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逆噴射小説大賞2022 ライナーノーツ

 祭りが……終わった! 今年も……終わる!
 ということで、みなさま、逆噴射小説大賞、お疲れさまでした。

 私も参加をしましてー、せっかくですので、ライナーノーツもやりたいのでやろうかなと。

 私は今回で2回目の参加となります。去年が初参加で、今年が2回目ですね。今年の事を語るには、去年のことを踏まえる必要があるので、長くなるかもしれませんが少々お付き合いください。


🌵逆噴射小説大賞2021🌵

 あれは1年前のこと……。初参加だった去年の逆噴射小説大賞2021。私は、上限である3作品を提出しました。

 そして、ありがたいことに、なんと3作品とも二次選考を突破し、さらには、最終選考、そして逆噴射聡一郎先生の特別コメンタリーまでいただくことができました!! しかも……2作品も!

 これは……初参加にしてはかなりの大健闘といってもいいのではないか……。俺は、嬉しくなって……その日は、真の漢の酒ほろよいを呑み……布団に入り……暖かくして……寝た……。
 気分よく眠りついたが、翌日、起きてから、改めてコメントを噛みしめると、どうやら、のんきに喜んでばかりもいられないと、思いなおした。なぜなら、致命的な弱点が浮き彫りになったからだ。



🐺致命的な弱点🐺

 それは何か。まず、ここにいただいた逆噴射聡一郎先生のコメントを引用させていただく。
 ちなみに、取り上げていただいた2作品は、『妖魔開闢 -蜘蛛と殺し屋/竜の魔眼-』と『レイダウン・ユアハンド -Lay Down Your Hand-』のふたつだ。

逆噴射聡一郎先生のコメント:この作者の作品は全体的にとても文章力が高く、どれも必ず一定以上の水準の読み物になっている。かなり幅広いタイプのジャンルにおいて文体やテンポのエミュレーションが可能な、極めて器用なガンスリンガーだろう。この筆力は、間違いなく強力な武器になる。いっぽうで、基礎の文章力が高いからこそ、設定やストーリーのオリジナリティの面で、やや物足りなさを感じられた。一言でいってしまうと「ありがち」なのだが、それらをちゃんと読める形にまとめているのは、まぎれもなく技量の高さゆえだ。あとは独自性の高いテーマやキャラが合わされば、大賞候補のレベルまで一気にいけるかもしれない。

 一見、それほどひどい事は言われていないように見える。というか、むしろ、文章力のほうはかなり褒めてもらっているようにも感じられる。俺も最初は、褒めに気をよくして、喜び、コメントを肴に酒を飲み……寝た。大人になると人から褒められることは滅多にないからだ(悲しいなぁ😢)。

 しかし、冷静になってみると、かなりゆゆ式問題を指摘されている。
 一つずつ、整理しよう。まず、いただいたコメントを要約すると、「文章力はいいけど、発想がありきたりでオリジナリティがない」ということになる。

「文章力はいいけど、発想がありきたりでオリジナリティがない」

 ……ふむ 

「文章力はいいけど、発想がありきたりでオリジナリティがない」

 ……これ、逆じゃね?
 となったのだ。

 わりとこういう公募系の審査員コメントで出てくるのって、「文章(画力)は粗削りだけど、非凡な発想/面白い設定をしている」とか、そういう感じのやつをよく見る気がするんですよね。

 そして、「文章力(画力)は練習すれば身につく」「だから、れんしゅうしろ、まいにちだ……」という感じにコンボがつながるの。

 文章力は練習すれば身につく。それってさぁ……裏を返せば、オリジナリティのある発想とか、設定は練習だと身につかない……ってコト!?

出典:ナガノ『ちいかわ』

 そういう視点で、再度逆噴射聡一郎先生のコメントを読み返してみて、私はあることに気づいてしまったんですよ。皆さんは気づきましたか?

 このコメント、作品については言及してない……言及してなくない?

 最終選考のコメンタリーは、それぞれの作品について噴射聡一郎先生がコメントを残すわけで、この作品のここがよかったとか、逆にここがダメだったとか、そういう感想的なものが書かれるわけですが、『妖魔開闢 -蜘蛛と殺し屋/竜の魔眼-』と『レイダウン・ユアハンド -Lay Down Your Hand-』については、内容についての具体的な言及がない……んですよ。

 つまり2作品まとめて、「一定以上の水準の読み物」以上に語るべきことがない……ってコト!? 😭ワァ…ァ…(泣いちゃった!)



