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民放の”形骸化”した外資規制

東北新社の子会社が、外資規制違反で、衛生事業の認定を取り消された後、フジテレビと日本テレビの2社も、外資規制違反である事実が発覚した。しかし、総務省は、この2社を”厳重注意”という寛大な処置で済ませてしまった。何故か、というと簡単で、総務省も当然、この事実を前もって知っていて、何もしなかったことをわかっているからである。言い換えれば、東北新社の子会社なんぞと違って、規模の大きい2社にペナルティを課すことによる”余波”を総務省が誰よりも恐れた結果ともいえる。ぶっちゃけフジと日テレがやり玉に挙がって、この件で、他が無傷だったのは、IRの力量であったように思う。東北新社の件が明るみになってから、民放各社は一斉に、機関投資家と会話し、ポートフォリオの枠組みを変更するようお願いにあがったはずだ。逆にいうとフジと日テレは”逃げ遅れた”のだ。いずれの局も、海外の機関投資家の巨額の投資マネーが流れ込んでいる。株式市場に上場している限り、その流れに取り込まれないワケがない。この10年、ほぼ全ての局が、一時的に、外資規制違反の状態であったはずだ。しかし、文春砲が、民放と総務省のズブズブの関係性を詳らかにしたことで、事実上、”形骸化”していた外資規制の問題を、見つめ直さざるを得なくなった。しかし、これで何かが変わるとは思わない。はっきり言って抜け道はいくらでもある。外資が、日本国内に子会社を設立して、そこから出資する”間接出資”の問題だって未だに解決されていない。放送法の外資規制なんてザルもいいところである。第一、肝心の当局が解決する気が全くない。そりゃそうだ、共依存の関係であることは誰の目にも明らかだからだ。喉元過ぎれば熱さ忘れる。また、いつもの通り、これでやり過ごそうという腹であろう。では、外資系株主が放送内容にどれほど影響があるかという問いについてだが、放送内容には直接的な影響というのはそうそうあるとは思えない。海外のエリート揃いの投資ファンドの連中が、日本の愚劣な地上波コンテンツを、真に受けているとは考え難い。だが、間違いなく言えるのは、民放の経営判断には大きな影響力を有しているということだ。昨年、TBSは虎の子ともいえる「東京エレクトロン株」を株主還元の名目で売却したが、これは大株主となったイギリスのハゲタカファンド「AVI」の圧力に屈しての判断である。TBSなんて有価証券と不動産しか実質的な収益源が無いのにも関わらずである。それにしても、報道では散々、勇ましいことを吠えておいて、いとも簡単に外資系ファンドの言いなりになるとは実に情けない話である。すでに「AVI」は、TBSの持ち分を全て売却したそうだが、みすみす”養分”と化したTBSの経営陣は本当にバカ丸出しだなとつくづく思う。話が大分それてしまったが、何が言いたいかという既存の放送法による外資規制は、何の意味もないので、総務省は新たなレギュレーションを考えた方がいいということだ。本気でやる気があればの話だが。


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