てて・・・を繰り返す進め方です。

最初の仮説と調査

◼️最初の仮説

最初に立てた仮説は以下です。

・そもそも設備投資とかを2019年までに進めてるんだから、ある程度経済効果は得られているのでは?

大小は、基準との比較によってしか判断できません。基準がないと「なんとなく大きい気がする」となってしまい、定量的な議論になりません。

この時は、とりあえず既に得られた経済効果を基準にしようと考えました。

◼️調査

調べると、第一生命経済研究所の文献が見つかりました。

記載によると、過去の大会のトレンドを考えると、経済効果の恩恵を一番受けるのは大会前年、つまり2019年であり、2017〜2019年で既に13.8兆円の効果を得られているそうです。

◼️疑問

疑問は以下です。

・既に得られている経済効果が結構大きいってことは、実は、当初見込んだ経済効果の大半は得られているのでは?

2番目の仮説と調査

◼️仮説

2番目の仮説は以下です。

・当初オリパラ実行委員会が見込んだ経済効果の大半は得られているのでは?

◼️調査

東京オリパラ実行委員会が文献を公表していました。

2013年から2030年までを、「大会前と大会期間中」、「大会後」に分けて経済効果を試算しています。

全国トータルの経済効果と、各期間での経済効果は以下と試算されています。

・トータル:32兆円

・「大会前と大会期間中」:20.9兆円
直接的効果:5.2兆円
レガシー効果:15.7兆円

・「大会後」:11.3兆円
全てレガシー効果

三菱総研によると、レガシー効果とは、オリンピック開催を契機として社会に生み出される持続的な効果です。IOCが定義してるらしいです。

中止によっても得られる効果が「大会前と大会期間中」のレガシー効果とすると、損失は32兆円のうち11.3兆円+5.2兆円=16.5兆円となり、見込んだ経済効果の半分は得られていそうです。

◼️疑問

本当に16.5兆円が経済損失になるのか?

3番目の仮説と調査

◼️仮説

3番目の仮説は以下です。

・経済損失は16.5兆円より小さく、既に得られた経済効果が当初見込みに占める経済効果は2番目の調査結果より大きい

大会後のレガシー効果や大会前の直接的効果が全部損失として換算されるとも思えないです。内訳を見て、どの効果が消えたのかを把握する必要があります。

◼️調査

引き続きオリパラ実行委員会の資料から内訳を見て、既に得られた経済効果について試算していきます。

内訳の資料と試算については、以下図をご覧にください。

ブログ-57

ブログ-58

相変わらず、汚い字で申し訳ありません。

ここでは、細かい計算の説明は割愛しますが、トータルで15.9兆円の経済効果は得られそうと試算できました。損失で見たら16.4兆円。

仮説2の結論とそんなに変わらない数値でした。

◼️疑問

そもそも、色んな経済損失の試算結果が世間には出回ってそうだけど、大体いくらくらいなん?今回の試算は妥当なの?

4番目の仮説と調査

◼️仮説

仮説は以下。

・世間に出回ってる経済損失の数値は、大体16兆円くらい。

◼️調査

こちらのサイトに、ある程度まとまった数値の記載がありました。

オリパラ委員会:29兆7107億円
みずほフィナンシャルグループ:7兆6013億円
SMBC日興証券:7兆8000億円
関西大学 宮本勝浩名誉教授:4兆5151億円

オリパラ実行委員会の数値だけ突出して大きいです。当初委員会自身で見込んだ経済効果が32兆円に対し、29兆円の損失は、開催決定から2019年までに6年が経過していることを考えると、流石にもう少し小さいかなと思いました。

というわけで、今回は経済損失最大ケースとしてベースさんのケースを、最小ケースとして宮本教授のケースを採用しました。

これらを使って、当初の経済効果の見込みに対する、既に得られた経済効果の割合を計算すると、大体、

50%〜85%

となります。

◼️疑問

宮本教授の試算の前提が、オリパラ実行委員会の試算の前提と一致しているのか?

さらに調査を進めるべきか考えましたが、個人的には大体の感覚が掴めてある程度満足したので、一旦ここで調査を終えました。

調査の進め方でベースさん的に大事だった点

・仮説を立てて、その仮説が正しいかを評価するために調査するというサイクルができました。

仮説を作ると言うことは、調査1つ1つに目的を作るということです。何事でもそうですが、目的なく作業を進めると、時間だけがすぎてしまいます。

・仮説を立てられるようにするため、大小を考えるときに、基準となる数を作りに行ったのはよかったかなと思います。

基準を作らないと、損失額の大小の仮説の立てようがないです。数に意味を持たせるよう考えられたのはよかったかなと思いました。

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