✋逆噴射小説大賞2022に向けての目標✋

 まあ、しかし、もうやるべきことは明確というか、指針としてはこれ以上ないほど明らかなんですよね。そういう意味では大きすぎる弱点というのは、「道」に迷わないという点においてありがたいものなのかもしれないです。

 もう、2022の目標は、「オリジナリティを出す」「独自性の高い物語を描く」「『ありがち』からの脱却」。これしかない。

 だから、とにかく、「ありがちでない、オリジナリティのある、独自性の高い物語」これを描く、と決めたわけです。
 というわけで、やっとここから、今年の大賞の話になります。



🐈『死して屍拾う者無し -Witch of Funeral-』🐈

 おい!!!!!!!!!
 ありがちな物語を描かないんじゃないのかよ!!!!!!!!!

 👿👿👿👿👿

 あっ、待って石を投げないでやめて。
 いやほんと、言いたいことはわかります。石を投げないでやめて。

 違うんですよ。これは、そう、オリジナリティについて考えて……独自性とは、イルカとは、人生とは……って悩んでいたら、こう、自分の好きなことが見えてきまして。

 どうやら私は、こういう「ありがちな物語」がめちゃくちゃ好きなんだってことらしいんですよね。

 思い返せば去年も「ま、こういう公募系の賞に出すなら、自分の好きなことばっかり書くんじゃなくて、少しはマス向けにわかりやすくした作風にしないと、な……」みたいな『調整』は一切行っていないんですよね。

 純粋に、自分の好み、自分が読みたい作品≒書きたい作風でパッションの赴くまま書いたら……ありがちなのが3作品出てきたわけで。

 私が好きな作品っていうのは、よく言えば王道、悪く言えばありきたり。クールで格好いい主人公が、おっぱいの大きなベイブと出会い……襲い掛かる数多の危機を切り抜け、仲間と協力し、強大な敵を討ち果たし……爆発する建物を背景に、ベイブとKISSをしてエンドロールが流れる……。

 いろいろあったけど、最後にはハッピーエンド。そういう物語が大好きなんですよね。

出典:カタテマ『魔王物語物語』

 まあそれも当然といえば当然というか。私みたいにそういう物語が好きな人がたくさんいるからこそ、たくさん作られて、「ありがち」になってしまったという、そういう話なわけなので。需要と供給やね。

 この手の創作者の悩みって、大体「俺はこんなもの書きたくないのに……大衆向けにウケる話を書かされてしまう……」って感じの印象(※漫画家マンガとかに出てくるから)だったので、まさか逆に「こんなものを書きたいのに……!」って悩むことになろうとは。

 とにかく、まあ、昨年より1発減ったとはいえ、今年は1人2作品まで出すことができるので、そうしたら、まず、1発目は、むつかしいことは考えずに、自分の「好き」を100%込めた、まっすぐいって右ストレートで王道ありがちな物語にしてもいいんじゃないかな、と。そういう戦略でいくことに決めたわけです。

 なので、読んでもらえれば、100%伝わるような構成になっているし、読んでいただいた皆さんにはその後の展開の予想がなんとなくついたかなと思いますし、そして大方その予想が裏切られることは……ない!

 とはいえ、ただただ王道なだけじゃなく、一点挑戦的なこともやってたりしています。それが、エピグラフですね。(作品の最初に、別作品の引用をやったりするやつ)

 私このエピグラフがクッッッソ大好きで、森博嗣作品とか上遠野浩平作品のエピグラフとか見ると死ぬほど痺れるような体質になっちゃってるんですよね。なんかこう……技術書からの引用とか、洋楽のワンフレーズだとか、そういうのが冒頭にぽんと置いてあるの、めちゃくちゃ格好よくないですか?

