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#カクテル言葉は「あたためて」


自作のアイリッシュコーヒー。生クリームを浮かせるのが結構難しい。

カクテル言葉は「あたためて」


 花に花言葉があるように、カクテルにはカクテル言葉がある。「強い意志」といった前向きな言葉から、「無言の愛」といった切ない言葉まで、カクテルにはひとつひとつストーリーがあるのだ。

 1943年ごろ、アイルランド西のシャノン川の中州にあったフォインズ水上飛行場では、給油のために飛行艇から降ろされた乗客がボートで川を渡り、厳しい寒さの中、待合室へと向かった。待合室にあるパブには寒さを凌ぐために多くの乗客が集まった。こうした乗客のために、パブで働いていたジョセフ・シェリダンは、乗客の身体が温まるような飲み物を作って振舞った。それがアイリッシュコーヒーである。グラスに入れた砂糖に濃いめのコーヒー、アイリッシュウイスキーを注いで軽く混ぜ、そしてその上に生クリームをそっと浮かせる。乗客の身体を温めたこのカクテルは、たちまち人気となり、様々な国へ伝わった。

 アイリッシュコーヒーのカクテル言葉は「あたためて」。冬の夜、冷え切った身体には至福の一杯である。

◆プロフィール
 黒瀬稜太(くろせ りょうた)
 1991年生まれ、中津市在住。お酒を飲むのも好きだが、お酒の瓶を見るのも好き。最近はクラフトビールを愛飲。年始に手作りビール(alc.1%未満)を自作。

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