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上海のくず



この物語は不況の影響で上海で自由を求めてさまよう男の物語である

2010 年 2 月

「辞めちまえ !!!」

「物件売れよ !! お前 !!」

「今不況の時代だからよーお前の代わりなんていくらでもいんだよなー」

怒号の飛び交う職場にyackはいた、2008 年から勤めて早 2 年、彼の就いてる職業は東京で投資用不動産の営業であった。

ここでわかりやすい様に自己紹介

yack 24 歳

母子家庭出身、父が小学校五年生の頃に蒸発、生活は中学高校と荒れ果てた後一年奮起し勉強し、何とか三流大学に入り上京、バイト漬けの生活。

そして就職難の中で誰でも入れそうな会社に入社。特技は特に無い

育ちのせいか精神的にタフの為、こういうブラック会社でもなんとか 2 年勤めてる
家に同棲している彼女がいる。
まぁどんな人間かなと想像するとよく池袋にいる柄の悪そうなくずリーマンである。

「おい ! yack聞いてるのかよ ! なんだこの日報はよ !! お前もう 3 タコだろ、、、!! ?人権無いからなお前 !」

AM 八時から AM 二時が定時の会社、その時yackは三ヶ月「鋼の連勤術師」だった。

俺ももう二年目か、、、、、なんで俺こんな怒られてんだろ、、、、会社もこの前の朝礼で「今月こそ売ります !」とか叫ばされるし、不況のせいにはしたくないけどリーマンショックの影響で会社全体

傾いてて物件売れないじゃねぇかよ

もう俺限界かもしれないな、、、

こんな事を考えながら時は過ぎ、日付が過ぎた AM 一時半くらいに社宅の自宅に着く

「ただいま」

家に帰ると彼女が寝ている、もう付き合って五年だしそろそろ 24 という年は若いが結婚の二文字

が出てきてる。そして収入の割りに支出が激しかったため貯金もそんなに無い

「会社を辞めれない環境」である。

その日は土曜日、明日は朝十時に出勤できる日だから原チャリで大井埠頭まで行ってタバコをふかしてyackは色々寒空の中考えていた。

俺、、、、この会社で後何年いれるだろう、、、、、この前 00 さんも辞めたな、、、、

辞めた後の 00 と連絡取っているけど次の仕事いつ決まるんだろう、、、?

もう辞めて一年は過ぎているはず、、、、、安定ってなんだろうな、、、、?

手取り 20 万、人に金払えばあそこまでこきつかえるんだな !

自分も新人の頃に比べて分単位で怒られることは無くなったが時間単位に変わっただけだよ

な、、、、?

色々鎖があるけど、、、、24、、、、今は会社にいるけど俺何も特技も無しで首切られたら、、、

00 さんみたいに犯罪おかして三面記事に載っちまうのかな、、、?

何か特技を身に着けたい、、、、、!!

会社以外の人ともっと話したい、、、、!!

人脈を広げたい、、、、、!!!

思えば高校から働いてばかりだ、、、底辺の世界以外を見たい、、、、そして何より、、、、、

「自由」になりたい。

その日家に帰りyackは辞表を書いた

次の日の朝

「馬鹿やろー !!! なめてんのか !! ?人生を !! 辞めるってなんだ !」

上司の怒号が飛ぶ

「本気です」と返すyack

「次の仕事は決まってんのか?なんで辞めるんだ?何がしたいんだ?」

などなど色々聞かれるが答えなかった。

そして一ヵ月後会社からyackは消えた。

会社を辞めた日の翌日朝池袋のホテルで目覚めた。

時刻は朝八時

やべっ !! 遅刻すると罰金一万取られる、、、!!! と一旦冷や汗を書いた後に気づいた

「会社辞めたんだ俺、、、」

その後も家で寝る、平均睡眠時間 3,4 時間の会社だからずっと二、三日眠り続けた

その様子を彼女はおかしく思う

彼女「ねぇあなた会社は?」

辞めた事の一部始終を伝える

「まぁ一回実家の福岡に帰ろうと思うんだよな、お前も一緒に来るか?それか福岡でもし仕事あったらこんな東京みたいに忙しすぎる街じゃなくてのんびり生活できるかもな、お前俺の家の親に挨拶まだだし丁度いいんじゃないか?」

切れる彼女

「何で、、、?勝手に会社辞めたのよ、、、?会社辞めるってさ、、、どういうことかわかる?

