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私のお店の名前の由来

はじめましての方ははじめまして。私、東京は神楽坂にてBar Tarrow'sという酒場をやっている者です。
コロナウイルス災禍の影響で現在休業中となり、空いた時間を使って自分の軌跡や常々頭にあった事を少しずつこのnoteにて書かせていただいております。
宜しければ過去の記事も是非よろしくお願いいたします。(Bar Tarrow'sマガジンVol1

さて表題の通り。私のお店の業態はいわゆるバーです。バーといっても色々なタイプがありますが、世間的に分類すると「オーセンティックバー」というジャンルになるかと思います。(この辺のバーの区分けもそのうち。思うところが色々ありまして。)

私は大学を卒業した後、銀座で2軒、神楽坂で1軒、白金台で1軒と勤め先を変え、現在神楽坂にて自身のお店であるBar Tarrow's(バー タロウズ)を2018年に開業いたしました。なんとなくバーテンダー暦20年を独立のめどとして若い頃から意識していたので、40歳での独立は丁度良かったかも知れません。
独立の際に、どの街でやるのか?どんなテナントを探すのか?から始まり、色々と決めていくのですが一番の悩み(最初から決めている人も多いかもしれませんが)が

「お店の名前何にしようか?」

だと思うのです。今回はその「自分のお店の名前」のお話です。

修行先のお店の名前の由来

はい。前回のnoteで書かせていただいたかつての私の修行先

バー アールスコート Bar Earls Court」(現在は閉店)。これがバーテンダーとしての最初の就職先でした。次の職場は「Bar  TONE バーとね」です。ここにも2年ほどいました。街が変わって神楽坂へ「Bar 五感」(現在は閉店)。最後の修行先が白金台「Bar MARYMOON バーマリームーン」です。どれも個性的な名前でそれぞれの由来が気になるかと思います。覚えている限りで軽くご説明をば。

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バー アールスコートの場合

名前の由来はイギリスの地名から。詳しくはWikiを。マスターは若い頃にロック好きが高じてイギリスへ留学し、由来であるアールズコート地区にすんでいたと言っていました。由来通り、オーセンティックバーでしたが、60年代~80年代のレコードが沢山あり、ロックがBGMの日もありましたね。ご来店のお客様には当時のレコード業界の方も多かったと思います。

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バー トネの場合

2軒目はかつて銀座6丁目の並木通りと交詢社通りの交差点角のビルにあった「バー トネ Bar TONE」です。現在は銀座8丁目に移転されています。こちらのお店の由来はマスターのお名前から。
利根川さんというマスターなのですが、お客様からも「トネ」「トネさん」「とねちゃん」などと呼ばれていました。利根川マスターいわく「英語でとね(TONE)だとトーンとも読めるだろ?かけてるんだ。」と言っていた気も。10年以上銀座の名店でチーフをしていたという事もあって常連様の年齢層も高く、愛称で呼ばれる事が多い人でしたので店の名前も、という事でしょうか。

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バー五感の場合

お次は神楽坂にあった(現在閉店)「Bar 五感」です。名前の由来は人間の持つ五感を満たしていきたいとの思いから、とオーナーが言っていました。このバーは店長として初めてオープニングから立ち会った勤め先として、また私のバーテンダー人生最良のパートナーK氏とのタッグを組み始めた最初のお店として印象深いです。
現在も五感時代のお客様がタロウズに来てくださっています。ありがたい事です。

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バー マリームーンの場合

神楽坂のバー五感退職後、あるお客様のご紹介で「白金台に友人が戸建てのカフェ&バーを建てた。バーテンダーを紹介してくれといわれたんだけどどう?」と言われて店長として8年間お世話になったお店です。
名前の由来は「聖母マリアの月」だそうで。よくよく聞くとオーナーの奥様のお名前がマリアさんだったり。このバーは地下1階、地上2階建ての建物全体がバーというとんでもなくラグジュアリーな造りとなっています。
是非一度行って見てください。都内1,2を誇る空間を持つ個人所有のバーかと思います。私はオープニングから8年間店長を勤めさせてもらいました。