 だから入れたいなーと常日頃思っているわけですが、2点ほど問題があるので、昨年の大会ではできませんでした。

 1点目が、文字数。
 いうまでもなく800字しか使えない作品で、その文字数を削るという行為はかなりきついですね。しかも、エピグラフは物語に直接関係がないのに、結構な文字数を使わなくてはならないので、だったら、その分の文字数をほかの描写に回したほうが絶対にいいですからね。

 2点目が、エピグラフは一種の冒頭ポエムであるということ。
 『逆噴射ワークショップ』内でも冒頭ポエムは、かなり危険な行為として注意されていたし、よっぽどのことがないかぎり、使い手の命を削る諸刃の剣だとまで言われています。なので、たぶん、エピグラフも、相当うまくやらない限りは、マイナス要素になってしまうんだろうなぁ、という予感はします。

 適切に使うのは難しい手法。
 だからこそ、そうであるがゆえに「チャレンジ」としてエピグラフに挑戦した……

 ……というわけではないんですね。(は?)

 今回は出エジプト記から引用をしたんですが、前々からずっと「魔女狩りの話を書いたときにこのフレーズを引用してぇ~~~!!!」と常日頃考えていたんですよ。先も言った通り、私はエピグラフ大好き人間ですので。(日常生活でなんか格好いいフレーズを目にしたときは、それをエピグラフにできないか考えるくらい大好き)

 だからただ単に自分が好きなものを盛り込んだだけというか……。まあ1発目は自分が好きなものてんこ盛りでいこうと方針を決めたからよしとしましょう。ヨシ!

 タイトルは時代劇『大江戸捜査網』のフレーズより。
 これも前々から「いつかネクロマンサーものを書いたときに、これをタイトルにしてぇ~~~!!!」と常日頃考えていた結果になります。



🌲『ユグドライズ -YGGDLYZE-』🌲

 と、いう感じで、好き勝手に1発目を撃ったので、2発目はちゃんと課題に向き合わなければならなく、オリジナリティを出さねば、という事態になりました。

 いろいろ(本当にいろいろ)考えまして、「人類滅亡後、ファンタジーに出てくるドリアードみたいな新人類が生活を送る、ポストアポカリプスSF」にすることにしました。前々からあたためていたアイデアではあったのですが、まあ、たぶん、前例もパッと出てこないし、独自性はありそう(もしかしたら私が知らないだけでそんな作品も存在するかもしれない)。

 こういう独自設定SFをやるにあたり、逆噴射小説大賞のフォーマットに合わせるために、「説明を一切しない」方式にすることにしました。
 いわゆる『BLAME!』メソッドですね。

 ガロンガロン回すドラマとアクション、紙面いっぱいに広がる超巨大建造物。魅力的な造語を説明せずにポンと置いていくことで、こちらの想像を掻き立てる、あの超名作SF漫画『BLAME!』の手法です。まだ読んでない人はただちに読んでください。命令です『BLAME!』を読むと言いなさい。

 もともとこの「説明をしない」手法を私が大好きというのもありますし、また、短い文字数でドラマをドライブさせていかないといけない逆噴射小説大賞のフォーマットにもかなり適しているんじゃないかなーというのもあります。

 なので作中では様々な設定が語られることは一切ありません。ぼんやりと「なんとなくこうかなー」と想像したかたもいらっしゃるかもしれませんので、一部設定メモを残しておこうかなと思います。

・舞台は人類が滅んだあと、ポストアポカリプス
・滅んだ理由はなんかこう……環境変動による植物の異常繁殖によって。植物災害が起きた理由は、新技術の暴走的なやつがいいと思う。人類は愚か

・主役は新人類。ファンタジーのドリアードみたいな見た目。植物人間(と表現すると意味合いが違ってきてしまう。不便)
・異常植物繁殖災害に適応した感じ→追い詰められた人類が、環境が激変した惑星でも生きられるように遺伝子とかを操作・改良した新人類
・光合成とかできる