五年付き合ってるのよ私達、、、、結婚は、、、?生活は、、、?第一私東京だしそんな縁もゆかりも無いところいく訳ないじゃないの !!」

「まぁまぁ勝手に辞めたのは許してくれ、お前東京実家だし福岡が嫌なら一旦実家に帰ればいいよ」

小馬鹿にした口調で

「勝手にしなさいよ、あんたこれからどうすんの?」

そこでyackもスイッチが入る

「お前、なんだその言い方?仕事辞めるのがそんなに悪いのか?お前今まで生活全部俺がみてきた

じゃねぇか ! ?これからも見ていくつもりで話してるんだぜ?」

彼女

「別れます、さよなら」

その後yackは新宿 9 時発の博多駅行きの夜行バスに乗った。

夜行バスの中で色々と今まで仕事してきた事と虚しさが込み上げてくる。

夜中の三時、隣の寝ている人に聞こえないように泣いた。

そして昼の十一時に故郷に着いた。

場所は中州。

サウナで風呂に入り、寝転び、そして夕方ごろに電車に乗り

一時間かけて実家に帰る

「おお久しぶりやね !! なんで連絡せんかったん?毎回お前急にくるけんくさー」

久しぶりの環境

ただおばぁちゃんの一言

「あんた仕事辞めたと?これからどげんすると?」

おじ

「24 やけん堪え性きかんくさ、ばぁちゃん」

切れるばぁちゃん

「せからしか ! だまっとれ !! あんたもう一回東京に行ってき !! この根性無し ! お前は昔から堪え性がなさすぎるんったい !」

yack「ばぁちゃん、、、俺あっちでめちゃくちゃ耐えたぜ、、、色々、、、あまり言いたくないけど」

酒の席だけかとおもったらそうでもなく、色々と福岡の街も村八分の現状だった

もともとyackは家族の中で肩身が狭い、親父は色々と母方のおばぁちゃんに借金をしていた為、息子のyackは小さい頃から冷遇されていた。

毎日ばぁちゃんの小言を聞かされる毎日

yackの生活は荒れる一方だった

友人と飲みの席で喧嘩になり、パトカーが二台出勤する位の惨事になったりバイト先の人と喧嘩、

ティッシュ配りのバイトも道の人に絡まれすぐけんか

「俺、、、、これから何がしたいんだろ、、、、そろそろ東京に戻ろうかな」

近所の川を眺めながら考えていた

自分の道ってなんだろう、、、、自分は人より少し乱暴かもしれない、、、、バイト先の偉そうな奴ぶん殴ったって、、、、今の俺の現状が変わるわけでもない、、、、あのばばぁから、、、「お前の親父のせ

いで」とか「いとこの 00 はこんなに立派で」とか比較対象にされて、、、、、彼女から愛想つかされて、、、、、道の人や昔の友人にも軽く見られる、、、、怖がられる、、、いつまでも貧乏、、、、仕事探し

をしても面接までいかない、説明会で「優秀な人から連絡しますんであしからず」、、、ハローワークの長蛇の列に並ぶ、、、、、、

こんな現状が、、、、バイト先の偉そうな奴ぶん殴ったって、、俺の現状が変わるわけでもない !

どこに行けばいいのだろう、、、、俺は

虚しさを抱え川に涙をこぼし家に着いた

そしてテレビをつけるとニュースキャスターが

「今年の上海万博の模様ですがすごいです ! 大変にぎわっております !!

上海、いや中国は今経済発展がすごく昔の日本のバブルを思い出させます !」

その時電流が走った

上海 !! 中国 !!

海外で職探すのもありだ !! 語学も出来るようになるし、、、、人脈も、、、、出会いも、、、、

こんな不況、不況、毎日流れる暗いニュース、格差社会、仕事が無い国とは違うはずだ !

その時上海に移住する事を決めた。

場所は代わり東京

色々手続きの為に用意するものと挨拶で東京にyackは戻った。

周りの人の反対もあったがそんなのは右から左にすっとんで行った。

夜行バス大阪~南港~上海港

せっかく行くのだから船がいいのと

その当時万博の時期だったので、飛行機は高かった。

そして大阪南港

もう二度と日本には帰らないという決意でyackは船に乗った

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