と、ざっとですがかつての勤め先の名前の由来です。オーナー様達の思いや、こだわりはもっと深くあるかと思います。そうですよね、自分の城、お店ですから。名前は大事だと思います。

ぷろふ

Bar Tarrow'sの場合 

もうお気づきの方もいるかもしれませんが、私の名前は「太郎」です。
自分のお店の名前、この世界に入ってからずっと色々考えていました。
仏語や英語、ラテン語などでカッコいい名前ですとか、趣のある名前をと、ノートにせっせと書き込んだりしたものです。

私は普通の酒場がやりたかった。今まで見てきた酒場、勤めた酒場、関わってきた酒場の住人、そしてお客様達、すべての経験をふまえた上で、普通のバーをやりたかったのです。
普通に美味い酒が出てきて、上質な空間の中で、耳障りの良い音楽を流し、ちょっとした美味いつまみが出てきて、クスッと笑える話ができる酒場を。

さ、いざ自分のお店を出そう!ここを借りて、内装はこうしてああで。あ、あれも買い揃えないと!なんてやり始めた頃にあせり始めました。
自分のやりたい酒場を表現する店名がまるで決まらない」のでした。
イメージを一言で表す名前ってなんだろうなと考えていましたが、なかなか決まらなかった。あせりましたねえぇ(笑)
でも、あるお客様からの一言で決めました。


どうせかっこいい名前付けたって、すぐに太郎さんとこ、太郎ちゃんのところ、ってよばれるようになるよw

と言われたのが決定打でした。名前も普通ですし(今は珍しいほうかもしれませんがw)、目指しているものも自分らしく普通の酒場をと思っていました。ただ、そのままアルファベットで「TARO'S」はなんだかなあと思っていたらまたもやお客様の一声が。

Tarrowってスペルの名前は海外に結構いらっしゃるよ?

「ギリシャ神話に春を司る女神でタローって神様いるね」

なんとまぁ。。。名前決定です「Bar Tarrow's」

当店の創業記念日は4月5日。春爛漫の中開店をいたしました。春の女神の名前で自分の名前で、海外の人にも読める名前。そしてどんなに考えたところで最後は「太郎さん(ちゃん)のところ」になるであろうと。期待もこめてのバータロウズ命名となりました。
※どうでもいいと言えばいいのですが、神楽坂界隈では「バータロウズ」なのか「タロウズバー」なのか?という話があるとかないとかwおまかせしますw

思いをこめて

このお店は私がバーテンダーという生き方を意識し、めざし、なろうと思ってやってきたこの22年分の思いを込めています。名付けのきっかけはほんのささいな会話からでしたし、自分の名前を少しもじっているだけの安直なネーミングではありますw
自覚もありますし、お客様にも「私、名前が太郎なので」とさっと説明してしまいます。こんなに由来について語ったのは初めてですが、もっと早く書いておくべきでした。
コロナ災禍の渦中、休業を余儀なくされている当店ですが、誰もいない酒場は寂しいです。自分の酒場に自分が立てないのは悔しいです。
なんで?くそ。ちくしょう。色々思います。慣れてはダメです、やはり居場所はカウンターの中ですから。


春を司る女神「タロー」植物の開花・芽生えの象徴だそうです。

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3周年目のBar Tarrow'sの開花はまだ先となりそうですが、この世情を打破すべく色々な人たちが踏ん張り、食いしばり、日々を生きています。この先のコロナ災禍の終息への道標となるよう、皆様くれぐれも感染の予防とご自身ご家族へのご自愛を。

それではまたも拙い乱文で失礼いたしましたが、最後までのお付き合い、ありがとうございました。またよろしくお願い申し上げます。


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