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第3章 缶切り①

今はプルタブの缶詰が増え
缶切りの使い方を
知らない人も増えてきた

てこの原理を使い
力加減を均一に
缶の縁を一周
同じ作業を繰り返す
3歩進んで2歩下がるような
そんなリズムで缶は開く

Part1『身の程知らず』

2007年時代は郵政民営化
そしてデフレ真っ只中
人々はビリー隊長の激励に
汗を流すドM時代

私は某大手フランチャイズ
小売本部に入社した

独立した事業主を相手に
齢22歳のボンクラが
手八丁口八丁で助言する

人間性が問われる職場だ

就職氷河期を六大新卒という
資格だけで10倍倍率を勝ち抜いた
これっぽっちの鼻くそ成功体験に
私はすがった
人間性の欠片もない
身の程知らず真っ只中のまま
現場の配属が決まった

3月の定期入社後すぐ
埼玉県上尾市で研修(下積み)開始

10月には山形辞令を受け取り
縁も縁もない雪国で
副店長の現場研修

一年の経験を経て
宮城県利府市でまた副店長

極め付けに山形県鶴岡市で店長と
三年の現場経験をもとに
加盟事業主へ
カウンセリングを実施する

GW、盆暮正月、クリスマス
世の中が色めき立つ時こそ繁忙期
世間と逆流する生活が続いた
10連休ともなれば休みを謳歌する
学生時代の知人たち
隣の芝は青く見えた

被害者意識と達成感を繰り返し
5回の春夏秋冬が過ぎた

缶切りは進んでいるのか
いや、空回りしているのか
それすら気づけず
時が過ぎているようだった

これがどれほどかけがえない時間か
気づけるのは現場でより苦労する
局面を迎えてからである

■使い道
初心忘るるべからず


大概缶切りの切り始めは力が入るもの
そして慣れるまでは丁寧に
再現性高く手を動かす
最初の切り方は後々の蓋の開け口に
影響してくることに最初は
誰も気づきゃしない

ガムシャラでも1日1日を
大事に振り返るのさ
無駄な時間にするか否かは
きちんと振り返った自分が
恥ずかしくならねぇよう
テメェ次第だ

■次回
缶切り②『缶の開け口は意外に鋭い』

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