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表情だけでなく、背後の背格好からも登場人物の気持ちを表現されている、亜耶さんの作品を鑑賞しました。

作者:亜耶

この作品はラーメン屋さんの屋台の提灯がとても印象的に感じました。夜の暗がりと提灯の柔らかな明かりの対比する境目が横に長い直線を何本も引いたように見え、その表現により、あたたかな、幻想的な雰囲気に仕上がっています。私は、この夜の暗がりと提灯の明かりの対比する境目に描かれている横に長い直線は「ラーメン」と書かれた赤い提灯の蛇の目の折り目、筋が明りに投影されているのではないかと感じました。
「ラーメン」と書かれた提灯の色遣いにも細かな描写がされています。
赤い提灯の中に入っている電球のある箇所が立体的にボォっと光っています。同じ赤色でも赤の種類を細かく変え、黄色などの色も加えることにより、よりリアルに立体的な物の構造を表現しています。とても手が込んでいます。
また、屋台のテーブルや座席の木の色を濃い茶色一色でベタっと塗るのではなく、茶色の色合いを微妙に変えて温かみのある木特有の木目を出しているところにとても驚きました。

この作品は女の子が赤い襟巻きを犬につけているシーンですが女の子の背中からどこか寂しそうな雰囲気が伝わってきます。若干、眉毛や目などの顔の表情も見えていますが、背後の姿からこの女の子の気持ちを想像することが出来るこの作品はすごいなと感じました。
道端にひらりと落ちている、落ち葉の存在感をとても感じます。一見、脇役のような、季節を表すために添えた、風景の一部とも見て取れますが、この葉っぱが、あるのとないのでは絵の雰囲気が全く変わってくるだけでなく、女の子の表情や背格好の雰囲気までにも影響を及ぼすのではないかと感じました。この落ち葉と石垣の先にある道路にうっすらと映った影がこの女の子の寂しそうな表情をさらに引き立て、どこか詩的な雰囲気さえも醸し出しています。

この作品は背景の色が虹色で、女の子の嬉しそうな気持ちがこちらにも伝わってきます。背景に様々な色を使っていますが、淡い色を使い赤系統の色でも薄いピンクを用いているため、主役の赤い襟巻きの鮮やかな色合いを引き立てていて、まったく邪魔をしていません。後ろにいる犬の表情も可愛らしいです。

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