自立伐採機械ハーベスタ……天敵。旧人類の遺産。異常繁殖する植物を、自動的に伐採するように設定されている。植物災害に対抗するための手段として発明された。新人類も植物判定になっているので、伐採対象。異常性の高い植物オブジェクトほど優先的に伐採する。なので、喋って動いて生活する新人類はかなり伐採優先度が高い。えぇ……(困惑)
・「Q.旧人類は、自分で作っておいた新人類に、自分で作った機械を襲わせるように設定していたの? 馬鹿なの?」→「A.植物災害の際に、植物との共存を目指す共存派と、植物の撲滅を目指す伐採派で分かれたってことにしよう。新人類は共存派の技術で、〈自立伐採機械ハーベスタ〉は撲滅派の技術。人類も一枚岩ではないのだ」
・〈自立伐採機械ハーベスタ〉は完全に自立しているので、自己修復機能とか、再生産の機能もある。だから旧人類絶滅後も植物を伐採し続けている。自己修復や再生産は、『工場』で行われる。世界各地に遺されている自立工場を、新人類たちは〈巣〉と表現している。
・エネルギー源は……?
・……た、太陽光発電! だから光合成をする新人類とも競合しているのだ!
・人類の滅んだ大地……〈自立伐採機械ハーベスタ〉たちが太陽の下を跋扈する。新人類たちは、機械に追いやられて太陽の光の届かないところで、ひっそりと暮らすことを余儀なくされる……お、なんかポストアポカリプスっぽくなってきたじゃ~ん😉

〈樹楷都市〉……新人類の集落。〈自立伐採機械ハーベスタ〉に襲われないよう、比較的異常性の低い植物が生い茂る深い森の奥にある。太陽光が届かないため、なにもしてないと、夜のように暗い。ヒカリゴケ的な植物とか、ホタル的な虫とかで光を確保している。火は大敵!
・コケとか虫とかで確保できる光量だと、生活を送ることはできるが、光合成できるほどではない。
・なので、光合成をするためには、危険を冒して〈樹楷都市〉の外へ出ていく必要がある。
・植物が発芽するには、「水」と「空気」と「適当な温度」。育つには「日光」「肥料」が必要だからね。
・植物に関する科学知識、小学生レベルで止まってない? そんなのでよく植物パンクを書こうと思ったな?
・エネルギー効率はいいので、1回の光合成で1~2か月くらいは生活できる
・「肥料」に該当する栄養素は、普通に旧人類と同じように食事をとる感じで

〈防人〉……主人公であるカムザの職業。光合成をするために新人類が〈樹楷都市〉を離れる際、それを〈自立伐採機械ハーベスタ〉などから護衛するための戦士。
・寄生植物を宿している。戦闘の際は、寄生している植物を変形させて戦う。
・予定していたのは、寄生植物が根を伸ばし、右腕に銃砲ブラスターのようなものを形作り、種子を弾丸として飛ばす、というようなアクションシーン。本当は本文でここまで入れたかったが、入らなかった。残念。

〈巫女〉……ヒロインであるエンジュの職業。【結実】を行う。
新人類の繁殖方法:大きく二つのシークエンスがある。【受粉】と【結実】
【受粉】……人間でいうところのセックスにあたる行為。そのまんまやね。新人類の男性と女性が性行為を行う。その結果、女性個体から〈宿り木の種〉が生成・排出される。
【結実】……人間でいうところの出産にあたる行為。生成された〈宿り木の種〉を新人類が飲み込む。樹化を行うことで、〈宿り木の種〉は仔実へと姿を変え、実を結び、収穫される。
樹化……新人類が樹木へと姿を変えること。根を張り枝を伸ばし葉を広げることで変態を行う。この樹木形態は、光合成をより効率よく行うためのもの。【結実】を行う際は、仔実の生成に大量のエネルギーが必要となるため、長時間樹化を継続する必要がある。時間はかかるが、元に戻ることもできる
仔実……新人類の赤ん坊
・キモとなるのは、【受粉】と【結実】は同一個体が行う必要がないこと
・慣習として、【受粉】と【結実】は基本的に同じ個体がやることが多い。しかし、前述のとおり【結実】には長時間の樹化が必要になるため、〈自立伐採機械ハーベスタ〉に襲われる危険が高い。(樹化中は移動ができないため、危険性は跳ね上がる。太陽光が当たる場所で、長時間移動ができないというのは、自殺行為に等しい)
・なので、身分が上の女性は、【受粉】は自分で行うが、【結実】は別の個体に任せる
・この際、【結実】のみを担当するのが〈巫女〉である
・つまり、この話は世界観を変えた『代理出産』をテーマにしているわけですね。あ、なんかSFっぽくなってきた気がする
・【結実】の成功率は低い。大半が〈自立伐採機械ハーベスタ〉に襲われて失敗する。なので、〈巫女〉と呼ばれているけれど実際のところは体のいい生贄に近い
・この辺の〈巫女〉の設定に「最悪要素」を対していけば、ヒロインとしてのかわいそう度が上がっていっていいかもしれない。かわいそうはかわいい
・最悪設定の例:上流階級の【結実】をスムーズに行うために洗脳教育されるとか。小さいころ〈巫女〉に選ばれたら、家族とも離れ離れにされて、外界とのかかわりを絶たれるとか。〈巫女〉であるために処女性が重視されて【受粉】が許されない≒自身の子孫を残せないとか。一度【結実】を行ったら『母親』が二人いるのは都合が悪いので、儀式の名目で殺処分されるとか

