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【年収の壁】「扶養内」は抜け出さないと逆に損


はじめに

以前、以下の記事が好評を頂いた。

扶養内で働くという選択を、
全面的に肯定した内容となる。

この記事を書いてから、2年近く経つ現在、
私の考えは、180度変化した。
今現在の意見としては、
「扶養内」の働き方は、一刻も早く、
抜け出したほうがいい
と考えている。

意見が変わった理由としては2点ある。
1点目は、一児の母になり価値観が変わったこと。
2点目は、社会情勢の変化への適応だ。

(1)子どもをもうけると価値観が変わる

子なし時代の私は、今思うと、
悪い意味で楽観的だったし、
将来のことや、リスクなどが
全く見えていなかった。

夫の転勤帯同を理由に、
新卒で入社した会社を四年で退職してからは、
ずーっと、扶養内勤務を続けてきた。
正直に言うと、非正規雇用の低賃金で、
バリバリ働くのは損だと思っていたし、
扶養内を理由に、残業や重い仕事から
逃れられるのを、メリットと捉えていたのだ。

しかし、扶養内勤務で、
軽めの仕事に従事するというのは、
同時に、キャリア断絶を意味する。

扶養内に縛られるということは、
自分の単価も上げることができない。

なぜなら、単価が上がると、
扶養内をキープするために、
勤務時間をセーブせざるを得ない。
できる仕事の幅が広がっても、
それに比例して働ける時間が短くなる人に、
会社がスキルアップできるような
仕事を任せることはないだろう。

自分の意識も、下がることはあっても
上がることはない。
どれだけ仕事を頑張って成果を出しても、
年間に稼げる額が決まっており、
大して昇給もしないとなれば、
モチベーションが上がらないのも当然だ。

キャリア断絶というのは、
すなわち、夫の経済力に
全面的に依存することと等しい。

そして、子どもがいる状態で、
夫の経済力に依存することは、
子なし以上に、本当に本当にハイリスクだ。

例えば、今、夫が死亡したらどうなる?
諸々の保険金やその他手当、
遺族年金等は受給できるものの、
女手一つで、子どもを大学卒業まで
育て上げるとなると、
生活はかなり苦しくなるだろう。
もちろん、私はフルタイムで
バリバリと働かざるを得なくなる。

その際に、直近の経歴では、
扶養内勤務の経歴しかなく、
年齢もまあまあ重ねている女性に、
条件の良い仕事は見つかるのだろうか?

頼ろうと思えば、実家・義実家に
頼ることもできると思うけど、
それだけは、絶対に避けたい。
将来的に、頭が上がらなくなり、
自分の人生の決定権を奪われる可能性
がある。

リスクは、夫の死亡だけでなく、
病気や事故、リストラや離婚など、
多岐にわたる。

自分にしても、子どもにしても、
生殺与奪の権は、他人に握らせてはいけないのだ。

(2)社会情勢には逆らえない

昨今の社会情勢を見ていると、
今後、社会保険から、
パートを含めたほぼすべての労働者は、
逃げれられなくなると予想する。

政府は、上記のような特設サイトを設け、
段階的に、社会保険適用の義務化を進めている。

当初は、従業員数が501人以上の企業を対象としていたが、
101人以上(2022年10月)、51人以上(2024年10月)と
ドンドン拡大されており、将来的には、
ほぼ全員入らざるを得なくなるのではないか。

物価高騰のなか、増税や社会保険拡大が続き、
世間は不満の声であふれているが、
これは、少子高齢化の世の中では仕方ない。
諦めるしかないのだ。

総務省統計局 HPより

2022年時点での人口ピラミッド図を見てみると、
いわゆる「団塊の世代」の75歳前後と、
その子どもたちである「団塊ジュニア」の50歳前後の層が、
突出して人口が多い。

「団塊の世代」をはじめとした、
現在、年金受給中の世代を、
現役世代が支えきれなくなっているのが、
視覚的にわかる。

また、より恐怖なのが、
「団塊ジュニア」世代が
年金受給開始するであろう、約15年後
だ。

「団塊の世代」は、
15年後には90歳前後となっている。
多少お亡くなりにはなると思うけど、
元々の人口数が多いので、
現在90歳前後の方よりは、
確実に人口が多くなるだろう。

それに加えて、
「団塊ジュニア」世代の年金受給がある。
「団塊ジュニア」世代以降は、
人口は先細りで、増える見通しはない。
増税しないと、財政が破綻するのは明らかだ。

つまり、泣いても笑っても、
女性でも子持ちでも、
働かざるを得ない時代
なのだ。

どうせ、後々になって、たくさん働いて
社会保険料も納めなくてはいけないなら、
今から働いて将来受け取れる年金額を増やし、
かつ、自分の単価を上げる努力が必要だ。

同じ時間働くなら、単価が高い方がいいだろう。

このような社会情勢を無視し、
「扶養内」にこだわり続けるとどうなるか?
いくら働いても、スキルを磨くことができず、
「いざ」たくさん働く必要が生じたときに、
単価が低かったり、条件の悪い仕事にしか
ありつけない可能性大だ。

おわりに

扶養を抜けることは、
今までは、損であると見なされてきた。
特に、月10万円前後の、
パートに多い年収ゾーンにおいて。

確かに、
今すぐに手取りを増やしたいのであれば、
損?と言えるのかもしれないが、
人生100年時代なのだから、
後々に、払った分の元は取れる可能性が高い。

また、少子高齢化による人手不足で、
国策としては、女性が働くことを応援している。
であるならば、この波に乗って、
扶養を抜け、スキルを上げて
たくさん稼ぐ道を模索するのが得策だと思う。

有名な株の格言に「国策に売りなし」がある。
「国が行なおうとしている政策によって
追い風を受ける株は買うべし」という意味だが、
これは、株だけにとどまらず、生き方にも言える。

国策に逆らうことはできないのだから、
国が推奨している事業や働き方に乗っかることで、
利益を得ることができる

(つみたてNISAやIDeCoなどもそうだ)
逆に、国策に逆らう≒時流に逆らうと、
大きな損失を被る恐れがある。

以上の理由から、私は2024年1月から、
扶養を抜けて、新しい職場で働く予定だ。
年収としては、いわゆる「働き損」の金額だが、
全く気にしていない。

社会保険加入(してまで働くか)を迷っているならば、
ぜひ、勤務時間を調整せず、
扶養を抜けて働くことを強くオススメする。
どんな年収見込みであったとしても、
人生単位で見たら、それが得策だ。


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