・〈花冠七家〉……樹楷都市を支配する貴族群。今回この七つの家のどこかが、エンジュへ【結実】を命じ、それにあたり、カムザへ護衛を依頼した。

 すっげーおおざっぱっではありますが、大体こんな感じの設定でした。
 ちなみに初稿の段階では、〈巫女〉の設定が違っていて、単に他社の【結実】を補佐する立場でした。(作中でカムザが維管束を伸ばすシーンがあったけど、あんな感じで母体に栄養を与える役割)
 つまり、代理出産ではなく、新人類の夫婦が普通に【結実】を行うっていう流れだったんですね。

 ただ、そうすると、主人公パーティが4人になるんですよ(カムザ、エンジュ、夫、妻)。800字の制限で4人の会話は書けない! 
 4人いるだけで、会話は2人だけにすればよくない? って思われる方もいるかもしれませんが、「4人いる」っていう状況が読者に開示されていると、会話文を書いた時に一々「これ誰が言ったんだ?」って疑問を抱かせる事になるんですよね。作者的には「いくら同じ場所にいるからといって2人の会話にいきなりインタラプトしてくるやつはおらんやろ常識的に考えて」って思っていても、読者は全然そんな事わからなくて。だから、混乱のないようにリーダビリティを上げていく必要があるんですが……。800字では無理!

 という訳で大幅改稿! 夫と妻を削除! 小説の登場人物は2人がベストや!

 それに伴って、〈巫女〉が子供を産む形に設定を大幅修正。結果としてはテーマ性とか悲劇な設定とかが盛れそうな感じになってなので、良かったんじゃないかなと思います。災禍転福やね。

 タイトルはかなり考えました。語呂がよく、格好良く、クールで、内容を反映しており、そして、あまり酔い過ぎない感じのタイトル。真剣にタイトルを考えろ、タイトルの重要性は『逆噴射ワークショップ』などでも繰り返し言われてましたからね。

 とにかく、この小説の独自性である『植物パンク』が分かるようなタイトルにしたかったんですね。「植物要素」+「SF要素」が一目でわかる感じの。
 そこで、ヒントになったのが、かの名作SFアニメ、『TEXHNOLYZE』ですね。

 「〜〜ライズ」っていう響きがなんかもう1発でSFっぽいってわかるし、これに植物要素を組み合わせれば無敵だろって感じで。

 組み合わせる要素としては、「ユグドラシル』にしました。北欧神話の世界樹……。壮大……。これだけでひたすらでかい木を読者にイメージさせるし、何より響きが格好いいし、北欧神話を嫌いな人間はいない。

 そうしてできたタイトルが『ユグドライズ -YGGDLYZE-』でした。表記はどうするか悩みましたが、造語だし、アルファベットだとすんなり読めない可能性があるので、メインはカタカナで。カタカナでも字面があんまり間抜けな感じにはなってなさそうでいいと思います。


🍺感想や反省点など🍺

 という感じで難産でしたが、なんとか2発目も撃つ事ができましたー。……が、手応え的にはどうなんだというものがあったりします。

 1発目の『死して屍拾う者無し』の方は、去年と同じくとにかく好きなものを盛り込んだ、ストレートなグーなので、「オラっ! 喰らえ! 面白いだろッ!」っていうようなテンションなのですが、『ユグドライズ』は初めての試みだけあって、結構不安な心持ちだったりします。

・まず設定に本当に独自性があるか?
・結局ポストアポカリプスの類型に囚われてしまってはいないか?
・「説明しない」手法は、自分の好みではあるが、独りよがりになってしまっていないか?
・その手法は成立しているのか?
・そもそもパルプとしてキチンとエンタテインしているのか?

 などなど。
 あと、明確な反省点としては、あまりに『BLAME!』なんですよね。メソッドを参考にするのはともかく、カムザとエンジュのキャラクターが、あまりにも霧亥とシボじゃん! っていうね。
 いや、言い訳をさせてもらうと、字数制限の関係で、カムザの方はハードボイルドでプロフェッショナルなキャラ性を持たせると、どうしても無口になりがちだというのもあるし、エンジュの方は最初は敬語キャラだったんですけど、丁寧語って結構文字数食うんですよ。いま思うとここまで似ちゃうなら字数を犠牲にしても敬語キャラを貫くべきだったな……。

 シチュエーションで見ても、霧亥とシボが旅の途中に自動機械に襲われるシーン、なんか『BLAME!』で沢山見たような気がするもんな……。

 ちなみに『BLAME!』ですが、劇場アニメ化もされていまして、現在はNetflixなどで視聴することができるようです。まだ観てないよっていう方は速やかに観てください。命令です。映画は、原作エピソードのひとつを大幅にアレンジした、ほぼオリジナルレベルの1話完結エピソードになっているので、「いや……まだ原作読んでないから……」って人も、むしろ、アニメから『BLAME!』の世界に入門するのも全然アリですし、結構わかりやすくキャッチャーに改変されてるので、一刻も早く観るべきだと思います。観てくださいおねがいします



🌵🌵🌵結ッ果発表ォォォ~~~!!!!🌵🌵🌵

 と、いうわけで、いろいろと反省点などもありますが、なんにせよ今できるベストを出しつくしました……。

 結果は、

 『死して屍拾う者無し -Witch of Funeral-』、『ユグドライズ -YGGDLYZE-』ともに二次選考突破! そして、

 『ユグドライズ -YGGDLYZE-』については、最終選考後、再び逆噴射聡一郎先生のコメントをいただくことができました!!

出典:藤本タツキ『チェンソーマン』

 2発撃ったうち、去年の反省を生かそうと、独自性を出すために試行錯誤したほうがコメントをもらえたのは嬉しいですね。(改善の試みが、効果のあった事を確認できるので)
 さて、今回の逆噴射聡一郎先生のコメントを引用させていただきますと、

逆噴射聡一郎先生のコメント:イメージ喚起の力が強く、文章のテンポも良い。SFファンタジー世界で、今風のオープンワールドゲームっぽい雰囲気もある。設定の提示は必要十分であり、行動の目的や仕組みなども行動の中でハッキリと伝わるように丁寧に設計されていて、面白く読めた。あとは、この800字のなかで、なんとか自立伐採機械の詳細や戦端の開かれるあたりまで書いてしまえば、さらに良くなった。

 とのこと。
 独自性はさておき、一応「ありきたり」からは脱却できてる……と思ってもいいいでしょうか。
 不安に思っていた部分、文章だったり、設定不足かどうかだったり、独りよがりで伝わってないのではないか、といった部分については、ちゃんとできていたみたいでよかったです。
 何より、今年は作品の中身までちゃんと言及してもらってるぜ! 嬉しい!

 一方で、

 あとは、この800字のなかで、なんとか自立伐採機械の詳細や戦端の開かれるあたりまで書いてしまえば、さらに良くなった。

 ここはなぁ~~~~~! ほんと、書いてて「戦闘シーンまで入れたい……。でも入らない……😭」って悩みに悩んだところだったので、頑張っていれるべきだったなぁ~。
 メモにもある、「木の根を伸ばして銃を形作って種子を弾丸みたいに発射する」っていうシーン、入れればよかった、なぁ……。

 

🌞来年の目標🌞

 10万字の長編を書く

 ですかね……。
 いや、もちろん逆噴射小説大賞もそうなんですけど、そろそろキチンと1本長編小説を書く、完結させるっていうのをやらないとね……。
 『パルプ小説の書き方』でも、とにかく完結させないと力にならないっていうのは、繰り返し言われてますからね……。
 この逆噴射小説大賞で身につけたスタートダッシュ力や、ドライブ感を元に、より長く、ひとつの小説を書き上げるという経験を踏んで、レベルアップしていかねばな、という気持ちです。よーし、がんばるぞー!



©Photo by Wil Stewart on Unsplash


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